顔のない天才 文豪とアルケミスト ノベライズ :case 芥川龍之介 (新潮文庫nex)
- 新潮社 (2019年7月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101801605
作品紹介・あらすじ
ねえ先生、これがあなたの罪ですよ。本の中の世界を破壊する侵蝕者との戦いのため、アルケミストたる特務司書の手で転生した芥川龍之介は、仲間と共に侵蝕された自著・『地獄変』へ潜書することになった。歪に書き換えられた物語の文意を探り、小説世界を進む芥川達だが、敵の強力な攻撃で仲間は次々に倒れていく。たどり着いた最奥で彼に突きつけられる自身の“罪”とは。「文豪とアルケミスト」公式ノベライズ第一弾。
感想・レビュー・書評
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この作品は「文豪とアルケミスト」というゲームを土台にした小説だ。
そのゲームとは、文豪をキャラクターとして蘇らせ、有碍書と呼ばれる、オリジナルが書き換えられた書物の世界に入り、浄化する(戦う)という内容のものである。
この小説を手に取ろうと思ったのは、「地獄変」という芥川龍之介の作品を、どんな風に書き換えたのかが知りたかったからだ。
よく知られた作品の「if」を作るのは、なかなか、勇気の要ることだと思う。
そこにはオリジナルをどう読み、解釈するかがまず必要になってくる。
また、この作品は、芥川龍之介の転生という難しい部分にも可能な範囲でチャレンジしているとも思う。
芥川の作品を読者がどう読むか、ということは語れても、芥川自身がどう生きたか、は語れない。
それは「転生」という形を取る以上、制限になる。
とまあ、堅苦しくなったけど。
「地獄変」へのアプローチに関しては、意外と控えめに思ったが、好み(笑)
せっかくなので、原作既習推奨。
個人的には、芸術とはエゴイズムそのものではないと思う。
揺れ、歪み、抗い、迷う。
そういう動きの中に、人はいるような気がする。
だから、「地獄変」は美術書ではなくて、小説なのだな。 -
公式ノベライズ第一弾。
侵蝕され歪められた『地獄変』。その自著へと潜書する芥川がたどり着いたのは――
あのゲームの「潜書」(すごろくの目を横に移動していくだけのマップと戦闘…)をどう小説世界に表現するのか楽しみにしてました。なるほどそういう風に書いてきたか! という驚き。さらに、ゲームをプレイした人なら思い出すアレコレを巧みに解釈してその中に盛り込んできている辺り、流石ゲームデザイナーもやってる方らしい視点で面白いです。
公式の監修も入ってはいますが、ゲームへの理解や各文豪キャラの解釈、文学作品そのものへの読み込み度合い、それを今回のシナリオへ昇華した完成度。大変満足です。第二弾も楽しみにしてます。 -
文アルでは芥川さんが好き。不安定で自己評価が低いところが好き。
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2019/08/26 読了。
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ゲーム「文豪とアルケミスト」のノベライズ。
一つの小説作品として非常におもしろい。これまでノベライズはいまいちという印象しかなかったけれども、初めておもしろいノベライズがあると思えた作品。
原案がある作品でもこうして物語を紡げるのだと感動した。 -
文豪とアルケミストのノベライズ第一弾。
ゲーム内の設定だけでは分からなかったことが細かく描写されているし、芥川龍之介の転生故の苦悩が明らかにされていて、そういう立ち位置で存在していたのかと興味深い。
潜書した後の攻略過程も面白く、地獄変の謎解きも納得出来る解釈だった。