水平記〈上〉―松本治一郎と部落解放運動の一〇〇年 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101304335

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  • 表紙裏
    松本治一郎。明治20年福岡に生れ、昭和41年没す。大衆の手による差別撤廃を掲げた全国水平社を率い、戦後は初代参議院副議長、部落解放同盟委員長を歴任。イデオロギーに流されず、人間の尊厳を見据えた〈あらまほしき日本人〉――。人権史に屹立する「部落解放の父」の生涯を、新資料も駆使して現代に甦らせる画期的評伝。上巻は「徳川家達暗殺陰謀事件」など昭和初期までを収める。

    目次
    第一章 部落の子
    第二章 新たな地平
    第三章 水平社誕生
    第四章 錦旗革命
    第五章 入獄
    第六章 軍隊と闘争
    第七章 天皇直訴
    第八章 請願行進千二百キロ

  • 請求記号:289.1-TAK
    [上下巻]
    https://opac.iuhw.ac.jp/Akasaka/opac/Holding_list?rgtn=2M020828
    (★この図書は小野寺先生よりご寄贈いただきました★)

    <小野寺敦志先生コメント>
    日本の差別テーマの一つである「部落」問題に取り組んだ人物伝です。差別が、ごくごく良識的な人の中にも日常的に存在すること、その無自覚さ、悪意無き悪意といった、人の持つ一側面を学んでもらいたい一冊です。

    <BOOKデータ>
    [上巻]
    松本治一郎。明治20年福岡に生れ、昭和41年没す。大衆の手による差別撤廃を掲げた全国水平社を率い、戦後は初代参議院副議長、部落解放同盟委員長を歴任。イデオロギーに流されず、人間の尊厳を見据えた“あらまほしき日本人”—。人権史に屹立する「部落解放の父」の生涯を、新資料も駆使して現代に甦らせる画期的評伝。上巻は「徳川家達暗殺陰謀事件」など昭和初期までを収める。

    [下巻]
    泥沼化する日中戦争、大東亜戦争勃発。体制への迎合を拒んだ治一郎は、水平社を消滅させるという苦肉の策を選んだ。そして、終戦。“世界水平”を求める新たな闘いは、周恩来、ネルー・インド首相らとともに構想したアジア連帯ビジョンへと発展し、後の日本外交にも確かな指針を与えている。「生き抜け、その日のために」(磯本恒信への手紙)—差別撤廃を求めて闘いぬいた男の壮絶な姿。

  • 9784101304335 489p 2007・11・1 

  • つい100年前の話ですね。今は平和な時代。
    自分のことばかり考えてはいけないね。足るをしらないとね。

  • 松本治一郎

  • 部落解放の父と呼ばれた松本治一郎の評伝であり、百年を超える部落解放運動の通史である。私は一時部落解放同盟と接触があり、六本木も芦原橋も度々訪問した。そこで会った人々は「糾弾」で恐れられるような人々ではなかった。ごく普通の人々だった。良いか悪いかの評価をする立場にないが、はっきりと感じたのは、その時点で部落解放同盟の運動は「解放運動」の段階から、一種の「圧力団体」になってしまったと言うことだ。「何か差別問題を起こしたら、すぐに連絡してください。何とかします。」と言うご親切な言葉に「そのようなことにならないように努力していますから、ご無用のことです」と私が応じたらさすがに変な顔をしていた。これは六本木での噺だが、大阪にいると時々このような言葉を聞く。「知り合いに部落解放同盟がいるので、何かあったら相談してくれ」などだ。差別はなくなっていない。もちろん「部落差別」もである。しかし、このような発言が他ならぬ「部落解放同盟」の幹部から出てくるのは、同盟の「変質」の証左ではないのか?上下二冊のこの本を読んで私は自分の立ち居地を修正している。

  • 部落解放運動は多少知っていましたが、水平運動という言葉も松本治一郎という人物についてもまったく知りませんでした。高山さんは自分にとって「もっと勉強しなきゃいけない、知っておかなければいけない」と思っている分野を本にしてくれる作家。何気なく歩いていた本屋で目に飛び込んできたこの作品、時間はかかりましたが高山さんらしい丹念な、執念ともいえるような取材に基づいた内容に圧倒されながら読みました。「被差別部落」をなくし真に平等・水平な世界を目指した運動に己の人生を捧げた松本治一郎の生涯が描かれていますが、同時に明治大正昭和の政界についても非常に勉強になります。部落解放運動というと左のイメージでしたが、共産党とはどちらかと言えば対立関係で、途中軍国主義に傾いたり(利用されたり?)している時期もあったりで、やはり全く無知である自分を恥じました。これまでの人生で直接差別問題に触れたことはなかったのですが、こういう歴史があったこと、現在も多少なりとも残っている悪しき偏見であることは忘れてはならないと思いました。

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著者プロフィール

1958年、宮崎県高千穂町生まれ。法政大学文学部中退。2000年、『火花―北条民雄の生涯』(飛鳥新社、2000年)で、第22回講談社ノンフィクション賞、第31回大宅壮一ノンフィクション賞を同時受賞。著書に『水平記―松本治一郎と部落解放運動の100年』(新潮社、2005年)、『父を葬(おく)る』(幻戯書房、2009年)、『どん底―部落差別自作自演事件』(小学館、2012年)、『宿命の子―笹川一族の神話』(小学館、2014年)、『ふたり―皇后美智子と石牟礼道子』(講談社、2015年)など。

「2016年 『生き抜け、その日のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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