プリズン・ガール―アメリカ女子刑務所での22か月 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101352718

作品紹介・あらすじ

ニューヨークに暮らす20代の私は、ある朝、突然FBIに逮捕された!麻薬密売組織に協力したという、身に覚えのない容疑だった。無実の訴えもむなしく、絶望と不安を抱えて、連邦刑務所への入所日を迎えた私。だが、米刑務所の意外なシステムの下、次第に様々な人種の囚人仲間と友情を育みはじめて-。日本人の女の子が実際に経験した、過酷ながらもポジティブなプリズン・デイズ。

感想・レビュー・書評

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  • ○○ガール系で見つけたと思って軽く手に取ったがとんでもない!
    リアルな獄中記で終始圧倒。

    内容は壮絶なのに暗くはなっていかない著者の性格と文章力。
    濃すぎる登場人物達とのやり取りにページをめくる手が止まらなかった。

    こういう出会いがあるから読書はやめられないなと思った。

  • 2年間のNY生活の中で著者の恋人であったロシア人が実はマフィアであり、彼の麻薬の売買に関わったとして、2年弱の刑務所生活を余儀なくなれたという、体験記。

    実に興味深かった。
    アメリカに住む人たちの人種の多さによる価値観の違いは、もちろん承知の上だが、刑務所に入っている人達のそれとなると、全くの未知の世界。
    彼女が入った刑務所は、麻薬絡みの受刑者が多いせいか、ヒスパニック、中南米系の人が多い。
    白人はほぼ居なく、アジア人も多くはない。
    そんな中でたった1人の日本人として、逞しく?生きて暮らした彼女はある意味凄いなと思う。

    とてつもなく大変だったと思うが、なんでも興味を持って前向きにやってみようとする気持ちや、周りの人に対するちょっとした気遣いが、彼女の周りに良い空気をもたらし、価値観の全く違う受刑者達とある程度上手くやっていけたんだなと思う。

    日本の刑務所のイメージと全く違う、割と明るくて自由な印象を受けたが、果たして彼らは罪に対して反省するのだろうか、、、とは思った。

  • NYで暮らしていた20代前半の著者はお洒落とクラブが好きな普通の日本女性だ。
    しかしロシアンマフィアの彼が麻薬の大物ディーラーで、それに関与されたとして逮捕された。
    本人は無実だというが、彼に貸したカードが取引に使われたり、中身を知らずに荷物を送ったりしている。
    韓国映画「マルティニークからの祈り」でも、荷物の中身を知らずに運び屋のバイトをした主婦がカリブ海の島の刑務所に入れられる話だし、日本でもSNSで報酬につられて荷物運びのバイトをしたら中身が麻薬だった、というケースがある。
    空港で荷物を預ける際は自分で詰めたか、間違いなく自分の荷物かを確認される。
    だから著者が逮捕されるのも仕方のないことなのだ。
    だが彼女が凄いのはここからで、彼がマフィアだと知って付き合ったのは自分だし、それが罪ならばと現実を受け入れる。
    更に彼には妻子と愛人がいたことを知りその裏切りに悲しむが、司法取引は拒否する。結果として2年収監されるわけだが、逮捕から収監まで1年あるので、実質3年不自由な生活となるのだ。

    収監された刑務所は麻薬がらみの者が多く、白人はわずかでそれ以外の人種が詰め込まれているような場所。
    人によってはこの先一生監獄で過ごすことになる。
    アメリカの刑務所は自由が多いと聞いた通りではあるが、それでも狭い社会でままならないことも多い。
    男役が生まれたりカップルができるのも女社会ならではなのだろう。
    そして大抵の囚人は生まれ育った環境からマフィアになったりする。
    だから出所してもまた戻ってきてしまうことも多いし、反省する者も少ない。
    その中で唯一の日本人である彼女はすさんだ所がない。
    マフィアと付き合い逮捕されるような人は、自身も麻薬中毒になったりこのまま人生が転落していったりするケースが多いように思う。
    しかし彼女は出所して日本に強制送還された後は、むしろその英語力を生かして普通に働いているそうだ。

