- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101284514
作品紹介・あらすじ
豪胆な父とは対照的に内気な息子・柳井正は、大学卒業後、家業の紳士服店を継いだ。やがて店をカジュアルウエアのトップ企業「ユニクロ」へと急成長させるまでには、数々の失敗の歴史があった。株式上場、急成長、業績低迷の実態に率直に触れつつ、高品質の衣料を低価格で売る秘訣、広告代理店任せにしない宣伝戦略、透明性の高い人事など、独自の経営哲学を惜しみなく公開する。
感想・レビュー・書評
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ユニクロ誕生から、イギリスへ出店するまでの物語です。
「現実」はいつでも非常に厳しい。経営環境は目覚ましいスピードで変化していく。
成長なくして企業としての存在意義はない。
気になった部分は以下です。
・商売とはこういうもの、実践そのものだ、と教わったのも父親からであった。父の姿をみてこれじゃいけないと思ったこともある。
・番頭格の人まで辞めたときでさえ父は何も言わなかった。それだけでなく、ある日、大事な会社の通帳と実印を父から渡された。
実印を預かった瞬間「もう後戻りできない。任せられたら、絶対に失敗できない。ここで頑張らなければ」と腹を決めることができた。
・紳士服は接客しないと売れない。カジュアルウエアは接客せずに売れる。ただし、売れるものは飛ぶようにうれるが、売れないものはぜんぜんだめだ。
・ユニクロの原点:十代の子供たち向けに流行に合った低価格のカジュアルウエアをセルフサービスで提供できないだろうか。
・ユニクロ郊外店舗をだしてわかったことが3つある。
①カジュアルは年齢も性別の関係なく需要がある
②トレンドものよりベーシックなものに大きな需要がある
③商店街の一角にあるビルインなどのテナント店より、郊外型店のほうが、「買おう」という目的をもったお客様がこられるので買い上げ率がたかい。
・メーカーから仕入れてくる商品は、安いが品質は二の次だった。こうなったら、自分たちで本格的に生産管理し、現地で直接作らないとだめだな、と思うようになっていった。
・規模が大きくなると、ちょっとした失敗で取り返しがつかないことになりかねない。会社をつぶさないためには、本格的に経営を勉強しなければと思い、本を読み勉強した。経営コンサルタントや公認会計士などにも会ってみた。
・株式公開をしたいとおもったのは改革を始めてすぐだった。会社の成長のためには、設備投資資金を得たり、出店地域確保はもとより、多くの有能な人材が必要だった。
・日本の税制は急成長する会社を念頭にはおいていないのだ。これで残る道は、資金を得るための株式公開しかなくなった。
・経営者と商売人はどう違うか。商売人は売ったり買ったりすること自体が好きな人、経営者とはしっかりとした目標を持ち、計画を立て、その企業を成長させ、収益を上げる人
・目標は低すぎてはいけない。到底無理だと思われる目標でも、綿密に計画を立て、それを紙に書き、実行の足跡とつねに比較し、修正していく。大事なのはあきらめないことだ。
・一般的には、チェーン展開し始めると、店舗が増えるにしたがって本部人員が徐々に肥大化していく。それは絶対に避けたかった。
・信用も実績もない会社は、そういった悪い立地から出店していき、悪い土地を紹介されてもめげることなく付き合い、やがては良い立地を紹介してもらえるように実績と良い人間関係を作っていくしかない、と覚悟をきめた。
・自分たちで仕様を決め、工場まで出向いて生産管理をやらないと、品質は絶対によくならない低価格で高品質の商品を本気で作ろうとしたら、自分たちっで最初から最後までやらざるをえないのである。
・自分たちが送り出した商品の失敗を直視し、研究し、改善する。つねに「現場を知る」ことこそ、経営の原点だと今も考えている。
・問題は、失敗と判断したときにすぐに撤退できるかどうかだ。
・広告は実質がともなっていないと、広告そのものが無駄になる。
・ファーストリテーリングのイノベーション:作った商品をいかに売るかではなく、売れる商品をいかに早く特定し、作るかに業務の焦点を合わせる
・必然性のないところには人は集まらない
・(フリースが)成功した要因を考えてみると、商品を絞りこんだこと、良質な商品を1900円という手ごろな価格にしたこと、そして新鮮味ある広告船団をしたことだろう。
・極論すると、商売というのは実践である。経営も実践。
・われわれにとってファーストとは即断即決という意味。間違ったり失敗してもいいから、早く判断して早く実践するべきだと思っている。
・店長を最高の仕事ととらえ、店長の仕事を全うすれば本部にいるよりも高収入が得られる。このような仕組みを作らないと小売業は繁栄しない。
・本部に入社してくる人は、将来経営者になりたいと考えている人が多いと思うが、そうでない人は本当の意味のプロフェッショナルを目指すべきだろう。
・チームを組むには、まず、明確な目的や目標が必要だ。
・実力主義以外で人を評価するということはできないと思っている。
・成功よりもむしろ失敗のほうが勉強になる。一方成功というのは、ここまで可能性があるということを知らせてくれる、元気の源のようなものだ。
・どんなときでも常に冷静に、そして客観的に市場を分析して、適切な判断をし行動すべきなのだ。
・お客様と商品の接する現場の動きが分かっていなければ、的確な指示は出せないはずだ。現場と距離が離れれば離れるほど、仕事のための仕事をわざわざつくりだす危険性もある。
