- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101379029
感想・レビュー・書評
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いろいろな本に西行が書かれているが、白洲正子氏のこの西行ほどのものはないであろう。
解説に書かれてあったが、まさに、西行を語ることは、歌について語ることであり、仏教について語ることであり、旅を語ることであり、山河を語ることであり、日本人の魂と祈りを語ることであった。
白洲正子氏が文章を書くと、そこには西行がいる。
いつか、白洲正子氏の本を手に、西行の足跡を辿ってみたくなった。 -
白洲正子 「 西行 」 西行論の本。西行の出自から思想の推移、主な歌の著者なりの解釈が、一通り理解できる構成になっていて面白い。
著者が西行の歌で目を付けているモチーフは、桜と富士山。ここから、西行の無我の境地、待賢門院への思慕、自然信仰を抽出している。
著者が捉えた西行像は、歌から自然と人生の調和をはかり、善悪もわきまえず、悟りを求めず、ただ世の中をあるままに生き、あるがままに死ぬというもの。
特に印象に残る著者の西行像
*桜狂いの歌は 浄土信仰によるものでなく、待賢門院への恋愛歌
*心が定まらない 空になる心 から、無常な 虚空の如くなる心 までの変遷としての歌
*地獄絵を見て〜その苦痛を乗り越えて地獄へ堕ちた人を救いたい願望
*地獄絵を見ての27首は、西行が経てきた心の歴史
「西行の真価は〜はかなく〜無常迅速な人の世のさだめを歌ったことにある」
「風になびく富士の煙の空に消えて ゆくへも知らぬわが思ひかな」無我と不動の境地?
「そらになる心は春の霞にて 世にはあらじともおもひ立つかな」
無常な人生の中の強さ?
「春風の花を散らすと見る夢はさめても胸のさわぐなりけり」待賢門院の死を予感?
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20191123 中央図書館
クールで絶妙の空気感と質感のバランス。 -
白州正子流の西行像。いかなる観点から西行を評価するかということが評伝には求められているということか。
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19/02/16。
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facebookの友人が読まれており、私自身も「おくのほそ道」を通じて西行に興味があったことから本書を読んだ。残念ながら和歌の素養はないが、著者の解釈と解説が、沁み込むようにすんなり入ってきた。武士から出家した西行だが、自然宗教的で、奔放な生き方に憧れる。
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お坊さんて、禁欲無欲なイメージだったけど、そうでもないな。というのが大雑把な感想。
官僚社会なんて狭い世界で登りつめることばかり考えるのもばからしい。
旅して芸術に触れて、ここじゃ出会えない人に会おう。
そんなところに西行の原初的欲求があったのだとすれば、それは私自身とも大いに共通する部分がある。
ロックなお坊さんかっこいい。 -
何年か前の大河ドラマ「平清盛」で、私に一番の印象を残した登場人物が、藤木直人演ずる西行でした。
ドラマで描かれた以上に、自由でふわふわ生きる西行の足跡は非常にきれいだと思いました。