イチローの流儀 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101373713

作品紹介・あらすじ

イチローは、何を考えているのか-大記録達成の苦悩、スランプ脱出法、試合前の徹底した準備、ユニフォームを脱いだオフの過ごし方まで。独自の力を発揮する天才の日常とは?密着してその実情に迫り、好プレーを生む暮し方、逆風を楽しむ心、大切にしていることなど限りない進化の秘訣を解明する。オリックス時代から現在までイチローの試合を最も多く観続けてきた記者が綴る、人間イチローの真髄。

感想・レビュー・書評

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  • これこそイチロー、という姿が満載。

    一流の人は、究極の普通の人なんだろうな。

  • 小西慶三(1966年~)氏は、関西学院大学卒の共同通信社記者。に入社(運動部)。イチローがNPBの年間最多(当時)安打210本を打った1994年から2年間オリックス担当記者を務め、イチローがシアトル・マリナーズに移籍した2001年からシアトル支局に移り、以後イチローの取材を続ける、イチローに最も近い記者の一人である。
    イチローは、MLB移籍1年目の2001年に242安打(最多安打)/打率0.350(首位打者)でシーズンMVPを獲得し、2004年には262安打(最多安打)/打率0.372(首位打者)を記録して、84年間破られなかったジョージ・シスラーの歴代シーズン最多安打を更新した。また、2006~10年は5年連続で最多安打を記録し、MLB通算(19年)で3,089安打/打率0.311の成績を残した。尚、NPB通算(9年)では1,278安打/打率0.353。
    本書は、イチローの試合を最も多く見ると同時に、プライベートに近い姿も見続けてきた著者が、(イチローがシーズン最多安打を更新した翌年の)2005年のシーズンまでの軌跡を振り返ったもので、2006年に出版され、2009年に文庫化された。
    私はノンフィクションを好んで読み、興味のある新刊はその時点で入手するようにしているが、今般、過去に評判になった本で未読のものを、新・古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。
    イチローは、大谷翔平が出てくるまでは、間違いなくMLBで最も実績を残した日本人プレーヤーであり、取材嫌いとは言われながらも(本書では、それは一方的なイメージにすぎない、と書かれているが)、メディアで少なからぬドキュメンタリーや特集が作られていたので、私としても、素晴らしいプレーだけでなく、そのストイックさ、周到な準備、深遠なコメント、拘り等については知っており、本書を読みながら驚くようなことは(残念ながら)なかった。
    それでも、読み終えて改めて感じるのは、イチローの「理想を徹底して追求する姿勢」の凄さだろうか。。。常に、何がベストなのかを追い求め、結果が出ているときでさえ改善や修正を怠ることはないし、他の(ほぼ)全ての事柄は、その理想に近づくためにある。。。イチローにとっての「プロフェッショナル」とは何なのだろうと思って、ネットでNHK番組「プロフェッショナル・仕事の流儀」のイチローを取り上げた回(2008年1月)を調べたところ、(プロフェッショナルとは)「ファンを圧倒し、選手を圧倒し、圧倒的な結果を残す、ということです。」と答えているのだが、私がイチローに見るそれは「理想に向けて、弛まぬ向上心を持ち、実行し続けること」である。
    そして、私はふと、最近引退したスピードスケート女子の小平奈緒の引退会見での次のようなひと言を思い出した。「目標に順位や記録はあったが、それは手段。目的には必ず、唯一無二の自己表現があった。」
    イチローは如何にして稀代のプロフェッショナル・イチローになり得たのかがわかる一冊と言えるだろう。
    (2022年11月了)

  • 記者がイチローとのやり取りなどから感じたこと。スポーツ本特集で挙げられていたので読んでみた。

    成績は良いのに感じる違和感や、マニー・ラミレスら大物バッターに理論を教えたりなど知らない話が多く面白かった。

    絶対に遅刻しないとか、道具を大切にする、頑張りますなどと言わないなど、我々一般人でも手本に出来ること多数あり。

  • 本書あとがきの最後の文章に「確固とした信念と行動がボールを打ち返す土台と技術をつくる⋅⋅⋅⋅⋅ 行動と結果が伴うことで、言葉は初めて人を動かす力を持つ。言葉と行動は表裏一体だと⋅⋅⋅⋅⋅」あります。結果を伴わず行動も信念もない人に対するイチローの無骨で生意気と見られ勝ちな振る舞い。それはイチローの信念と行動の強さ、結果を希求する思いの強さの現れによるものだと思います。その強さは、常人にとって近寄りがたく、イチローは自分は天才でないと語っていますが、その強さに於いて天才であると強く思います。

  • 疑問を常に持ち続ける事

  • 先日、イチローが日米通算3086本目のヒットを打ち、張本勲さんの持つ日本記録を更新した。
    記録に並んだ満塁ホームランも、新記録のヒットも、天才と呼ばれるにふさわしい見事な安打だった。
    テレビのインタビューで、「(記録が近づくと)ファンや周りの人にとってはカウントダウンだけど、僕にとってはカウントアップ」と言っていたのが印象的だった。