・スピードがない限り、商売をやって成功することはない。
・ほとんどの人が、失敗しているのに失敗したと思わない。だから余計失敗の傷口が深くなる。回復の余地なく失敗するということは会社がつぶれることを意味する。会社をつぶしてはいけないということがすべての根本だ。それをわかったうえで、早く失敗しないといけない。
目次は以下です。
はじめに
1 家業からの脱皮
2 挑戦と試行錯誤
3 急成長からの転換
4 働く人のための組織
5 失敗から育てる次の芽
あとがき
経営理念の解説
株式会社ファーストリテイリングの軌跡
文庫版あとがき詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ファースト(即断即決)、リテイリング(小売)
特にファーストは柳井さんが大切にしている「スピード」。投資のスピードも損切りのスピードも計画から実行までのスピードもとにかく早い。
感情論ではなく合理的ではあるものの、現場や市場の雰囲気から読み取る『肌感』からセンスを感じる。
急成長企業だと思っていたが、本の中でよく出てくる「ブレークスルー」とあるように、爆発的な利益を上げるまでに意外と時間がかかっているなと思った。そのブレークスルーのタイミングをよく分かっていることも凄い。柳井さん自身も過去の経営者から学んでいることが窺える。
柳井さん自身としては、
厳しい人であることはもちろん、各部門や職種に対してリスペクトがありそのポジションでの教育、在り方が明確に分けている。
将来起業する、しない問わず読むことをおすすめする。ボリュームもちょうど良いので読みやすい! -
ユニクロの創業者柳井正の自伝的作品。今や日本を代表する企業となったファースリテイリングの戦略。
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かなり昔(おそらく学生時代)に一度読んだことがあったのですが、
今回ちょっと仕事関係で読み返す必要性が出たので、再読。
以前読んだ時は、今ひとつピンとこなった本という印象を漠然と持っていましたが、
今回改めて読んでみて、柳井さんの経営哲学の詰まった本だな、という印象を持ちました。
特にユニクロ社内の教科書である「経営者になるためのノート」と合わせて読むと、
立体的に柳井さんの考えを理解できると思います。
「経営者になるためのノート」が結構わかりやすくて、
「うんうん、その通り!」とさーっと進んでしまう本なので、
柳井さんが「経営者になるためのノート」に書いていあることを
どのように実践していったのがが良く理解できてお勧めです。
※経営者になるためのノート
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4569826954#comment
ユニクロが名もない無名店だったころから、
フリースで成功するまでの起業ストーリーとしても楽しめます。 -
これまで、ユニクロに関しては、
他の人が書いたのを読んだのですが、「なるほどね。」と思っただけだが、今回の「1勝9敗」は、あまりにも率直に書いているので、
かなり、勉強になった。
ユニクロが、低迷から復調になりつつあると
報道されている。
やはり、これだけ、現実をきちんと見ていると
つねに改革していく姿勢が、はっきりしているのだと痛感する。
「成功の中にひそむ失敗の芽」
「失敗から育てる次の芽」
実に、はっきりしている。
柳井正氏の「経営者10戒。」(抜粋)
経営者は、なにが何でも結果を出せ。
経営者は高い理想を持ち、現実を直視せよ。
経営者ははえたたきにならず、本質的な問題解決をせよ。
経営者は素直な気持ちで、即実行せよ。
経営者は誰よりも熱心に、自分の仕事をせよ。
ふーむ。ヨッシャー。
まだ、私は、「0勝9敗」だ。あと1回勝つだけでいい。 -
世界1位のアパレルメーカーが現実味を帯びた今、国内NO1から世界戦に挑み出した柳井さんの当時の考えを知ることができて面白い。
経営者、起業家として学びはたくさん多いが本質的な事は志の高さと現実を変える実行力だと思う -
刺激強め!
①高い志
②人のつながり
③自分を分析する力が経営につながる
スピード・変化・愚直。 -
非常に良かった。
軽い気持ちで読み始めたが、柳生さんの経営哲学が、結構詳細に書かれてあったので、示唆が多く、丸一日読むのにかかった。
特に経営においてのマインドセットや、方法論などが詳しく書かれているので、経営ボードを目指す人や、そこにタッチし始めた人は読むとだいぶ視野が広がると思う。
とくにABC改革といって、ユニクロの成長期に、もう一度ゼロイチで改革すると打ち立てて行った施策に関しては、具体的に何を考え直したのかが、詳しく触れられているので、経営を進める上では何をケアすれば良いのかの参考になる。
小さくても経営をやっていかないと、頭でっかちの論理ばかりで成果が出せない人間になってしまう。 -
ユニクロ創業者、柳井正氏の書籍。
一勝九敗、失敗を認め成功に導く。
計画だけで終わらず、実行に移す。
その行動力が今のユニクロ。
実行あるのみ。 -
特にあとがきにある「経営理念の解説」は、生き方を考える上で経営者でなくても読んだ方がいい。
全体を通して思ったのは、いかに「世の中に認知されるために、どのような状況におかれ、そのときにどう考え、どうしたか」というのが分かりやすい。
困難な状況への打破、ビジョンはどこを向いてなにをするか、大事にしていきたいことなどなど、何回も読み返して考え方をものにしていきたいと思える。