    ライターでもある構成協力者と出会ったのは、女子高生援交店のオーナーの彼女の友達としてだったそうだ。
    そんなちょっと危うそうな女の子たちが集まる場所でも、彼女は自分を保っている。
    自分があり、素直でしなやか。そのしなやかさは強さだ。
    そんな著者の視点から語られる刑務所の生活。
    絶対にそんな体験はしたくないが、だからこそ軽やかに語られる日々に引き込まれるのだ。

  • 今の生活では体験できないけれど、少し転んだら自分もいつ同じ目に合うかわからない。そう思わせる獄中記。のめり込むように読んでしまった。
    この本を読む前に、出所したヤクザが小説を書くドラマ「ムショぼけ」を見ていた。不思議な一致を感じて読んでいたんだけど、最後解説でこの本を編集した藤井良樹さんが「最初の原稿は、ほとんど改行なしにびっしりと文字が敷き詰められた代物だった」と書いていて、同じ描写が先に見たドラマでもあったので、ちょっとびっくり。
    思ったことを文字にする。声にする。どんな事があっても生きる。生きようと語る。そう思った。

  • 2回目。


    愛してしまったからしょうがない。

    この言葉はずん、と心にくる。


    全てが衝撃で、鮮烈だった。


    全然違う話で思い出したことが。プリズン・ブレイクで何度も何度も事件を起こすマイケルが心の底から信じられなくて見るのをやめちゃったんだけど、たぶん、この本に答えが書いてある。

    きっと、外の世界の普通の無味無臭に耐えれないんだろうなと思った。


    でも、有村さんはいい男を捕まえてニューヨークにいたときより幸せな人生を送っていて欲しい。

  • いや〜面白かった。サックと読めた。本当は辛い悲しい出来事なんだろうけど、悲壮感が無くそれが良い。ほぼ同年代の若かりし頃の苦い体験。アメリカと言う国の良いところ悪いところが分かった。

  •  刑務所なうも読んでいて、日米で刑務所比較すると、アメリカはよくも悪くもいい加減なところだ なかなかアメリカの刑務所に入った日本人のノンフィクションなんてないから、実際の刑務所生活が知れて面白い。囚人の罪と罰もさまざまで懲役200年なんて信じられないのもあったけど、著者は刑務所生活にそこまで悲壮感がないので暗くならずに読める。

  • 圧倒的に面白い。アメリカは病んでいるということが良くわかる。しかし、著者は強い人だな。

  • 文句なく最高に面白いよ

  • 実体験はすこぶる面白いのだけれど、文章の端々にけっこう引っかかる。例えば、他の囚人に「〜してあげた」とかいう表現。あと、収監後の感情はもっと複雑だろうに、けっこう自分自信の感情を美化しがちな点。
    けっこう感情あらわに行動する囚人たちの中で、感情を隠して上手く立ち回る著者の姿はいかにも日本人的で、それが合衆国という場所に移されると、ひどく醜悪に見えてならない、のは気のせいか。

  • なかなか興味深い。いや入りたくないけども。

  • 毎日暑いですね。もう聞き飽きたフレーズでせうが、暑いものは暑い。読書慾も失せるのであります。否すべての活動が億劫になる。こんな時わたくしは、漫画『じゃりン子チエ』のワンシーンを思ひ起こすのです。
    チエと父親のテツが通りを歩いてゐます。あまりの暑さにチエが「暑いなあ」とつぶやくのですが、それに対するテツの返答が良い。ただ一言、「夏やんけ」。このセリフを言はれたら、暑いなどと文句を垂れるのが莫迦らしくなつてきます。けだし名言と申せませう。「夏やんけ」。

    と、萎へる心を奮い立たせたところで、『プリズン・ガール』の感想文をちよつとだけ。
    著者の有村朋美さんは、24歳の時、在住してゐた米国にニューヨークにて、ドラッグの密売に関与したとしてFBIに突如逮捕されます。わたしはやつてゐない!と心で叫びますが、容赦なく冷たい手錠がかけられ、その一年後に有罪判決を受けるのです。懲役二年。

