カカノムモノ3 :呪いを欲しがった者たち (新潮文庫 あ 88-3 nex)
- 新潮社 (2019年12月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101801797
作品紹介・あらすじ
母なる女神よ俺の声は届いていますか? 生きることに前向きになり始めた碧だったが、一方で相棒の桐島の元に不穏な影が迫っていた。彼の過去を無遠慮に暴き立てるその人物の目的もわからないまま、桐島は追い詰められていく。あえて遠ざけられた碧は、従兄の涼から、カカノムモノを呪いから解放するための衝撃的な方法を告げられる。はたして碧はどんな決断を下すのか。そして呪いの意味とは──。シリーズ最終巻。
感想・レビュー・書評
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2020年1月新潮文庫刊。書き下ろし。シリーズ3作目。これってこんなに理路整然とした話だったっけ?と思うほど、前作のノリとは違うかっちりとしたストーリー展開で、驚いています。んで、これで、最終巻というのにもまたまた驚きです。終わるのは残念ですが、一気に書ききってしまったということなのかもしれません。
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碧と涼、呪いを解きたい思いは同じでもその意図は違う
その違いが桐島との出会いで前向きに変わっていった碧を悩ませるけれど、山場を越えて浪崎家当主として、人間として一回り成長
それにしても女神の祝の子孫はイケメン揃いで素敵 -
可愛い子には旅をさせよ。
だけどどうしても鎖をつけたがる。
鎖のつもりはなかったのだけどね。
鎖と思われちゃう、重荷と思われちゃう。
こんなものがあるから、と。
でもそれもまたひとつの理由で、縋りつく理由で。
自分が上手く立てないのを、鎖のせいだと言っていれば、とりあえず自分を保てるから。
でもそんな自分を誰よりも憎々しく思っているのは自分で。
罪の意識は感じてないと言いつつも、自分の在り方にどうしようもない疑問を感じていたことは確かなのだろうと思う。 -
ドロドロしてるがぐいぐい読ませるな…。これでシリーズ終わりなの?最後の振りは?
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ハッピーエンドでよかった。まことにカミなる存在は人の子には想像も及ばぬ慈愛で見守っているのだな、とそういうことかな
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前巻まではそれなりに面白かったのに、最後になって妙な塩梅になってきた。自己陶酔的な印象が強くて、期待外れの締め方だった。
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「天底ト浪崎」
失ってから気付いた心の傷は。
バレバレだったからこそ一番に伝えて相手の返答を期待したのかもしれないが、皆が思う様に全て順調だからといって幸せだというのは安直すぎるのでは。
呪いを無くしたいという思いは大切だが、実際にどうすべきか見つける事が何より大変だろうな。
「彼ノ罪」
絶対に忘れない様に抱え込む。
直前に喧嘩をしていたとしても、死に直接関わる事はしていないと警察が断定し事故死として決定した出来事を今になって動き出したのか疑問でしかないな。
一番確実な方法かもしれないが、それは望んだ答えとは程遠いものであっただろうな。
「疑惑ノ海」
呪いを消すために行うことは。
試した事例が記載された文献などが無い以上は実際に自らが実験台になるしかないが、本当に呪いが解けなければ賭けるものと失う物が大きすぎる事だよな。
誰とも連絡がとれない状況というのは、時と場合によっては恐ろしいことだよな。
「女神ノ愛シタモノ」
本当に実行したかったものは。
文献など見つからなくとも限りある時間に追われて自らの仮説だとしても実際に言動を起こし、最終的には今回と全く変わらない結果が待っていただろうな。
喰われた記憶を取り戻す事も必要かもしれないが、こればかりは忘れていた方が幸せかもな。 -
シリーズ最終巻ではあるものの、展開が思ったより和やかで驚いた。
もっと殺伐とした展開があるかと思っていたのですが……
締めも纏まっているので読後感はいいのですが、登場人物のしっかりとした設定と面白い内容故にもう何冊か出してほしかったという欲もある。
早くも彼等が恋しい。 -
人と我が子を愛する女神。人のために我が子を陸にやり、辛くなったら帰って来るのだと送り出したが、いつの間にか優しい言葉が呪に変り子孫を苦しめる。
いつかは女神の元に返ると決めたカカノムモノ。
それまでは人間の辛いことや楽しいことを記憶して生きろ。