インテリジェンス人間論 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.57
  • (14)
  • (57)
  • (63)
  • (1)
  • (3)
本棚登録 : 513
感想 : 52
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101331737

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • #2424-185

  • インテリジェンスとは本来「死んだ文章」を読み込み、行間を読む、というところに語源がある、と。多彩な人間関係を持つことも現代におけるインテリジェンスには必要ではあるけれど、本来は、膨大な資料を精読し、相手の意思、意向を間違いなく「読み取る」ことに本質がある。この本は著者が密接な関係を持った鈴木宗男氏なども登場するが、資料でしか確認できない人も多数登場する。(その最たるものがイエスキリスト…)膨大な労力と学習をの上に揺るがない視点を築き、その視点をもっていろいろな事象や人物の本質に迫っていく。今の日本の政界、外務省に佐藤氏のような器を持った人がいるのだろうか。北海道民としては北方領土返還交渉の経緯に触れられるのがうれしい。道民必読。

  • 涙あり、笑いありの1冊であった。
    宗教絡みの部分は難解だったが、自分の知らないことを知ることができた。
    金日成のレシピが、面白かった!
    『鈴木宗男の哀しみ』と『ラスプーチン、南朝の里を訪ねる』が涙を誘った。
    『国家の罠』の中の収監されていた時のハンストをした時の思いが、鈴木宗男の哀しみにあらわれていると思う。
    読んで良かった!!

  • インテリジェンスの視点から切り込んだ異色の人物論集です。濃ゆい筆者が本当に鋭いまなざしで濃ゆい人たちの意外な姿を映し出してくれています。特に橋本、小渕元総理の話は面白かったです。

    佐藤優さんによるディープな人間観察による人物評論です。書いている人間も濃ければ、取り上げられている人間たちも非常に濃ゆい方ばっかりで読んでいてげっぷが出るほどです。しかし、面白い。国際的な外交の駆け引きで培われた筆者の人間に対する冷徹なまなざしがその筆致によって如何なく炙り出されてくるようです。

    取り上げられている人たちを上げていくと、 福田康夫 安倍晋三 小泉純一郎 森喜朗 小渕恵三橋本龍太郎 鈴木宗男 田中眞紀子 村上正邦 米原真理 エリツィン プーチン ブルブリスセルゲイ・イワノフ ニャゾフ リトビネンコ ゾルゲ マタハリ ラスプーチン 後醍醐天皇 大川周明 蓑田胸喜 星飛雄馬 金日成 スターリン ヒトラー 有末精三 アドルノ ティリッヒ イスカリオテのユダ イエス・キリスト──。その他多数総勢150余名。というそうそうたる人間たちです。

    僕はロシアにはあまり詳しくはないのでエリツィンとプーチン。そしてラスプーチンぐらいしか理解できませんが日本の政治家、特に橋本龍太郎元総理や小渕恵三元総理の持つ苛烈までに激しい内面や鈴木宗男氏の北方領土返還にかける思いの強さ。果ては後醍醐天皇にまで思いをはせるというのは佐藤優さんにしかできない仕事でしょう。

    しかし、この本の元になった連載が掲載されていた雑誌はあの名物編集長・中瀬ゆかりが率いていた当時の「新潮45」だけあって「ロシア人のセックスは最低集に16回がノルマ」ですとか。イエス・キリストは幼少期のころにめちゃくちゃな不良少年だった話。金日正が残したといわれる秘伝のレシピにいたるまで、硬軟織り交ぜた多彩な筆致で僕らを最後まで楽しませてくれる本です。内容に大笑いをすることができて、知的な好奇心も満たすことができる。こういう本を書ける方は現在非常に少なくなっているので、そういった意味では名著であると、個人的には思っています。

  • 佐藤優さんは,本当に賢すぎる.そしておそらく正直なんだろう.ただ,賢さのなかに自分を隠す術を持っているので,上手い具合に話を出しているのは何となく見え隠れしている.
    それにしても,スゴイ.こんな人たちが官僚として日本を動かしているのだから,私利私欲に走る人がいるとたちまち世の中がおかしくなりそう.この本から見えてくることは,著者の言葉で言うならば「愛」をもって動くかと言うことかもしれない.

  • 2010/11/7 Amazonより届く。
    2015/2/26〜3/11

    佐藤優氏の人物評。鈴木宗男、橋本龍太郎、森喜朗氏ら関係深い政治家や、ロシアの政治家、世界の思想家など、独特の目線からの評論はとても興味深い。氏の作品を読むのはいつもワクワクする。後書も素晴らしかった。

著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤優の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×