春告げ坂: 小石川診療記 (新潮文庫 あ 66-3)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101342368

作品紹介・あらすじ

たとえ治る見込みがなくとも、罪人であったとしても、その命はすべて尊い――。長い長い坂を登り切った先に位置する小石川診療所。身寄りがなく、弱い立場に置かれた人間が集まるこの場所で、医師・高橋淳之祐は日々奮闘していた。ある日入所した老人の秘められた人生が淳之祐の父の死の真相を明らかにするとき、彼の前に進むべき道が現れる。爽やかな感動を呼ぶ「赤ひげ」青春譚。

感想・レビュー・書評

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  • 小石川養生所で働く若き医師、高橋淳之祐。患者を治すことを第一に考えて精進していますが、養生所の現実はなかなか厳しくて看護の人手の面でも薬代等の費用の面でも思うようにはいきません。それでも看護中間の伊佐次や下働きのお瑛等、一生懸命働いてくれる人達に希望を持ちながら、完治が難しい患者と向き合っています。淳之祐の実父と関わりのある者が患者にいると知って淳之祐の心は揺れ動きますが…。
     淳之祐の周囲は優しい人だらけです。養父母は愛情深く接してくれたし、義兄は淳之祐を可愛がってくれました。だから、まっすぐ育ったのでしょうね。彼がこの先蘭学を学び、より腕のよい医者となって人々を救っていく未来が見えてきそうです。爽やかな物語でした。

  • 熱血青春もの。テレビの時代劇かアニメを見ているように軽い。鉄平のようなコミカルな人物もお決まりのような登場である。同じ小石川養生所を舞台にした周五郎の名作「赤ひげ診療譚」。まだ読んでない人は、読み比べてみてほしい。2016.4.26

  • 副題、小石川診療記。
    当然ながら思い出すのは周五郎さんの『赤ひげ診療譚』であり、周平さんの『獄医立花登手控え』シリーズです(ちなみにこのシリーズは私が大好きな藤沢作品のうちでも1、2を争う作品です)。
    この作品の主人公の淳之介は若く、生真面目で心優しいところ、さらに多少は柔道の心得があることなど、周平さんの立花シリーズに似ています。ただやや軽率なところもあり、そのぶんさらに等身大な気がします。
    ただ、やや書き込みが浅いかな。脇を固める人々も伊佐治はなかなか魅力的ですが、ヒロインのお瑛の存在感がちょっと薄い気がします。この素材なら、もっと書き込んでもっと深い物語にできた気もします。
    先日から何故か江戸時代の医者物が続きます。ついでに藤沢さんを読み返そうかなぁ。

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