- Amazon.co.jp ・本 (848ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101344737
作品紹介・あらすじ
昭和三十八年十月、東京浅草で男児誘拐事件が発生。日本は震撼した。警視庁捜査一課の若手刑事、落合昌夫は、近隣に現れた北国訛りの青年が気になって仕方なかった。一刻も早い解決を目指す警察はやがて致命的な失態を演じる。憔悴する父母。公開された肉声。鉄道に残された“鍵”。凍りつくような孤独と逮捕にかける熱情が青い火花を散らす──。ミステリ史にその名を刻む、犯罪・捜査小説。
感想・レビュー・書評
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この本は図書館で何回も借りてきて、新刊優先で読んでいると読めなくなってしまって(文庫本で835Pあります)何度も返却してあきらめたのですが、文庫になったので買いました。
一体、どんな事件かと思って最後まで非常に面白く読まされました。
昭和の高度成長期の話です。
東京オリンピックのあった年です。
鈴木商店という豆腐屋の子どもの吉夫ちゃんが誘拐されます。
容疑者は鈴木商店への怨恨、変質者、愉快犯、宇野寛治という二十歳の男。
最も怪しいのは寛治です。
寛治は北海道の礼文島から窃盗の罪から逃れようとして出てきた窃盗犯ですが、ヤクザの子分の町井明男と知り合いつるんでいます。
寛治は5歳の頃継父に当たり屋をやらされて頭を打ち、頭に記憶障害があります。
この作品は警察小説だと思いますが、警察は吉夫ちゃんの身代金50万をまんまと犯人にとられて人質は帰ってきていません。
吉夫ちゃんは無事なのか?
本当に寛治が犯人なのか?
寛治は頭に障害があるせいか、飄々とした憎めないキャラクターで、とても子どもを殺すような残忍な人間には思えませんでした。
今となっては旧き良き時代だった昭和のヤクザと警察の裏取引や、仲間を愛称で呼び合う警視庁の刑事たちのやり取りも面白く読めました。 -
ブクログの文庫ランキングを見ていて、評価が高かったので書店で購入。
うぉ、素晴らしい厚み。
私は長編小説が大好きだ。
長い時間を小説の中の人物たちと過ごせるのが何よりの喜びだ(^^)
この本は、東京オリンピックが迫る、昭和三十八年頃のお話。
北海道礼文島で暮らす漁師手伝いの青年、宇野寛治は、頭のネジが一本足らない。何をやっても人より上手く出来ない。皆からは莫迦だと言われる。
そんな寛治は、漁師では生計を立てられないため、民家にスリに入る。
ある日、漁師の仲間から、網本の家にスリに入れと唆され、まんまと盗品を漁師仲間に奪われ、自分は燃料不足の船に乗せられ殺されそうになる。
礼文から命からがら北海道に渡った寛治は、スリをしながら東京を目指す。東京には明るい未来があると信じていた。
それから暫くの後、東京北千住で、強盗殺人事件が起こる。
捜査一課強行班係に所属する刑事・落合昌夫は、書き込みの中で、子供たちから「莫迦」と呼ばれていた北国訛りの青年の噂を聞きつける。
莫迦でスリをするしか能力のない寛治だが、人が良く、北海道訛りで愛嬌があり、何だか憎めないような人間像。
そんな寛治が本当に事件を起こしているのか!?
この話は何処に私を着地させてくれるのか!?
気になって気になって先を夢中になって読んでしまうような本だった。
素晴らしいボリューム。
そして読みやすい文章。
次々に変わる場面。
しっかり楽しませて頂いた!-
しずくさん
はい、長編はいいですね(*^ω^*)
そう、親近感を覚えます!
登場人物の人となりも想像できるようになると、物語の世界...しずくさん
はい、長編はいいですね(*^ω^*)
そう、親近感を覚えます!
登場人物の人となりも想像できるようになると、物語の世界に入り込んでしまいます(^o^)
奥田さんの作品は、ボリューム大なもの結構ありますよね!
