ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101292335

感想・レビュー・書評

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  • 長くない文章で淡々と日常の出来事を綴るのが好き。

  • 毎年、年末になると棚から引っ張り出してくる。ぱらぱらめくって、適当に読む。最後の表題作だけは、それこそゆっくり噛み締めながら読む。一年を振り返るのに、これ以上のものはない。

  • 川や、町並みや、
    友人や酒や、
    そして多くの本と言葉からや、
    目に留まるあらゆるものへ、
    真摯で率直に、思いが広がっていく。

    散歩に行きたくなる。
    酒が飲みたくなる。
    友人に会いたくなる。

    読み終わった後で、
    飲み屋で待ち合わせをしたあゆちゃんにそのままあげた。

  • ・ポジティブで美しいエッセイは好き。
    ・最後が良い。表題作をめくる前のドキドキ感といったらない。
    ・というかまさか、川上弘美が大女とはしらなかった。
    ・紹介されてる本とか、何気なく出てくる本に興味が沸いた。読んでみよう。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ポジティブで美しいエッセイ」
      何と言うか、、、ほんのり可笑しいエッセイですよね。ちょっと浮世離れした感じが川上弘美にはお似合いだと思いまし...
      「ポジティブで美しいエッセイ」
      何と言うか、、、ほんのり可笑しいエッセイですよね。ちょっと浮世離れした感じが川上弘美にはお似合いだと思いました。。。
      2012/07/24
  • 表題「ゆっくりさよならをとなえる」が大好き。
    思わず朗読してしまった。
    川上弘美氏にはいつも「そのままで良いんだよ」と言ってもらっている。
    精神の安定のために川上氏のエッセイは側に置いておく。

  • 幸福

  • エッセイと本に纏わる思い出と。
    海外の小説を読んでカンゾウ?ショウガパンとは何ぞや?と知らない海外の文化に頭の中が「?」で埋め尽くされるあの感じ。自分も同じく不思議で仕方なくて、想像で自作したショウガパンのくだりには苦笑いしたり、他は全て揃っているのに1冊だけ見つからないシリーズ本に血眼になる姿に「あるある」と共感したり。
    共感しつつも、小説と同じく独特の世界観と柔らかい空気に満ち溢れている。なんだかしんどいな…と思う時、パラパラっとめくって一編ずつゆっくり読んでいる。

  • 一編が文庫3ぺージに収まる長さで、ほっと心が休まるエッセイ集。
    あ~そうですそうですと、思い当たるようなちょっとした出来事や、出先で見聞きしたことなどが書いてある。
    中でも川上さんが引用されている本は、読みたくなってしまう。

    好きな食べ物は飽きるまで食べる、なんかそのこだわりが良く分かる。私も米粉パンを卒業して今は塩バターパンに凝っている。

    どこを読んでも、川上さんの人柄がにじみ出ている。拘らない楽そうな生き方や、作家で主婦でお母さんの、ゆったりした毎日が微笑ましい。
    身近なものに向ける視線もユーモア含みのほっとする文章が納まっている。

    " 織田作之助の「楢雄は心の淋しい時に蝿を獲った」にふれ、そうやって楢雄は自分の不器用な生をめいっぱい喜んでいたんじゃないだろうか、その人の奥底も知らずに、と思う。
    少し淋しかったので風呂場に潜んでいた蚊を潰した。”

    言葉で書いてある「あやとり」をやってみる。

    そして再び小説に、もどる。安らかさとは正反対のところにある営為に。正反対にあるからこそ、いっそのこと安らかなのかもしれない、営為に。


    博物館に行ったり、古本屋をめぐったり、昼顔を見たり、漫画の欠けた巻が近所ではどこにもないので、電車に乗って探しにいく。

    あてもなくのんびりと電車に乗って隣りの町に行くことを信条としている私の人生が、たった一冊のマンガによってすっかり血走ったものになってしまった。



    ”「田紳有楽」という本を借りた。仰天したままその日のうちに本を読み終えた。「すごいね」とマリ子さんに言うと、マリ子さんはエヘへと笑った。以来私は「田紳有楽」という本を愛してやまないのだが、いまだにその全貌をうまく把握することができない。なんだかわからないけれど、小説ってものは、やはり凄いな、と私は思ったのだ。”


    数えてみれば全部で59編あった。218ページにそんなに入っているのに、楽しく暖かい。

    最後に詩のように日々の生活から切り取った言葉が並んでいる。
    ”(略)今まで言ったさよならの中でいちばんしみじみとしたさよならはどのさよならだったかを決める(決まったら心の中でゆっくりさよならをとなえる)

    連載エッセイを書いていて、最後の回になると、私はさみしくてたまらなくなってしまいます、表題作も連載最後の回に書いた文章です。”

  • 日常のひとこまが、ゆるゆると綴られるエッセイ集。私の毎日も実はとても贅沢で、すてきなものだったのだなと気づかされます。いつまでも浸っていたい温度。

  • 川上弘美の本をはじめて読んだ。
    ちょっと洒落ていて、
    ところどころで、ハッとさせられた。
    タイトルがカッコ良すぎる気がして、
    (個人的にあまり好きではない類)
    もぞもぞしながら読みすすめたが、最後の最後で、
    このタイトルの一節が出てきて…
    やられたー!!
    となりました。
    普段は思い出さない昔のことや、思い出などを
    振り返させられ、
    しみじみ。
    読めてよかった?

著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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