つばくろ越え: 蓬莱屋帳外控 (新潮文庫 し 35-14 蓬莱屋帳外控)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101345246

感想・レビュー・書評

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  • 蓬萊屋勝五郎の命を受けて、江戸と諸国をひとりで結ぶ、通し飛脚の物語です。
    勝五郎の手の者は、何人もで継いでいく継飛脚と違い、八百両もの大金を一人の飛脚が責任をもって運ぶ通し飛脚たち、もし失ったら全額を勝五郎が負担します。このために人の通らない道を大金を持つていると悟られないように走り続けます。

    第一話。仙造は、走りながら寒村で孤児の巳之吉に同情して、巳之吉を蓬莱屋へ連れ帰る「つばくろ越え」は、何度もすばしこく、ずるがしこい巳之吉に騙されますが、最後まで粘りずよく巳之吉に付き合い改心させます。

    第二話。すみを探し出して手紙とお金を届けた宇三郎が、なぜ危険な事に首を突っ込むのか「出直し街道」は、美しくしっとりした女のすみを挟んで二人の男が取り合う物語です。すみは、宇三郎に案内されて最初の夫がいる江戸へ行きます。

    第三話。薬を届けた仙造は、悪辣な追手に追われる医師夫婦(夫婦ではない)に関わっていきます「ながい道草」は、夫のもとから逃れてきた医師りくは、夫が雇った二人の素波が殺しに来るのをひたすら逃げ続けますが、患者がいると医師夫婦は、危険をかえりみず治療に専念します。

    第四話。重篤な病に侵され死出の旅に出て行く飛脚の半次を追っていく「彼岸の旅」は、半次は、死ぬときは昔の女主人にあってと故郷へ向かいます。しかし、すでに女主人は亡くなり、半次は、墓にぬかずき、勝五郎が来たときには、半次は亡くなっていました。

    【読後】
    痛快な時代劇と胸を打つ人間ドラマに感動します。展開が早く、テンポがよく、音読で読んでいると気分が高揚してきます。
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    【音読】
    2022年10月21日から28日まで、音読で志水辰夫さんの「つばくろ越え 蓬萊屋帳外控」を大活字本で読みました。この大活字本の底本は、2012年3月に新潮文庫から発行された「つばくろ越え 蓬萊屋帳外控」です。本の登録は、新潮文庫で行います。埼玉福祉会発行の大活字本は、上下巻の2冊からなっています。
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    つばくろ越え 蓬萊屋帳外控シリーズ1作目
    2022.05埼玉福祉会発行。字の大きさは…大活字。
    2022.10.21~28音読で読了。★★★★☆
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  • とにかく、面白い。
    久々に、読んでいると、空が明るくなるまで読んだ。
    時代小説は、2作目だが、早速 大人買いして読もうと思う。
    小説ってこうじゃなきゃ。

  • あまり取り上げられない飛脚という商売。やはり彼らも職人なんだな。ただ小説としては淡々としすぎているかも。もう一歩。

  • 痺れた!。傑作。ラストの一行がビシッと決まる。
    素晴らしい。

    江戸の旅ものが続くけど偶然ではない。つい、惹かれてしまう。本書の一編に、きよのさんのように豪勢な旅をして買った物を家に送る女性が登場する。きよのさんのようなキャラでは無いのだけど。

  • 42

  • 2012/2/28 Amazonより届く。

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著者プロフィール

1936年、高知県生まれ。雑誌のライターなどを経て、81年『飢えて狼』で小説家デビュー。86年『背いて故郷』で日本推理作家協会賞、91年『行きずりの街』で日本冒険小説協会大賞、2001年『きのうの空』で柴田錬三郎賞を受賞。2007年、初の時代小説『青に候』刊行、以降、『みのたけの春』(2008年 集英社)『つばくろ越え』(2009年 新潮社)『引かれ者でござい蓬莱屋帳外控』(2010年 新潮社)『夜去り川』(2011年 文藝春秋)『待ち伏せ街道 蓬莱屋帳外控』(2011年新潮社)と時代小説の刊行が続く。

「2019年 『疾れ、新蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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