- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101349367
感想・レビュー・書評
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「昭和」がまだあと十数年続くあの頃。小学6年生のノブとハム子は、一人っ子。ふたりそれぞれに弟もどきができて、今までの生活に経験のない事が起き始める。昭和の団地に住む子供達が、多少複雑な事情を持つ大人達の事情に振り回されながら、助け合い支え合って、友人となる。安定の重松作品。
が、とう言う私もこの時代の一人っ子。重松さんでさえ、一人っ子はわがまま。一人っ子はひ弱でたくましさに欠ける。これも世間の常識なんだろう。なんて表現なさる。全く遺憾でありまあす。確かにまだ一人っ子が少なかった。一人っ子と知ると、よくも知らない大人達が、甘やかされてるんでしょうね、なんておっしゃる。あんたんとこの娘の方が、学校では、グズでわがままよ!とは口には出さない。裕福な貴族の御子息御令嬢でもあるまいし、通常、家庭内負荷が2倍3倍にのしかかる奉仕者でしかありません。その常識を押し付けられない様に私の知る一人っ子達は、責任ある行動をとっておりました。
そして、一人っ子を甘くみてはいけません。家庭盤ゲームが一人だとできないからね、だと。トランプだって、一人で4人分やるし、人生ゲームだって一人で5台は動かし、銀行だってやり切った。子供が複数居ないとできないなんて、満ち足りたた家庭人の上から目線はいただけない。オセロはできないけどね。人生ゲームの準備から片付けまで無言でやり続ける忍耐力と空想力のどこがひ弱でしょうか。しかも、無口を愛嬌がないとか言い始める世間。ただの愚痴をここまで読んでしまった方は、申し訳ありません。
たぶん、一人っ子の習性として、同盟は組まないと思います。 -
ずっと積読状態だった作品。
少し考えさせられるというか、深く作品に浸りたい?という思いから、久々に重松さんの作品を手に取りました。
同じ団地に住む小学6年生のノブとハム子、そして、小学4年生のオサムの家族の話。
子どもの「どうにもならないことって、ある。けっこうたくさんある。」ということが、本当に良く描かれていて、切なくなるときがあった。
読みながら「辛いよね~」と登場する子どもに共感したり同情したりすることが多かったけれど、10年、20年後、彼らが幸せに笑っていたら良いな~と、物語なのに思いました。 -
なんだってこんなに等身大の子どもを描けるのかと思うくらいだよね。
児童文学作家さんとかって。
重松清さんも、すごいよね。
公子をハム子と読んだ、という出だしから、
既視感があったんだけれど、
内容も全然覚えがなかったから、
やっぱり初めて読んだんだけれど、
じゃあどこでハム子って見たのかなぁ、
思い出せない。
オサム、好きだなぁ。
必死な痛々しい感じが可哀想だけれど、
寄り添ってあげたくなるよね。
ハム子のとげとげしさにはあんまり共感できんかったけれど、なんでこんな状態で再婚できるのか、とも思うし、まさか離婚するとも思わんかったけど。
好きなシーンは
「わが家でいちばん早く季節が移り変わるのは、茶の間の壁だ。」
というところ。
こういう表現いいよねえ。
お父さんの、
「自分の子どもに、好きな場所や、好きやことや、好きなものがあるっていうのは、親としてはなによりもうれしいんだよ」
「好きなもの訊かれて、ちゃんと答えられるうちは、人間、みんな、だいじょうぶだ」
もいいよね。
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子供向けですらすら読めた。それぞれに事情があるのだとおもった。
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重松清の昭和モノ。
さすがの重松さん、セピア色の世界観を最後までぐぐっと読ませてくれた。
重松作品の中ではそんなに好きな方の部類ではなかったものの、ほんのり切なくもやっとするラストも、そう悪くはなかった。
★3つ、7ポイント。
2021.04.10頃。新。
※レビューし忘れて2週以上も放置(苦笑)。
※「鍵っ子」という単語が今や死語と化していることに、この作品で気づかされた(苦笑)。
※気づけば、「一人っ子」も、当たり前なんだなぁ・・としんみりした。
・・・自分の子供時代には、一人っ子も子沢山もどちらも普通にいたけれど、自分のほんの少し上の世代に遡ると、一人っ子の方が肩身の狭い思いをしていたとは・・・新鮮な感覚だった。 -
嘘ばかりつく両親のいないオサム、幼くして兄を亡くしたノブ、親の再婚で新しく兄弟の出来るハム子。家族の形はそれぞれで、ひとりっ子の事情もそれぞれ。
オサムが団地にやってきたことをきっかけに三人のひとりっ子同盟が展開していく。
やっぱり重松さんには泣かされる。 -
それぞれの事情があって、一人っ子である子供たちの話。
時代背景は作者自身が小学生の頃らしく、主人公の親が戦争を体験している世代。当時はわざわざ「同盟」を組む程度には一人っ子がまだマイノリティの時代だったようだ。
正直、話の中で出てくるそれぞれの問題が解決せず、すっきりするわけではない。
それでも、問題を抱えながらも年を重ねていく人々の、折り合いの付け方のヒントになり得る作品かな、とは思う。
小説(特に重松作品)は、読み手側がもうできない、もしくはこれからありえる体験を追体験できるところに醍醐味がある。 -
久々の重松清。
「どうにもならないことって、あるんだよ」というハム子のセリフが印象的だった。
自分も一人っ子だったのもあり、共通項を感じて購入してみたが、全然自分とは違った。
一人っ子だけど、背景が全く異なる3人の登場人物。みんなそれぞれ、自分の家族について悩みがある。小学生までしか描かれてなかったけど、このあとどうなったか気になるところ。
大人との会話が多いから子供の頃から1人で考えて解決する…...
大人との会話が多いから子供の頃から1人で考えて解決する…そんな気がします。
昭和のあの頃まだまだ男の子を産めという事を近所の人にも言われたし(うちは3人目も女で母は泣いたらしい)
おびさんのレビューと皆さんのコメでまた一つ勉強になりました(^ ^)
「なんかいつまでたっても読む気になれないんだよなぁ」と考えていたのでビックリしました。
あくまでも個人...
「なんかいつまでたっても読む気になれないんだよなぁ」と考えていたのでビックリしました。
あくまでも個人の感想ですが、重松清作品って「道徳」っぽいっていうか「これが世の中の正解なんだぞ」と重松清の考えを押し付けられてる感じがして苦手なのかな~と。
わたし4人きょうだいで 子供の頃は「もしひとりっ子だったら」って妄想をいつもしてました笑
4人ですか。一人っ子妄想の夢を砕いてしまいました?
兄弟姉妹何人でも、それぞれ、何かしらありますよね。そう言えば...
4人ですか。一人っ子妄想の夢を砕いてしまいました?
兄弟姉妹何人でも、それぞれ、何かしらありますよね。そう言えば、私は記憶では、子供の頃兄弟が居る妄想をした事がないわ。あれ?笑。