雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (688ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101343266

感想・レビュー・書評

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  • 大長編も7巻目となった。時代はとうとう1941年12月8日に至り終わりも近い。描かれるのは戦いの場面が多くなり、男女が入り乱れたりするシーンも減っていまいち面白くない。
    解説(高野秀行)の船戸作品分析がなかなか秀逸。「(作者の船戸さんは)舞台をどこに定めても大枠の「現実」を勝手にいじらない。架空の政治家や政党、反政府ゲリラなどは一切登場させない。~中略~ 半面、実在の人物は直接書かない。それがイランのホメイニ師であれ、幕末の榎本武揚であれ、登場人物の会話や地の文にこそ垣間見えるが、彼らの内面が描かれることはない。内面どころか見た目の描写さえない。おそらく、見た目を描写すると内面も透けて見えてしまうからだろう。」(p.684)とか、各巻の解説を読んできたので敷島4兄弟(それにしても太郎、次郎、三郎、四郎という名づけ方は何という短絡さ。フィクション感を醸すためだろうか)の末路もそこはことなく知っているんだけど、本巻の解説の「船戸作品の登場人物が最後にはほとんど死んでしまうのも、彼独特のニヒリズムだけが理由ではなかろう。「自分が創ったものは自分で始末しなければいけない」――それもまた船戸さんの流儀の一部なのだと思う。芝居が終わったあと、舞台は前の状態に戻さねばならないということだ。」(p.684)を読んで何だか納得。次巻以降を楽しむ視点がひとつ増えたような感じ。

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