いつも物語の世界にどっぷりハマってしまいます(*^^*)
結局まだ、会社に置いてある短編に手が出ず、会社に長編を持ってきてしまっている私(笑)2023/02/14 -
>結局まだ、会社に置いてある短編に手が出ず、会社に長編を持ってきてしまっている私
分かる、とても分かります。
私も短編ものも借りるの...>結局まだ、会社に置いてある短編に手が出ず、会社に長編を持ってきてしまっている私
分かる、とても分かります。
私も短編ものも借りるのですが、結局長編に手を出して、短編は読まずに返すのがいつものこと(^_-)-☆2023/02/15 -
しずくさん
凄く似てますね(*^^*)
共感して頂けて嬉しいです(^^)
結局会社に置きっぱなしの本さそのままに、今読んでいる...しずくさん
凄く似てますね(*^^*)
共感して頂けて嬉しいです(^^)
結局会社に置きっぱなしの本さそのままに、今読んでいる本がまた短編で(^◇^;)
全然没頭出来ず、読者が進んでいません(笑)
世の中にはショートショートが好きな人だっているのに、何で私はこんなに短編が読めないのだろう??(~_~;)2023/02/19
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奥田英朗『罪の轍』新潮文庫。
以前から面白いと評判だったので文庫化を待ち望んでいた。
昭和38年に起きた『吉展ちゃん誘拐事件』をモデルにした長編犯罪小説。
しっかりした時代背景をベースに当時は変革途上であった警察組織が犯人に翻弄される姿が見事に描かれている。幾つかの事件が複雑に絡み合う800ページ超のボリュームも展開が非常に面白く、読み応えは充分だ。
冒頭に描かれる北海道の礼文島で番屋に暮らす少し頭の弱い20歳の宇野寛治の物語。昆布漁で奴隷のようにこき使われていた宇野は空き巣を繰返すうちに同僚の策略に嵌まり、雇い主の番屋に放火して、家の金庫から金品を盗み、漁船で本島に渡る。
昭和38年、1年後に東京オリンピック開催を控え、好景気に沸く日本。警視庁捜査一課の若手刑事である落合昌夫は元時計商の老人が殺害されて金品が盗まれた事件の捜査に加わる。
事件現場の周辺で目撃された北国訛りの青年が気になった落合昌夫は北海道まで渡り、青年が宇野寛治であることを突き止めるが、宇野の行方は分からなかった。
そんな中、東京の浅草で豆腐店の長男が誘拐され、身代金50万円を要求される事件が発生する。落合昌夫はこの誘拐事件の捜査にも加わり、身代金の受け渡し現場を監視するが、ふとした隙に犯人に身代金を持ち去られてしまう。
この誘拐事件の背後にも宇野寛治の影がちらつくが、どのように関与していたのか。明らかになる宇野の過酷な生い立ちと事件の詳細。本当に宇野が犯人なのか。そして、事件の行方は……
本体価格1,100円
★★★★★-
吉展ちゃん事件が下敷きだったんですね。名前は聞いた事があったけど、どんな事件だったかも全く覚えていなかった。だから物語に入り込めたのかも知れ...吉展ちゃん事件が下敷きだったんですね。名前は聞いた事があったけど、どんな事件だったかも全く覚えていなかった。だから物語に入り込めたのかも知れません。2023/10/07
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吉展ちゃん誘拐事件は自分の生まれた年に起きた有名な事件です。リアルタイムではないですが、その後テレビなどで取り上げられたので記憶にあります。吉展ちゃん誘拐事件は自分の生まれた年に起きた有名な事件です。リアルタイムではないですが、その後テレビなどで取り上げられたので記憶にあります。2023/10/07
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何じゃこりゃー
これじゃあ救われないじゃないかー!って怒ったよ。
途中から被害者の方に感情移入しちゃって、のらりくらりとした男の会話に腹が立って、イライラしましたo(`ω´ )o
小説だけど・・。
奥田英朗さんは、「邪魔」「無理」から20年ぶりに読みました。お久しぶり。
