- Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101312828
作品紹介・あらすじ
怪し気な女ともだちに多額の金を貸していた同棲相手の秋恵。その人の好さに暴力的な衝動をつのらせていく、身勝手な男・北町貫多を描く表題作。大正期の無頼派作家・藤澤清造の歿後弟子を任ずる金欠の貫多が稀覯雑誌を求め、同行を渋る女と地方へ買い出しに行く「瘡瘢旅行」他、敗残意識と狂的な自己愛に翻弄される男の歪んだ殉情を描く、全く新しい私小説。
感想・レビュー・書評
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いずれ罵倒語一覧をつくる。
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2022/6/30 読了
一度読み始めたら止まらない。やっぱり、人間の堕落というものには強く惹きつけられる。 -
解説で酒井順子さんが書いてた
負のヒーロー貫多
がしっくりきすぎた、、、解説で感想や気持ちが言語化されてる
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鬱屈とした負のエロスとゲスい台詞のオンパレード。すごい。
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先日、千葉真一さんが鬼籍に入られたので、思いを馳せるため再度「仁義なき戦い 広島死闘編」を一部見直してみた。
かの大友勝利が映画史に残る名ゼリフをいうシーンがあるが、あれはやはり痛快というしかない。
こういうことを言うと世の女性には蔑視されること間違いなしだが、この貫太&秋恵の夫婦漫才的悲劇はそれに似た痛快感がある。
罵りの後の迷いのない謝罪、そして見え見えの功利的目論見。何回おんなしことやっとんねん、と、突っ込みたくなる。
西村賢太はいくつか読んでるが、この本の解説者である酒井女史が述べる西村作品の魅力についての考察は的確であり、大いに同感する。 -
西村賢太の本は、刊行されればどんな内容かは考えず、とりあえず買って読んでみたいのだが、後で感想を求められれば、どの本にどんな内容が書かれていたのか、どうにも思い出せない。ここまで書いてしまえる作者の切迫感(作者が、私淑する藤澤清造を形容する際に用いた言葉は、作者自身の文章にもあてはまるので使う)がすごいんだ、としかいえない。それで十分だと思う。
また、秋恵を殴るんでしょう?と静観しても、その印象を読後まで持ち続けられない良質な私小説。 -
同棲した女との話が中心。
総てのエピソードを小説にしてしまうんではなかろか?
解説にもあるようにDV男ならではの「落差」が肝だろう(象徴的なのがこれだけ荒くれ者のどうしようもない男なのに一人称が"ぼく")。 -
秋恵シリーズだったがDVメインでなく面白かった。
安定の西村賢太。 -
おもしろいわー。
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自分のやりたいように生き、後先を考えない様、まるで幼稚でロクデナシと言える主人公。
三編の短編、いずれも同棲する女性がおり、よくその女性に好き放題やるのが本作の本質。読んでてウンザリしてしまう為体。起点は同じだが指針が異なるのは面白い。だが、やはり主人公の行動にはウンザリしてしまう。私小説作家の極みここに在り。