- Amazon.co.jp ・本 (686ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101369235
感想・レビュー・書評
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短期賃貸借保護制度のことを調べていたらたどり着いた本。
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家族と、人間のプライド、信頼…とにかく人間臭いところがたくさん詰まっている。登場人物がどうしてそんな行動を取ったのかを生い立ちや環境から紐解いていく場面が多い。
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2004年(発出1998年朝日新聞社) 790ページ
『火車』に続く宮部みゆきさんの作品、2冊目を読破。
第120回直木賞受賞作です。
巻末に池上冬樹さんの解説がおさめられています。池上氏は、アメリカの現代文学の巨匠、ジョイス・キャロル・オーツの言葉を借りて、この『理由』を、『まさに“ドラマとして具体化された、心の琴線に触れる意義深い状況に読者を引き込む小説” “表現と人物造形の独創性”に満ちた傑作』と評しています。さらに『リアリズムでありながら形式上の実験もおこたらず、それが見事な成果をあげている』と。形式上の実験がドキュメンタリー的手法ということで、このスタイルが素晴らしいとのことです。『どの場面も生々しく、事件を語る人々の表情と心理、その興奮と失望と躊躇と怒りが直截伝わってくるし、記述者が変わることによって見る角度がかわり、現代社会の複雑な様相がやおら迫り出してくる仕掛けだ』と。
長々と池上氏の解説を引用してしまいましたが、まさしく引き込まれました。
また、前回の『火車』も同様でしたが、この『理由』も社会派小説の側面を持っています。法律関係の知識がないと理解するのに難しい用語などが出てきますが、宮部さんは実にわかりやすく物語で解説してくれています。バブルが崩壊した後の不良債権処理のため大量の不動産を競売にかける中で常に付きまとう『執行妨害』。その中の罪名に『競売妨害』がありますが、この罠にかかってしまったのが、話の冒頭「荒川の一家四人殺し」の重要参考人である石田直澄でした。マンションを競売で落札したにも関わらず、占有屋により邪魔されてしまう。
裁判所の不動産競売物件は市場よりも破格の安値で売られる物件で、一般人も入札に参加できますが、それでも不動産業者がほとんどでしょうか? 暴力団関係者なども関わってくるみたいです。ここの件りは作中で詳しく書かれており、物語の1番の被害者は誰なのだろうか?と思うにつけ、石田直澄には同情してしまいました。石田は事件の原因は自分にあると後悔し、マスコミにはあらゆることを書き立てられているのですから。
作中、多くの家族が登場し、それぞれ家族間の問題がリアルに赤裸々に綴られています。フィクションだけどリアリスティック。その中で、共感したり嫌悪したり、同情したり腹がたったり。
ギスギスした夫婦関係、親子関係、親に振り回される子供など、リアルな存在感で迫ってきます。
家族の在り方を考えさせられました。
そして、事件の被害者と犯人は最後の方まで読み進めないと正体が明らかになりません。ジワジワと核心に迫っていき、ついに明らかになった被害者については、あまり記述がなく影が薄かったです。
それにしても、題名の『理由』の意味がわからなかった( ; ; )
作中、『理由』という言葉がいくつか出てきます。
多角的な視点から語られるこの物語、登場人物の行動、それぞれの理由づけがあるということなのでしょうか?
『「その前になんであたしがまたあの人と会うようになったか、それは訊いてくれないの?」ーー「いいよ。理由は何さ」』
『八代祐司は、なぜ彼が砂川信夫たちとそんな暮らしをしているのか、理由を説明しましたか』
など。
長いお話ではありますが、一読の価値ありです。面白かったなあ。 -
現代社会に蔓延る問題にミステリを絡めた作品。
様々な立場に立って考えることで何が正しくて何が悪なのか、判断が難しくなると思った
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17年ぶりの再読。
タワマンブームの今、あらためて読んだ。
さすが、宮部作品。
読み応え充分。
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宮部みゆきさんの本は2冊目だが、やはり私には合わない。言い回しがどうも苦手。半分くらいまで頑張って読んだが、人が貶められていく状況を読むのがしんどくなり、途中で読むのをやめた。残念。
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実家に帰省中に読了。分厚くて手に取るのをためらったが、淡々と事件の様子を描いていく描写が悪くなくて、一気に読み終えた。事件の発覚から各人物へのインタビューとか、事件に関するルポルタージュのような形式で描かれててい、事件の真相を読者に考えさせつつ読ませる構成で楽しめた。
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本棚の片隅に、あるのは分かっていたのに
今まで積読していた事を、後悔している。
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新潮文庫!っっねぇ、、