脳のシワ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101308333

感想・レビュー・書評

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  • 「科学的」という言葉は「絶対的」「普遍的」と言い換えられそうだけど、現実にはそうでもないと考えさせられる。
    科学が間違っているという意味ではなく、現実はそんなに単純ではないということか。

  • 養老さんの本としては分かりやすい。
    「脳のなかにないものは現実にもない」という部分は心に響いた。知らないこと、見えていないものは確かに存在していないと考えていた。ここを常に意識することは難しいが、無知の知は忘れずにいきたい。
    鴨長明のゆく河の内容は、今の自分にとても響いた。人生を流れでみていけるようになりたい。
    単純な説明のほうが現代は広がりやすい。それが正しいかどうかは別。

  • 著者の本には、独自の視点から現代文明の「脳化/都市化」を批判する社会批評的な著作と、専門分野である解剖学の立場から意外なものの見方を引き出してくる著作という、二つの大きな幹があります。もちろんこの二つは一つの根につながっているのですが、わたくしのようなうかつな読者などは、表面上のおもしろさにばかり目を向けてしまって、そのつながりが見えなくなってしまうことしばしばです。

    本書は、主として後者の解剖学的な視点からのエッセイでありつつ、同時に前者の社会批評・人間批評的な見方へとにじり寄っていくようなところがあり、著者のものの見方の一貫性を垣間見ることができるという点で、はっとさせられるところがいくつかありました。

    とはいっても、基本的には肩の凝らない気楽な読み物であり、単純にたのしみながら読みました。

  • なんとなくのんびりしたおっさんのひとりごと。何か知らんが良かった。

  •  序文より抜粋。

     『自分で把握した自分の脳のはたらき、それを古くは主観といった。
     自分の頭の中で、さまざまな想いが浮かんだり消えたりしている。
     それはまさに主観であろう。今度はその意識で外の世界を把握する。
     それをことばなり、数式なりで表現する。それを客観という。
     それなら、自分の脳のはたらきを、同じように外から捉えて、ことばで表現してみよう。   これは主観でも、客観でもない。...... 』 

     唖然。
     脳と感情、脳と年齢、脳と人生etc...

  • 頭のよさは遺伝するのか。頭がよいとはどういうことか。解剖学者の養老孟司氏が "脳と人間" をテーマに、生死、結婚、子育て、喜怒哀楽、老い、など様々な切り口で語るエッセイ集。動物とは違って本能のままには生きられない人間が、感情や煩悩に翻弄される様子を分析した話題が多いようです。脳科学の専門的な話は少なく、あくまで身近な話題に始終しています。

    この地球が「平らと思って」暮らしていて十二分に間に合う。同じく幽霊が「いないと思って」暮らしていても、それで困ったことは一度もない。/ 臨死体験で亡くなった人が登場する話はよく聞くが、ソクラテスや田中角栄や藤原道長に向こう岸から手招きをされるという話は聞かない。思うに臨死体験に登場する死者とは、自分が直接に知っている死者なのである。

    二月のある暖かい日。リスには恋の季節である。それから三ヶ月ほどすると生まれた仔が育ち、家の裏の崖をできたてのリスが這う。できたてのリスはときどき崖から落ちる。/ 動物の恋は、わかりやすい。その結果、子供が出来るだけである。人間のは、どうも、いろいろ、ややこしい。/ 子育て論のいいところは、子どもが育ち上がった頃に、自分の寿命が来てしまうということなのである。ただこのごろは皆さん、むやみに長寿になって、うっかりすると逆縁になりかねない。黙っているにこしたことはない。

    後半「人体の秘密」では、解剖学者としての知識に基づいた、やや専門的な五臓六腑の話が紹介されています。そこでも著者は前半と変わらない飄々とした姿勢です。口調が断定的でやや乱暴に見える場面もありますが、その乾いた調子で淡々と皮肉やユーモアを口にする様子が新鮮で、いちいち説得力がありました。そんな養老先生が語る結婚や子育てや介護の話は、どこか諦めの境地に達しているようで、説教臭く聞こえません。理論的に考える科学者の視点で記した徒然草、気軽にお楽しみください。

  • 恋、結婚、笑い、人生、死など身近なテーマについて解剖学者である筆者らしい切り口で書かれている。

    文章はぶっきらぼうだが、言っていることはいちいち納得できて、「ホラー映画が好き」だの「恋が苦手」だの筆者の意外な?一面にも人間的魅力を感じてしまうのだ。

    クロマニョン人の脳と現代人の脳とは「解剖学的」には差異はないのだそうだ。ならば、その違いはなにか?現代人の脳は自然への感受性を忘れた「家畜の脳」だという。

    現代は科学の発展目覚しく我々はなんでも「分かった」ような気になっているが、自然に対しても傲慢ではいけないということだろう。

    脳の仕組みや働きを理解することで、新しいものの見方も得られるのだと思う。

  • 解剖学者として他の動物とは違うヒトという生き物の生き方を分析。
    女の方が昔のことをよく覚えているのは、生物として子どもを守り育てていく使命があるから。泣くのはヒトだけで、「泣く」という感情は「理解されやすい」から社会性を持ったヒトの進化の過程で生き残った。不快なことはよく記憶しているのは危険から身を守るためで、快の記憶は持続しない。
    目は「パッと見てとる」もので理屈はじつはなく、論理とは耳のもので「ゆっくり考える」
    私は完全に目の視覚系ですね。

  • 流石に脳の話が多いが、解剖学者だけあって、器官の話が面白かった。「耳から入る」「二十代を過ぎたら、外国語を覚えても、どこか訛る。」には、笑ってしまった。11.5.9

  • 「脳のシワ」4

    著者 養老孟司
    出版 新潮社

    p77より引用
    “なぜなら、快感はそう覚えてなくてもいいが、
    不快は覚えているほうが、生存に有利だからである。”

    解剖学者である著者による、
    脳に関する著者の意見を書き綴った一冊。
    幽霊の事から始まり体の各臓器についてまで、
    いつもながらの面白い視点で書かれています。

    上記の引用は、
    脳と感情の章の中の一文。
    生存を脅かす事を避ける為と著者は言います、
    しかし、
    この不快の方を記憶しやすい生物としての能力のせいで、
    嫌な事が忘れられず、
    鬱になったりしている可能性はどうなんでしょうか?
    危険な事は覚えておきたいものですが、
    がんじがらめにならない程度にしたいものです。
    p138の幼稚園の芋掘りの記述を読んでいると、
    食べ物を手に入れる為に実際に汗を流すという考えや行動は、
    そのうち本当に消えて無くなってしまうのではないかと、
    実に不安になるエピソードです。

    ーーーーー

  • 軽く読めるエッセイ集。
    でも、養老さんの科学者としてのエッセンスがすごく詰まっているような気がした。
    どこまで理解できたのかはわからないけど。

  • 2009/05/17購入。気軽に読む感じで。

  • おもしろい

  • とりたてて目新しいことを、斬新な意見もなく、つらつらと。まぁ損はしないけど、得もしないという印象。

  • 小難しい内容を想像していたのですが、全くそんなことはありません。
    さらりと読み過ごしてしまいそうなところに、面白味が隠されていて、それを見つけるのも楽しみ。もちろん、解剖学者としての視点と知識に基づいて書かれているものもあるので、読者対応範囲がとても広い本だと思います。

  • んー.びみょう.「おっ」とか「えっ」とか「へぇ」といった驚きはない.

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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