女子的生活 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101363820

作品紹介・あらすじ

おしゃれして、好きなインテリアで部屋を飾って、(ブラックだけど)アパレル勤務  みきは憧れの〈女子的生活〉を謳歌していたが、ある日、マンションの部屋の前に不審な男が。「あの、ここに小川って奴が住んでるって聞いたんですけど──」マウンティング、モラハラ、毒親。次々現れる強敵に、オリジナルな方法でタフに立ち向かうみき。読めば元気が湧いてくる痛快ガールズ・ストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 読むと元気がでる小説です!
    何があっても、『さて、明日は何着て行こう!』と前向きに生きようとするみきに好感が持てました。
    スラスラ読めました。

  • たっくさん頭の普段使わない領域を使ってSF小説を読んだ後だったので、次は何か軽く楽しく読めるものを。そう思って選んだ一冊。

    私の中で坂木さんはハズレのない作家さん。『和菓子のアン』シリーズが有名ですが、昔から穏やかで優しくて、でも少しだけほろ苦さを含んだ心理描写がとても上手な方という印象。この本はタイトルと表紙だけ見て、坂木さんの作品の中でも軽く読めそうだなと判断してまったく内容を確認せずに借りたのですが…!
    いい意味で、期待を裏切られました。

    主人公は東京のアパレル会社で働く、とても女子力の高い「みき」。ルームシェアをしていた友人に彼氏ができてシェアを解消することになり、そこに高校の友人だった後藤(♂)が転がり込んできて今度は後藤とルームシェアをすることになる。

    ここまでで「ん?」と思った方。みきは別に身持ちの軽い女なわけではありませんよ〜。
    「彼女」はかつては幹生という名前の「彼」であり、気持ちは女子、そして恋愛対象も女の子なトランスジェンダーなのです。

    後藤と暮らすようになってからみきは、いろんな面倒くさい人と出会う。
    それは合コンでマウンティングしてくる女子だったり、今のみきを「バケモノ」と下に見たくて会いに来た元同級生だったり。

    普通なら面倒すぎて関わりたくなくてスルーするような人たちなんですが、みきは正面からぶつかる。これは別にトランスジェンダーというみきの個性は関係なく、みきがなんだかんだ優しくておせっかいな性格をしていて、後は自分の人生をすごく前向きに生きているから。

    そしてその面倒くさい人たちを「論破」どころか力技で「突破」します。そのあたりはトランスジェンダーならではのやり方で。

    いやまさか、口説き落として✕✕したり、〇〇させて夜の町を散歩したりなんて思いつきも実行もできないですもんね。

    単純な意味で「男性」でも「女性」でもないからこそ、フラットな目で両方を見ているみきはすごく魅力的。友達になりたいなぁ。

    特に、若さにあぐらをかいてたあの頃(遠い目)とかにガンガン突っ込んでほしかった…!

    坂木作品の中ではおそらくかなり攻めた一冊、そしてすごーく面白い一冊でした。

  • 読み始めてすぐに、かつてTVドラマで放映された作品だと気がついた。
    明るい調子のドラマだったような記憶があって、だから原作もそれなりに明るくてポップな作品だろうと思いながら、流して読んでも良いかなと思っていました。
    申し訳ありませんでした。
    心と身体の不一致に悩む人々の思い、辛さ、不自由さ。けれどそんな圧にもめげずに自分らしく生きていく力。世の中と真正面に闘うだけではなく時には風に柳と受け流し、時には頭を使って立ち向かうその強さに圧倒され敬意を感じます。

    かつてのクラスメイト後藤が意外にも理解者でありミニーさんこと高山田が主人公小川によって自分自身を探り出し心を開いていくのがなんとも暖かい。

    自分は偏見を持たずに彼等、彼女達の理解者になりたい。
    けれど中途半端な知識だけで応援した気持ちになることが彼等彼女等を傷つけることにもなりかねない。
    「彼等、彼女等」という認識からしてもしかしたら間違っているかもしれないですね。

