流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101801537

作品紹介・あらすじ

父を火事で亡くした心的外傷から、身近な人が亡くなる数日前に、亡くなる瞬間の情景が「予知夢」として見える能力を得てしまったみちるは、誰にも言い出せず怯え、悩み、鬱ぎ込んでいた。そんな彼女に救いの手を差しのべてくれたのは従兄の一美兄ちゃんだった。「予知夢なんて、信じるの?」「信じるよ。今度、予知夢を見たら教えて。一緒に予知を覆そう」そして高校生になった彼女は、ある晩、再び予知夢を見る。流星の降る校舎屋上、血濡れた刃、最後に見えたのは……一美兄ちゃん!? 助けたい――今度こそ。後悔と痛みを乗り越え前を向く、学園青春ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 父を火事で亡くした時から、身近な人の死を予知夢に見るようになったみちる。そのことを信じてくれた従兄の一美に救われたが、高校生になって見た予知夢に現れたのは一美の姿だった。予知夢を覆すことはできるのか?!

    これまで悲劇を止められなかった後悔を、予知夢に現れた一美とともに乗り越えようとする学園青春ミステリ。みちるは生徒、一美は用務員というコンビで予知夢に見た殺人事件を防ごうと行動・推理していく。一美がカッコいい!当事者だというのに臆せず手を引いてくれる心強さが素敵。

    事件の謎を追うほどに、生徒たちに隠された関係性が浮かび上がる。殺人は予知として見えても、それを起こすのは紡がれた人間関係。目を凝らさなければ見逃してしまうその綻び。
    「人の数だけ悪がある。だれかにとっては何でもないことが、別のだれかにとっての悪、ということがあるんだ」
    まさに一美のこの言葉に尽きる。正義と悪の連鎖。明かされていく真実と、それを暴いた葛藤。ほろ苦い読後感の作品。みんな誰かに助けてと言えて、お互いに助け合えていたら…。それぞれに正義があるからこそ、それが難しいというのが皮肉。

    最後に一美兄ちゃんの好きな言葉を引用して終わります。こんなお兄ちゃんが欲しいです!

    「みちるちゃんが小学生なら『嘘をつくな』と諭すところだが、高校生だからな。こう言っておこう。『嘘をついちゃいけない相手を見極めろ』」

    「人の数だけ悪がある。だれかにとっては何でもないことが、別のだれかにとっての悪、ということがあるんだ」
    「だから人が殺されるってこと?」
    土岐は天然パーマを掻いてから、「でもね」と静かに言う。
    「正義や悪がいくつあろうと、人の命は一つだけなんだよ」

  • なかなか面白かった。予知夢も含めてちゃんとロジックに取り込めてるのはいい。犯行機会が最もあるのが主人公と用務員の2人なので、あの状況で疑われたり拘束されないのは、ちょっと甘いかな。

  • 読ませる話という意味では面白いが、嫌な話が絡み合ってた。予知夢で見たことを回避しようとしても、人が違うだけでその現象事態は起きるってことなのか?ちょいちょい気になることが放置されたままだったが、シリーズありきで引っ張ってるのかな。

  • 予知夢をみるのだか、しかもそれは誰かが死ぬ夢であるため、不安な日々をおくっていた。そんな時、数年ぶりに見た予知夢は従兄弟が殺される夢だった。
    その従兄弟はなぜか、通っている高校の用務員として勤務している。
    予知夢を現実化させないために、奔走するのだか、その為か、別の殺人事件が。
    彼女は予知夢を変える事ができるのか。

  • 『娯楽』★★★★★ 10
    【詩情】★★★★☆ 12
    【整合】★★★★☆ 12
    『意外』★★★★☆ 8
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★★★☆ 4
    「作家」★★★☆☆ 3
    【尖鋭】★★★★☆ 12
    『奥行』★★★☆☆ 6
    『印象』★★★★★ 10

    《総合》81 A-

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著者プロフィール

1988年栃木県生まれ。『初恋は坂道の先へ』で第1回ダ・ヴィンチ「本の物語」大賞を受賞し、デビュー。代表作となった「今からあなたを脅迫します」シリーズは、連続ドラマ化され、奈院ゆりえにより、漫画化(KCデラックス なかよし)もされている。他の著作に、『昨日の君は、僕だけの君だった』(幻冬舎文庫)、『救ってみろと放課後は言う』(KADOKAWA)、『撮影現場は止まらせない! 制作部女子・万理の謎解き』(角川文庫)、『時は止まったふりをして』『流星の下で、君は二度死ぬ』(新潮文庫nex)などがある。

「2022年 『ネメシス7』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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