殿様の通信簿 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101358710

作品紹介・あらすじ

史料「土芥寇讎記」-それは、元禄時代に大名の行状を秘かに探索した報告書だったのか。名君の誉れ高い水戸の黄門様は、じつは悪所通いをしていたと記され、あの赤穂事件の浅野内匠頭は、女色に耽るひきこもりで、事件前から家を滅ぼすと予言されていた。各種の史料も併用しながら、従来の評価を一変させる大名たちの生々しすぎる姿を史学界の俊秀が活写する歴史エッセイの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 元禄期に書かれた諸大名の内情を幕府の高官がまとめた書物をもとに、戦国末期から元禄期の大名の暮らしぶりやその人となりを取り上げた本です。
    磯田さんの歴史愛があふれ、とても楽しいです。

    生々しい生活ぶりや辛辣な人物評など本当におもしろくて、大名たちも同じ普通の人間で、生身の人間らしく生きていたのだなと身近に感じられました。

    「戦国から元禄」という時代を生きた人々をみることで、「変革から安定へという時代のなかに生きた日本人の姿がそこにみえるように思える。」

    「殿様の暮らしぶりをみていて思うのは、ひとつには、生活が豊かになり、ぜいたくが可能になってきた段階で、人間はどのようになってゆくのか、ということである。」

    歴史は繰り返し、日本人の習性はなかなか変わらないのかな。

  • 自分が不勉強なのもあるが、マイナーな殿様のマイナーなネタも多いのであるが面白く読めた本。
    テレビの歴史番組に出演されていることもある磯田先生の著作。
    一般に向けた本であるが、学者として押さえるべきところはしっかり押さえている感じで良い文章だと感じる。
    磯田先生の本を読みたい本リストに追加した。

  • 歴史学者磯田道史さんの歴史エッセイ。
    元禄期に書かれた「土芥寇讎記 どかいこうしゅうき」という書物があり、これは幕府隠密の秘密諜報をまとめたものという説があるとのこと。これを殿様の通信簿と称して、その中から、選りすぐった7名の殿様の人事評価的な紹介をされています。そして、さすがマル秘文書で現存は、1冊のみという貴重品なのです。
    この著者は、子供の頃からの歴史通(家系的にも恵まれて)で、高校生の時には、古文書を古文書として読んでらしたというので、歴史通の方にも面白く読めるエッセイかと思います。
    浅野内匠頭が女色を好むとか、池田綱政は、子供が70人いたとか、そちら方面の報告は、なかなか厳しかった様ですね。池田藩の側室の様子が書かれており、側室は「長局」という部屋に住まわせていて、部屋が7つ並んでいたそうです。だから定員7名。そこを真面目に一日づつ一週間?これを読んだ時、乙一のzooだったか、7つの部屋に監禁されて順番に殺される話をすぐ思い出してしまった。
    譜代大名の悲哀とか、家康のしたたかさとか、
    日本史が苦手で、全く面白さを伝えられそうにないので、退散します。
    著者あとがきにある、膨大な史料の中から今の日本人の世代的な変移を観察できる、という日本史を若い頃修得しとくべきですね。

    • おびのりさん
      時々誰か妊娠してるみたい。
      で、似たような顔の子供がウロウロしてるらしい。
      時々誰か妊娠してるみたい。
      で、似たような顔の子供がウロウロしてるらしい。
      2023/05/07
    • おびのりさん
      そうそう、盛り塩で牛車止めるの。止まるのかね。
      そうそう、盛り塩で牛車止めるの。止まるのかね。
      2023/05/07
    • 土瓶さん
      想像するといろいろホラーだな。
      とりあえず牛車実験をお願いします^^
      想像するといろいろホラーだな。
      とりあえず牛車実験をお願いします^^
      2023/05/07
  • 現在の官僚制度は徳川幕府で作られたんだね。 一見、大臣は強い権限を有しているようでいて、実際は規則に縛られて大きな改革は出来ず、政策の根幹は規則に精通した官僚に頼ざるを得ない。 ◯◯藩も老中や家老が政策を担い、殿様は今の大臣と同じく、藩のトップとしての地位だけ与えられ、目眩しのオモチャに溺れる道しか選択出来なかったのだろう。 何不自由のない暮らしに羨ましい一面もあるけど、殿様も辛い商売だな〜と同情したくもなる。 磯田さんのおかげで歴史が面白くなってきた。(o^^o)v

  • 磯田先生の本は読みやすくサクッと読める。元禄前後の幕府隠密が幕閣に報告した大名の素行調査報告書と言われる土芥冠讎記をベースに、その他の文献も含めて、大名の人格や性格に迫ろうとしている。殿様が、目の前に現れて身近に見ているように感じられて、面白い。
    あとがきに書かれた離見の見、大事な事だ。昔生きた人たちを感じて、己の生活や考えを振り返るそんな時を持とうと思う。

  • 読み物として、読みやすく面白いと思う。
    内容については偏りを感じるところはある。

    土芥寇讎記を読んでみたくなる。

  • 戦国の世を生き抜き、家を築いた世代とその後の平和な世代のギャップが面白かった。

  • 【読了メモ】土芥寇讎(どかいこうしゅう)という言葉を覚えた

  • 人の世はいつの時代でも理不尽なことが多く
    その中で人生を生きぬくしたたかさは変わりません
    戦のない平和な江戸時代なのに
    武士の日常は食うか食われるか
    便利で平和な現代は
    便利さに縛られ平和と信じることを強制されています
    遠い時代の人びとなのに
    己と重ね合わせて興味深く読みました

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著者プロフィール

磯田道史
1970年、岡山県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(史学)。茨城大学准教授、静岡文化芸術大学教授などを経て、2016年4月より国際日本文化研究センター准教授。『武士の家計簿』(新潮新書、新潮ドキュメント賞受賞)、『無私の日本人』(文春文庫)、『天災から日本史を読みなおす』(中公新書、日本エッセイストクラブ賞受賞)など著書多数。

「2022年 『日本史を暴く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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