いちばん長い夜に (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.93
  • (54)
  • (76)
  • (55)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 748
感想 : 69
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425535

作品紹介・あらすじ

ペットの洋服作りの仕事が軌道に乗ってきた芭子と、パン職人の道を邁進する綾香。暗い場所で出会い、暗い過去を抱えながら、支え合って生きてきた。小さな喜びを大切にし、地に足のついた日々を過ごしてきた二人だったが、あの大きな出来事がそれぞれの人生を静かに変えていく。彼女たちはどんな幸せをつかまえるのだろうか――。心を優しく包み込む人気シリーズ、感動の完結編。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人気シリーズの完結編という事に読んでる途中に気が付いた
    不幸せになりません様にと
    願いながら読みました

  • 気に入ったシリーズ物だったから買った一冊。

    マエ持ち2人組の話

    残念ながらシリーズ最後の小説だった。

    今まで支え合って生きてきた2人だが、地震をきっかけにそれぞれの道を進んでいく内容

    あらすじを読んでなんだか残念な感じで2人は離れて行くのかなとかいろいろ思ったが、今までの様な関係ではなくなるが、2人の繋がりはそのままって感じだったので良かった。

    この小説では地震の事が描かれていて、それが大きな出来事だったが、それ以外はそんなに大きな出来事もなく、2人の日常が描かれていてそれが実際にいる2人を描いている様感じがしてそれが良かった。

    地震の事は作者が体験した事をそのまま組み入れているのでリアルでした。
    今は北陸地方が地震の被害にあり改めて地震の怖さを感じた。

    このシリーズをもう少し読みたかったので終わるのは残念な気持ちもあるが、このラストで良かったとも思った小説でした。

  • 何故か東北地震のときだけすごくリアルな書き方なので驚いたけど、本当に経験されたとは。
    新しく彼氏で来たりあやさんと距離ができたり。かなり動きの多い内容だった。

  • ハコちゃん綾さんシリーズ3弾。
    読み進めるにつれて、面白くなった。
    1冊目は、なんかはこれという展開もなく、淡々と読んだ感じだったけど、2冊目は、地味ながらもいろんな事件?が起こって引き込まれた。
    それで3冊目は、震災の話が出てくるなんて予想外でら、しかも超リアルだと思ったら、実体験を元にかかれていたかとは…

    説得力の違う表現に引き込まれたのも、もちろんだけど、それでも、そこからの南くんの登場がなんとも言えず切なさが増して、良かったなぁ。

    綾さんの最後の告白や、ニコイチだった2人が
    それぞれに想い合いながらも、別の人生を辿っていく結末だけど、なんとも暖かな読後感だった。

  • 再読。
    なんにしても価値観とか人生観とかが変わるような
    出来事ってあるよなあと。
    自分も重ねてなんとなく身につまされたというか。

  • マエ持ち女二人組シリーズ最終巻。連作短編集。
    過去に背負ってしまった罪を背負い、二人は本当の意味で再生に向けて、それぞれの道を歩き始める。
    それにしても、罪を償うということ、命の重さを強く感じました。まさか、あの大きなイベントが関係するとは。

  • 一気に、3巻読んでしまった。確かに3巻は、前2巻と、カラーが明らかに違う気がした。しかし、あの出来事以降、日本中が生きることについて考えたのかも知れない。

  • シリーズ第三弾で完結編。
    前科のある女性二人の日常を描いた話。
    恐れているのは世間に過去が知れ、住み慣れた街で暮らせなくなること。極力他人との関わりを避け、支え合って生きてきた二人の生活や心境に変化が起こる。

    暴力が子どもにも向けられそうになり、夫を殺めてしまった綾香の言葉が重かった。
    (震災で失われる命を目の当たりにして…)
    「懲役刑なんて、何の役にも立ちゃしない」
    「今やっと分かった。ああ、殺すことはなかった。私が逃げ出してどこにでも駆け込んで、周りに助けを求めて。生命だけは奪っちゃいけなかった」
    見て見ぬ振りして好き勝手言っていた彼女の周りも同罪ではなかろうか。
    どうしたら報われるのだろうか。もやもやとして考えさせられる読後感。答えは出ない。罪とは?赦しとは?を考える時、菊池寛著「恩讐の彼方に」や、三浦綾子著「氷点」を思い出す。

    ラストでは進展が見られた。彼女たちや彼女たちを理解して受け入れた人達を応援したい気持ちでいっぱいだ。

  • 1巻目がとても優しい小説で、2巻目もそれを期待して読んだ。その概念は踏襲されているが、東日本大震災の渦に巻かれてしまい、それが非常に細かく描かれているところがなんとも強い印象を残してくれた。
    巻末の解説に、それは作者自身の体験であることが綴られているので納得。
    ただそれが起こったがゆえで、前半で起こっていたちょっとした事件について少し中途半端になってしまっているかもしれない。

  • 刑務所暮らしを経験した女2人が、普通の生活に戻る。些細な幸せが落ちている感じで好きです。
    終盤は3.11のテーマが続いて、そのとき自分はどうしてたのか思い出させられます。
    笆子と南くんが東北から東京に戻ってくるタクシーのシーンは実際に乃南さんが体験された事だと知ってびっくりしました。

全69件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

乃南アサの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×