時代が古いし、分厚いし、最初は読みにくい感じで進まなかった。
けど途中からは犯人が誰なのか気になって気になって、最後まで一気読みでした。
なので、お話は面白かったです。
前情報を入れなかったので、後で実話がベースと知りました。
ミキ子がいい味出してる。 -
戦後最大の誘拐事件をもとにした小説とのこと。
昭和30年代の時代背景や生活様式により、警察の捜査手法も今とは比べ物にならないくらいのアナログ。その時代はそれが当たり前であり、当時の困難さがうかがえる。
警察と容疑者との駆け引き要素は少なく、どのようにして追い詰めていくのかに焦点が絞られている。
800頁にも及ぶ長編だがテンポもよく内容もすんなり入ってきた。 -
一気読み案件。
中盤からは止まらなくなり寝不足必至。
犯人に感情移入しつつ、どうか犯人は違う人であってくれと思いながら読み進める。
救われない。。。 -
最初は面白かったけれど最後が驚くほど面白くない。
結局今までの事はなんだったんだ。轍を辿ってだから何があるんだ。不完全燃焼。 -
800ページ超えの大作。ブクログで「あなたにおおすめ」と何度も出てきたので、気になり手に取った作品です(笑)
昭和38年に起こった、「吉展ちゃん誘拐事件」をモデルにした作品。この事件は耳にしたことはあったけれど、詳しいことは知らずに読みました。
東京オリンピックに湧く高度成長期だった日本の忙しなさの中で起きた誘拐事件。
まだ電話すら稀だった頃の警察の捜査は時間が必要でもどかしく感じたけれど、捜査に関わる刑事たちの熱い思いが伝わってきました。
どんでん返しや巧妙なトリックなどはないけれど、実際にあった事件をモデルにしているので現実味があり、犯人や刑事の心理描写は生々しく、当時の背景描写も目に浮かんで、奥田先生の引き込む文章力には圧巻でした!
奥田先生の作品は、大好きな「イン・ザ・プール」~の伊良部先生シリーズしか読んだことがなかったけれど、振り幅がすごい!
ブクログのおすすめは侮れないです(笑) -
800ページを越える大作、しかも傑作、ページをめくる手が止まらない。
礼文島でバカ呼ばわりされる寛治は、痛ましい生い立ちだ。コソ泥を働くが憎めない男で、寛治をよく知る人々は口を揃えて言う、「あいつはそこまで悪い奴じゃない」。読者だってそう思ってしまう。舞台は東京へ変わり凶悪な犯罪が起きるが、真犯人が現れるのを待ったのは私だけだろうか。
最後は何ともやりきれない読了感だが、ミキ子と明男の人情味溢れる人柄に癒される。星六つあげたい。 -
オリンピックの身代金を読んだ後で五係の面々に
また会いたくなって再読。人物像が頭に入っているだけでこんなにも物語が立体化してくるとは。
ラストでハンチングの村田らしき男も現れてやはり読んでよかったと。わかる人にはわかる。
手に汗握る展開の末にやりきれなさばかりが募るのかと思いきや、警察の威信をかけた争いも充分すぎるほどに堪能できた。
再読しても充分すぎるほどにのめり込めた。
ますます奥田ワールドの虜となってしまいそう。
いつもいいねありがとうございます。
昨日いつもの本屋で手に取ったのですが、積読いっぱいあるし、この厚みだと読むの...
いつもいいねありがとうございます。
昨日いつもの本屋で手に取ったのですが、積読いっぱいあるし、この厚みだと読むのにも時間かかるなぁ...って思い、購入せずに帰ってきたのですが、まことさんのレビュー読ませて頂き、めちゃくちゃ面白そうなのでやっぱり購入することになりそうです。
いつも勝手にレビュー参考にさせて頂いてます。
こちらこそ、いつも、いいね!ありがとうございます。
この本は昭和の旧き良き警察小説で、とても、面白かったです。
...
こちらこそ、いつも、いいね!ありがとうございます。
この本は昭和の旧き良き警察小説で、とても、面白かったです。
835ページありますが、読みやすい文章で、字も大きめなので、読み出したらあっという間でした(といっても3日かかりましたが)。
これからもどうぞよろしくお願いします。
ヒボさんのレビューも楽しみにしています。