    で、連邦刑務所へ入所するも、案外好い加減なシステムであるらしい。いや、システムは決まつてゐても、それを運用する人間がかなりアバウトであるさうです。例へば入所時に相対した、オフィサーと呼ばれる刑務官は、所持品のすべてを持ち込み付加と断定したのですが、実は現金はOKだつたのであります。しかしなすすべなく言はれるがままになるしかなく、現金を持ち込めずに苦労したとか。
    連邦女子刑務所(FCI)自体もかなり適当で、新入りにするべきオリエンテーションは一切なく、有村さんが入る部屋が決まらないからといつて、三日間も「懲罰房」に閉ぢ込められたりして(これは違法らしい)、あるおばさんオフィサーは「あなたの入所記録がまったくないわ。よくこんなんで入ってこれたわねえ」と驚いたとか。とにかくオフィサーたちのミスが多く、不安なのです。

    FCIでの生活は、基本的に不自由はないやうです。シャワー、電話、テレビ、ランドリー、電子レンジは自由に使へ、レクリエーションルームに運動場が開放されてゐる(消灯時間まで)。朝起きる時間も実質自由で、点呼も一日一度だけ。売店では大概のものが揃ふ。
    そして心が触れ合へる仲間も出来ました。FCIは社会の縮図、弁護士さんが言ひ放つた「アメリカの刑務所はそんなに悪いところじゃないですよ。いわば、大学の寮みたいなもんです」といふ言葉も頷けます。

    しかし当然、良いことばかりではありません。何しろ筋金入りの囚人たちの集まりですから、ランドリーの順番など些細なことで喧嘩が発生します。喧嘩に対しては、懲罰房入りとか刑期が長引くとか、厳しい罰則があると言ひます。例へ自分は手を出さずに一方的にやられても、「喧嘩両成敗」で双方同罪になるさうなので、基本的に囚人たちは喧嘩を避けるのですが、思はぬ事がきつかけで、普段溜つてゐるフラストレーションが爆発すると、もう手が付けられぬ場面になります。流血騒ぎも当り前の凄惨な現場が展開されるのです。周囲もとばつちりを恐れるので、傍観者に徹するのでした。

    有村さんはその後連邦刑務所から州刑務所へ移り、22か月の獄中生活が終ります。彼女は日本へ強制送還され、二度と米国の地を踏む事が許されぬ立場。尋常ならざる経験を数多く得た有村さんは、この獄中記を執筆したといふ訳です。
    面白いのは、文中ではいろいろとしおらしく殊勝な態度を見せますが、多分彼女は全然反省はしてゐないだらうな、といふのが見てとれるところですな。被害者意識が丸出しなのが愉快であります。
    いやいや、皮肉で申してゐるのではありません。並の人間なら「ああ、アタシは莫迦だつた」と凡庸な事を言ひさうですが、協力者でライターの藤井良樹氏によると、本を書くキツさに比べれば、一年FCIに入つた方が良いと述べる人物であります。この心臓の持ち主だからこそ、かかる楽天的な一冊が誕生したのでせう。

    デハ今回はこの辺で。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-655.html

  • 花泉図書館。

    なかなか興味深い内容を結構坦々と綴るなぁ。

  • ノンフィクション。アメリカの刑務所事情が詳しく書いてある

  • 著者自らのアメリカでの禁錮体験を書いたノンフィクション。大上段に構えた、その筋のルポルタージュなんかを眉間にしわ寄せながら読むよりも、本書のような赤裸々な体験談を読み通す方が、自分にとっては合っている。読後感を本気で書いたら、延々止まらなくなりそうなほど、中身は深い。

  • 軽いタッチで読みやすく、全体通しても前向きなので後味も全く悪くない。刑務所という小さな社会から、日本と米国の社会状況全体の違いが実感できる。

  • 記録、という意味ではとんでもない経験。
    アメリカでロシアンマフィアと付き合い、共謀の罪で刑務所入り。
    そんな経験はすごい、と思う。

    でも、読みにくい。それだけ。

  • ありえない体験をした人のルポに対してはいちおう敬意をもって拝読いたしますけれど、巻末の解説がこの本をだいなしにしていると思います。結局週刊誌とおんなじようなレベルにしてしまっている。

  • 一気に読了。
    著者の善悪の捉え方に賛否両論はあるだろうが、普段見られない場所を知りたいという好奇心が強い方にはオススメ。
    実際にこういう人生経験と感じ方をした人がいるんだと知ることができるのが読書の醍醐味だと思う。
    一気に読ませる文才を感じた。

  • 想像よりライトなタッチでした。さくさく読めました。

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