    イチローの生活は、すべてが野球のためにある。
    これ以上ないというくらいストイックである。
    野球について世界中の誰よりも真摯に取り組み、そして結果を出している。
    “同じリズムで”繰り返す打席での一連の動き
    研ぎすまされた感覚でピンポイントを狙っていく技術
    ―「自分のチェックポイントをいくつも持って、それぞれがどういう状態にあるかをしっかりとつかむ」(p.194)
    120%の準備
    ―「最高のプレーをするためにできる限りの準備をする。だから、質問する人にだってそれなりの準備と知識を期待する」(p.202)
    逆風を楽しむ心
    ―「僕がいろんなことをやったらやったで、喜んでくれる人たちがいる。でも、その一方で“失敗しろ”って思っている人たちも多分たくさんいる。そんなマイナスの期待も僕にとっては熱いんです」(p.178)
    イチローのヒットは、1本1本がまさに芸術作品なんだと思った。

    イチローにとって野球は、
    「趣味か、仕事か、と聞かれれば僕の場合は限りなく趣味に近い」(p.119)
    「自分の好きなことだと思えばもっともっと何かがあるんじゃないか、という気持ちになれる」(p.119)

    イチローが道具をとても大切にするというのは有名な話で、テニスをしている僕はイチローのそういうところを尊敬している。
    「道具を大事にする気持ちは野球が上手くなりたい気持ちに通じる」(p.131)

    「あのセンター前というのは…私も生涯忘れないでしょうね」
    第2回WBC、侍ジャパンが2連覇を決めた直後のインタビューで、原監督はそう言った。
    僕にとってもきっとそうなるだろう。
    打撃不振に苦しんだ末、最後においしいところだけ持っていったイチローの言葉は、
    「いやあ、僕は持ってますね。やっぱり」
    優勝が決まったときの、子どものような無邪気な笑顔が忘れられない。
    今シーズン、9年連続の200安打をぜひとも達成してほしい。

    [イチロー金言集]

    「体を大きくしようとすること(ウエイトトレーニング)よりもむしろ走ることが大事」(p.14)
    「僕にはほかの人がそう言っているからそれでいいとは思えないし、思わない。あくまでも自分がどう感じるのかが大事だから」(p.44)
    「自分の結果が全然なのにチームが勝ってそれでいい、というのならそれではプロの選手として魅力がないと思う」(p.59)
    「僕も毎日どんな試合でもお客さんを満足させたい、と思っている」(p.65)
    「プレッシャーを取り除く方法?簡単です。ヒットを打たなきゃいいんですよ」(p.66)
    「結果が出ていることと、自分が満足していることは必ずしも一致しない」(p.73)
    「普段から意識をしていないことを突然やれと言われてもできない。だからやってみた」(p.107)
    「無駄なように見えることにも、すべて何らかの意味がある」(p.111)
    「60歳で打席に立つ。50歳で盗塁することが究極の目標」(p.136)
    「太く短くでは、コンスタントに力を出すことへの自信のなさの裏返し。細く長く、ではどれも抜きんでたものがない、ということになる」(p.156)
    「僕は(純粋に野球を)やりたい人。(野球をすることで偉く)なりたい人ではない」(p.157)
    「結局、人が自分のことをどんなふうに話すかなんてどうすることもできない」(p.163)
    「(慈善活動は)あくまでも自分がそうしたいからやるのであって他人に知ってもらうことが目的ではない。だから僕は人にわからないようにやりたい」(p.190)
    (アスリートがそれぞれ個人のホームページやブログを持ち、自ら情報を発する時代になったことについて)「野球選手がそのプレー以上にファンに訴えかけるものはないはずなのに」(p.189)
    「どうやって彼ら(子供たち)に“将来野球選手になりたい”との気持ちを抱かせるのか。それは、彼らに僕たちがどれだけすごいプレーをしてみせることができるのか、どれだけ“カッコイイ”と思わせることができるかどうか」(p.182)
    「相手がこちらに向けて耳障りなことを言い始めたら…“その調子だ”と自分に言い聞かせればいい」(p.210)
    「いつも人と違うことをしたい。人と同じ方向は見ない。人が変わるなら僕は変わらない。人が変わらないなら僕は変わる」(p.211)
    「一生懸命やっています、はあくまでも他の人から言ってもらうことであって、自分から言うことではない」(p.213)
    「僕には苦痛に耐えるという概念がない。その意味で僕はまったく努力していません」(p.225)

  • 職人、カッコいい。平坦な道じゃ面白くない。逆風ちょうだいの気持ち。
    一生挑戦し続けていきたいな。いつまでもまだ上がある、こんなもんじゃないぞと思っていたい。自分が完成することはないはず。
    自分の信じた道を極めたい。

  • 読み終えた感想は、まず自分には少し難しかったです。でも、この本の中から学べたことは、いくつかあったので、勉強になりました。自分の仕事でも、イチロー流儀から学べたことを活かしたいと思いました。

  • イチローさんの引退報道で注目が集まっている一冊
    引退会見での一問一答は、この本に記されたメッセージとも多数重なっています。

  • 我があるというか、周りにぶらされない個人の確固たる哲学を持ち、それを柔軟に変化させている。その流儀はいつどこから生まれてきたのか気になった。
    加えて、意識が自己から生まれたか外部から生まれたかを明確に分けてるところも印象的。それは周りが決めることと言えるのはその最たる例。
    プロ意識とはなにか?を問う時にたまに開きたい本になった。

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