  • トランスジェンダーの男の子が主人公。可愛い女の子を目指してるわりに、以外と男の子目線で物事みてて、新鮮な話しの展開で楽しく読みました。

  • 軽くて楽しくてサッと読めた。これってTVでドラマ化されてましたね。ドラマも見たので良く再現されてたなぁと感心。
    トランスジェンダーの男の子の話ですが、女性である自分よりもずーっと女性である事を磨き、楽しみ、戦っている(^◇^;)
    ただぼーっと女性である事を当たり前として生きて来たが、もっと違う生き方もあるんだなぁと反省しきりです。
    頑張って生きる姿勢にエールを送りたい。と同時にやっぱりこれはまだまだ夢物語なのかもと思う。

  • タイトルと内容の違いに、私の勝手な予想が裏切られるという、読後にこういう体験の出来る本が嬉しい。

    本の裏のあらすじ紹介文を読んで、はいはいキラキラっとした女子的日常生活のお話ですねー、ちょっと重たい本を読んだ後だったので、さらっと読みたいわーと気軽に手に取りました。

    が!しかし!キラキラ女子の日常だったし、すごい楽しく読んだのですが、ちょっと(いやだいぶん)一捻りあり。そしてすごいテーマがこの本には隠れてますね。

    「普通」ってなんだろう。自分自身も毎日生活していく上で、知らないうちに外見も中身も「普通」という言葉に薄く薄く武装されていく。人の目があるから?小心者だから?そしてそれに抗うことなく普通を受け入れている。
    この本のみきのように、自分の「個」を失わず、人の「個」も認められる人間になりたいなあ。

  • 女子的生活ってそういうことか!
    次々にいやーな感じのモヤモヤがくるけれども、立ち向かっていくみきの姿は本当に痛快。
    読んで良かった!

  • 東京でシェアして暮らしていた相手が彼氏が出来て部屋を出る。新しいパートナーを探していたみきの部屋に故郷の同級生が転がり込んできた。トラブルに巻き込まれ、持ち金ゼロだという。
    しぶしぶ同居をはじめるが…。

    トランスジェンダーのみき、ヘテロの後藤、ふたりを取りまく色とりどりの人間模様。

    アパレル業界の話も楽しい。短編集

    〇出版された当時に読みたかった!
    いまジェンダー関連図書を読んでからだと、“男って”“女って”的な枠組みを作ってる感じがする。
     そして、自分ののらりくらりにコールドアイをくらってる気がした。
    〇後藤くん、いいやつだ。最初は信じらんなかったけど。
    〇みきさんは、かっこいい女の人だ。

    • moboyokohamaさん
      そうですね後藤君、良い人ですね。
      ニュートラルな感じでジェンダー問題を自然に無理なく受け入れていますよね。
      そうですね後藤君、良い人ですね。
      ニュートラルな感じでジェンダー問題を自然に無理なく受け入れていますよね。
      2022/07/01
    • かとのひもさん
      moboYokohama さん
      コメントありがとうございます
      後藤くんは友だちになりたいですね!
      みんなの見てほしいところをちゃんと見...
      moboYokohama さん
      コメントありがとうございます
      後藤くんは友だちになりたいですね!
      みんなの見てほしいところをちゃんと見てくれてる
      ドラマになっていたのは知りませんでした!
      2022/07/01
  • 女は男と違う生き物だと実感した。細かい事に気が付いてしまうし、複雑だなぁ。

  • 読んでスッキリ!爽快なお話でした!
    最近読んだお話の中では、一番好きです!

    クセ強めのガールズトークを見てる感じです(笑)
    こんな人いる!その感じ分かる!共感もいっぱい。
    曲者たちを相手に、闘う「みき」の姿は最高にカッコよかった!
    これぞ女子力!というものを感じる。
    一生手元に置いておきたい一冊になりました。
    娘にも、ぜひ大人になったら読んでほしい(笑)

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著者プロフィール

一九六九年、東京都生まれ。二〇〇二年『青空の卵』で〈覆面作家〉としてデビュー。一三年『和菓子のアン』で第二回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。主な著書に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『肉小説集』『鶏小説集』『女子的生活』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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