- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101311036
作品紹介・あらすじ
インドは広く、そして深い。インドを覗くと、何が見えてくるのか?人一倍の好奇心と行動力で"覗きの河童"がスケッチブックと巻き尺を携え、インドの大地を這いまわった。下痢にもめげず、熱射病も乗り越え、体験したものは…。細密イラストと手描き文字で、浮かびあがらせたインドの素顔。上から下から斜めから、"生き生きインド"が見えてくる。空前絶後のインド読本決定版。
感想・レビュー・書評
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本書の発行は1985年なので、ほぼ40年前であるが、今でも色あせないインド旅行記だと思う。40年の間にインドも変化しているのかも知れないが、当時のインドの様子と、それを覗いた筆者の妹尾河童氏のインドでの経験に対してのワクワクしている感じが、今でも新鮮だ。
インド旅行記としての最大の特徴のひとつは、筆者のスケッチと自筆の文字で文章が書かれている点であろう。筆者のスケッチは素晴らしいし、自筆の文字と文章も綺麗だし、その組み合わせは、職人技の極致だ。
現在のインドの人口は14億人を超えている。本書発刊当時のインドの人口は、そこまで多くはないが、日本の数倍の人口は抱えていた。国土も広大だ。従って、インドの本質のひとつは「多様性」だと思う。地理的な多様性、民族的な多様性、言語的多様性、宗教的多様性、階級的多様性、文化的多様性。それはまた、「格差」という言葉で言い表される側面もある。筆者も書いているが、妹尾河童氏が本書で記録したインドは、そのような多様性の一部でしかない。しかし、内容はとても深い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホテルの部屋を上から見た見取り図(立体)が、調度品含め細かに描かれています。観光地もまた(今ではドローン映像で身近になりつつありますが)バードビューのような眺めによって現地を感じられます。白黒ですが(白黒だから)いいのかもしれません。繊細です。
現地では少し高級なホテルと泊まり歩いていますが、ドライバーさんとの交渉もまた楽しそうです(楽しそうなところが伝わるところが流石)。個人的には歴史よりも人との触れ合いの記載のほうが楽しめますね(ガンジス河は最高・・・なのでちょっと辛めの評価になりました)。
生まれながらの差別は、やっぱりあるようで、そこについても触れられています。
5ルピー置いて行ってくれれば写真撮ってもいいよ。。。でも撮れなかった、と。
先日、「あなたの名前を呼べたなら」を観ました。こうした本を読んでいたこともあったので、ヒロインの立ち位置について、いろいろと考えさせられました。 -
中身をペラペラ見た瞬間、買いたいと思った。
全ページ手書きアンドイラスト図付き!
妹尾河童といえば、『少年H』のイメージだったけど、ちょっと何者か分からなくなった(笑)
まず、この手書きの文字がすごくいい!
小学生時代のなんとか新聞みたいな感じで、フォントも工夫がされてあって、楽しい。
これ、一つ書くのにどれくらい時間かけてるのかなって気になりました。
それから、イラスト図もすごい!
インドの風景、名所やホテルの部屋を描いていて、モノクロでも味わえます。
船なんか、二百艇くらい描いてるページもあって、めちゃくちゃ細かい。
ホテルの部屋紹介も、間取りの俯瞰図や説明書きを読みながら、色合いや備品が想像出来る。(蚊がいるとかも、笑)
このスケッチが現地でも大人気で、ピンチをイラストで切り抜けるエピソードも出て来るほどだった。
このエピソードには、名所の紹介やタクシー?ドライバーとのやり取りなんかが書かれている。
ただ、ところどころで、自分がふとしてしまった行為に自己嫌悪を抱くシーンがある。
聖なる動物の牛に道を開けようと退いた時に、何かを踏んづけてしまい、それが死にかけ?た人だったというエピソード。
それが分かって、5ルピーを彼の手に握らせて去った後で、あれは何のお金だったんだ、と自分自身にコメントをする。
併せて、あんな場に居合わせた牛に対して怒るんだけど(笑)その感じが、私には良かった。
旅をしていると、きっと色んなことが見えてくる。
自分自身のこともなんだろうな。 -
「インドに行った事がある」と人に話すと「"何で"インドに行ったの?」という質問が返ってくることがある。これが不思議なことだと気がついたのは、つい最近のことである。
ヨーロッパはもちろんのこと、タイやフィリピンに行ったという話をしたとして、どこに行ったかや、何をしたかと聞かれることはあるが"Why?"と動機の部分に触れられることはほとんど無いからである。
それは日本人一般がインドに対して描いてるイメージに起因するのだと思う。人口が多くて、主食がカレーで、カースト制度があって、最近はRRRなんてインド映画が流行っている。その程度の認識しかない、人口世界一にも関わらず謎の国なのである。
一般的にいう混沌の国というのは極めて正しい。ただその混沌は無秩序さを表すのではなく、様々な多様性を内包しているという意味である。それはヒンドゥー教が多神教で色々な神を吸収してできた宗教というのが関わっているのであろう。
悪びれもなく騙してこようとする人から、よくわからん外人2人にチャイを奢ってくれる人、何もあげないのにカメラを向ければ笑顔を向けてくれる物乞いの少年。本当にさまざまであった。とりあえず彼らは生というものに対して日本人より明らかに情熱的であった(そうせざるを得ない事情もあるのかもしれないが)。わたしはあの国が割と好きだし、もっと知りたいし、また行きたいと思っている。 -
この本を持ってインド旅行。ボロボロになるまで読みました。眺めました。楽しかったー
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カースト制の建前と本音、神を全て飲み込んで信者を増やしたヒンドゥー教、「バード」はイスラム、「プール」はヒンドゥー、性根逞しいドライバーの優しい素顔を怪しんで懺悔、などなどインドのこれでもか!を詰め込んだ一冊。なんと言っても精緻な部屋のデッサンと、全部手書きの本文が圧倒的!
めっちゃ面白いので旅のお供に、トイレの本棚に、だらだらしたい午後におすすめ。 -
ただの観光ではなくインドに入り込んだ記録。
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大好きな本。
読み終わりたくなくて、
毎日少しずつ読んでいた。
同じところを何度も読んだりした。 -
スケッチ番長
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インドの魅力が詰まった本。字が小さくて細かいので、大きな文字で読みたい人には文庫本はおすすめできません、一度読みだすととまらない、インドの魅力と著者の執念にも思えるくらい細かなイラストがつめこまれた一冊。