- Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101342351
作品紹介・あらすじ
代々赤穂藩に仕えたが、浅野と吉良の刃傷事件の後、江戸・深川の裏店へ流れ着いた藤野親子。父は武士の体面を捨て、一心に働くも体を壊し絶望の中で生涯を終える。浪人暮らしを経て、念願の仕官が叶った息子を待ち受けていたのは、よそ者ゆえの残酷な使命だった-(「沙の波」)。お家断絶に見舞われた赤穂浅野家や三田九鬼家に生きた武家などの、哀切な矜恃と家族の絆を描く全五篇。
感想・レビュー・書評
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小説新潮2005年6月号沙(いさご)の波、2007年7月号暁の波、2008年2月号ささら波、8月号夕彩の波、12月号澪の波、の5つの武家もの短編を2009年10月新潮社刊。2012年3月新潮文庫化。いずれも九鬼家の下級武士、その家族のお話。命のやり取りもある話に怖さもあるが、無事であれば、安心もひとしおで、各シーンが簡潔な文章で緊迫感たっぷりに書かれている。登場人物それぞれの生きようとする姿に胸を突かれます。
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短編5部構成からなる、波をテーマ?というよりも
人生いろんな波があるのですよと言われているような
そんないさご波。
海だったり川だったりまぁ様々ですけども
タイトルそれぞれに
沙の波、暁の波、ささら波、夕彩の波、澪の波の構成。
ストーリー自体もいろんな話があって
赤穂浪士だけど時代劇でお馴染みの忠臣蔵のシーンはなく
むしろ参加しなかった人々、など。
もちろんそれとはまた違う話もあり。
個人的には夕彩の波の話が一番良かったけど、他のももちろん捨てがたい。
澪の波とか、師弟関係の話もあるし。
基本的にみんな殿様とかじゃなくて普通に暮らしている人が主人公だからこそ
華々しさはないけど、こう沁みる感じ。
みんなだいたい暗い影を残して生きてるというか
何かしら後ろめたさみたいなものがあって。
でもそれでも、今を生きるのに必死な人がたくさん出てきたり。
なんだか久々に見る繊細な小説だった気がする。 -
お家断絶に見舞われた赤穂浅野家と九鬼家に生きた武家の、哀切な矜恃と家族の絆を描かれた珠玉短編集。
まさに江戸時代の古き良き武家社会の良い面を、美しく、清貧、家族、知人を思いやる気持ちが読み終わっても爽やかに心が洗われる。そのうえ簡素な文体でとても読みやすい。
どなたでも読んでほしい -
波って人生のようにも思えます。そんな風に感じる短編集でした。どの短編も切なさや侘しさがあり、一気に読むには心が元気な時でないとつらいなぁと、少し疲れ気味の私は思いました。特に『沙(いさご)の波』と『夕彩の波』は、ままならぬ人生とか人の思いが感じられて切なかったです。重里氏の解説『後ろめたさの由来』もとっても共感出来て良かったです。
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もうちょっと情感を
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