理由 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 872
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  • Amazon.co.jp ・本 (686ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369235

感想・レビュー・書評

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  • 短期賃貸借保護制度のことを調べていたらたどり着いた本。

  • 長いし、暗い、、

    評価1.9
    audible 21時間58分

     事件の起こった高層マンションの紹介から始まる。もちろん事件の詳細も述べられるのではあるが、これが長い。エレベーターの仕組みから、セキュリティまである意味宮部みゆきらしく暗い雰囲気で説明されていく。細部が重要なとこは分かるが、事件の詳細を知る前にちょっと飽きてくる。
     やっと分かったことはどこの誰だか分からない4人の死体。しかも一人は転落してる。これがスタート。
     話はスタートしたがスムーズにはすすまない。次は事件の起こった部屋の持ち主である小糸家の話。これも相変わらずの暗い話で、このトーンで続くのかと思うと小説の行く末が心配になる。
     こんな感じで事件を振り返りながら情報が少しづつまとめられていく。次第に全体像がつかめてくるのではあるが、ついでに述べられる周辺一家の家族背景が重々しくて嫌になる。特に覗き見したくもない姉弟関係、嫁姑問題、若くして子をつくった出戻り娘、親子喧嘩から悪徳不動産を掴まされる父親などの家族問題を知ることと引き換えに事件の情報が少しづつ得られる。皮肉な言い方をすれば、こういうのが作者の得意技のようにも思われる。作者のファンには怒られそうだが、暗い話を我慢するたびに新しい情報を一つ知ることができるシステムに辟易とする。もちろん、この作風が社会派小説としても評価が高いことは分かっているし、こっちが少数派のことも分かる。ただお気軽に楽しく読める本をこよなく愛する僕には苦痛でしかない。もっとお気軽に読みたい、、
     最後までこの雰囲気は変わらず、特に驚きもなく終幕を迎える。いろいろな人に怒られそうだが、一応総括しておくと、暗くて長い話と向き合う非常に苦痛な時間であった。このような小説を評価するような文学的な才能は残念ながら僕にはない。

  • 家族と、人間のプライド、信頼…とにかく人間臭いところがたくさん詰まっている。登場人物がどうしてそんな行動を取ったのかを生い立ちや環境から紐解いていく場面が多い。

  • 2004年(発出1998年朝日新聞社) 790ページ

    『火車』に続く宮部みゆきさんの作品、2冊目を読破。
    第120回直木賞受賞作です。

    巻末に池上冬樹さんの解説がおさめられています。池上氏は、アメリカの現代文学の巨匠、ジョイス・キャロル・オーツの言葉を借りて、この『理由』を、『まさに“ドラマとして具体化された、心の琴線に触れる意義深い状況に読者を引き込む小説” “表現と人物造形の独創性”に満ちた傑作』と評しています。さらに『リアリズムでありながら形式上の実験もおこたらず、それが見事な成果をあげている』と。形式上の実験がドキュメンタリー的手法ということで、このスタイルが素晴らしいとのことです。『どの場面も生々しく、事件を語る人々の表情と心理、その興奮と失望と躊躇と怒りが直截伝わってくるし、記述者が変わることによって見る角度がかわり、現代社会の複雑な様相がやおら迫り出してくる仕掛けだ』と。

    長々と池上氏の解説を引用してしまいましたが、まさしく引き込まれました。
    また、前回の『火車』も同様でしたが、この『理由』も社会派小説の側面を持っています。法律関係の知識がないと理解するのに難しい用語などが出てきますが、宮部さんは実にわかりやすく物語で解説してくれています。バブルが崩壊した後の不良債権処理のため大量の不動産を競売にかける中で常に付きまとう『執行妨害』。その中の罪名に『競売妨害』がありますが、この罠にかかってしまったのが、話の冒頭「荒川の一家四人殺し」の重要参考人である石田直澄でした。マンションを競売で落札したにも関わらず、占有屋により邪魔されてしまう。
    裁判所の不動産競売物件は市場よりも破格の安値で売られる物件で、一般人も入札に参加できますが、それでも不動産業者がほとんどでしょうか? 暴力団関係者なども関わってくるみたいです。ここの件りは作中で詳しく書かれており、物語の1番の被害者は誰なのだろうか?と思うにつけ、石田直澄には同情してしまいました。石田は事件の原因は自分にあると後悔し、マスコミにはあらゆることを書き立てられているのですから。

    作中、多くの家族が登場し、それぞれ家族間の問題がリアルに赤裸々に綴られています。フィクションだけどリアリスティック。その中で、共感したり嫌悪したり、同情したり腹がたったり。
    ギスギスした夫婦関係、親子関係、親に振り回される子供など、リアルな存在感で迫ってきます。
    家族の在り方を考えさせられました。

    そして、事件の被害者と犯人は最後の方まで読み進めないと正体が明らかになりません。ジワジワと核心に迫っていき、ついに明らかになった被害者については、あまり記述がなく影が薄かったです。

    それにしても、題名の『理由』の意味がわからなかった( ; ; )
    作中、『理由』という言葉がいくつか出てきます。
    多角的な視点から語られるこの物語、登場人物の行動、それぞれの理由づけがあるということなのでしょうか?
    『「その前になんであたしがまたあの人と会うようになったか、それは訊いてくれないの?」ーー「いいよ。理由は何さ」』
    『八代祐司は、なぜ彼が砂川信夫たちとそんな暮らしをしているのか、理由を説明しましたか』
    など。


    長いお話ではありますが、一読の価値ありです。面白かったなあ。

  • 現代社会に蔓延る問題にミステリを絡めた作品。
    様々な立場に立って考えることで何が正しくて何が悪なのか、判断が難しくなると思った

  • 17年ぶりの再読。
    タワマンブームの今、あらためて読んだ。
    さすが、宮部作品。
    読み応え充分。

  • 宮部みゆきさんの本は2冊目だが、やはり私には合わない。言い回しがどうも苦手。半分くらいまで頑張って読んだが、人が貶められていく状況を読むのがしんどくなり、途中で読むのをやめた。残念。

  • 実家に帰省中に読了。分厚くて手に取るのをためらったが、淡々と事件の様子を描いていく描写が悪くなくて、一気に読み終えた。事件の発覚から各人物へのインタビューとか、事件に関するルポルタージュのような形式で描かれててい、事件の真相を読者に考えさせつつ読ませる構成で楽しめた。

  • 本棚の片隅に、あるのは分かっていたのに
    今まで積読していた事を、後悔している。

  • 新潮文庫!っっねぇ、、

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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