龍ノ国幻想2 天翔る縁 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101802275

作品紹介・あらすじ

皇尊(すめらみこと)即位──生涯一度の龍との契りを阻む陰が。日織(ひおり)は二十年来の望みを果たし皇位に即いた。だが、新しい御代の始まりを龍ノ原(たつのはら)に知らしめる宣儀の場で、龍を呼ぶ笛が鳴らない。日織を妬む者の仕業か。一方、反封洲(たんのほうしゅう)の有間(ありま)が訪れ、一原八洲の律を犯すことを要求する。そして、妻の悠(はる)花(はな)が消えた。全ての試練は、偽りで御位を手にした己への罰なのか──最愛の妻を取り戻し、国を守るために下す途轍もない決断とは。男女逆転宮廷絵巻!

感想・レビュー・書評

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  • 龍(神か)と人、人と人との信頼を歌い上げた素晴らしい物語だ。人間の根本にある差別の心、固定概念への挑戦でもある。男女逆転のファンタジーであるがゆえに、するっと心に染みてくるのかもしれない。
    新しい皇尊の宣儀の場で、龍を呼ぶ笛がすり替えられていることが分かり、日織は窮地に陥る。それを解決するために、力ずくの手段ではなく、信頼という武器で乗り切った日織が素晴らしい。龍の声が聞けない女子を遊子として忌避する令を排した時に、龍の声が聞ける禍皇子も排してしまえばよかったのに。物語を続けていくタネを残したんだろうけど。

  • 待望の続巻。

    念願の皇尊となった日織。入道を果たしたが、肝心の宣儀で龍をよぶことが出来なかった。

    それは龍を呼ぶ笛が偽物と取り換えられてしまったからだった。

    誰が笛を偽物と交換したのか、調べ始める日織。
    そんな時に反封洲の国主の長子が龍ノ原へとやってくる。

    皇尊になっても、経緯が経緯だけに日織に反発している勢力はあざとい手を使いますなぁ。

    この物語は神話世界をとてもうまく構成されていて、私はとても面白いです。

    その中に現在でも存在する差別の問題などもあって、今後の展開が楽しみです。

  • まだ2巻なのにいろいろあったな……いろんな問題が起こって収斂して、後味がよい。なんといっても男女逆転夫婦が非常に滾る。極上美女な妻が夫のこと「可愛らしい」と思ってるのめちゃくちゃよい。

    外の国の話も出てきたし、またまだ序章だろうけど、2巻まででひとつの区切りついたので読むなら今!

  • 胸が熱くなる。期待に違わぬおもしろさでした。
    降りかかる困難を前に、どう立ち向かっていくか。
    時には謀りごとも必要であろうに、目的のために手段を選ばないことが本当によいことなのか迷い悩む。

    前例のないことに挑むとき、
    誰かを信じるとき、絶対という確証がない中で選択するそれは震える程怖いし、ましてその選択に命が係っているならなおのこと。
    それでも大切にしたいもの、譲れないものを真正面から見つめて進んでいくその強さと潔さに心底惚れ込んでしまいました。

    目に見えない「信頼」という、揺るぎないようでいて朧げなものをどこまで信じ切れるか、というのは、ひとえに相手の人となりによるものだけでなく、自分の信じたいという願いがなくしてはならないものだと思います。

    あまり書いてネタバレになってもいけないけれど、本当に楽しい読書時間でした。ついつい一気読み。

  • 1巻読む前に2巻の感想読む人少ないと思うけど、2巻までは絶対用意してから読んだ方が良いです。3巻は区切り良いので、読みたいけど我慢できます。
    新潮社公式に著者コメントに「もたざる者」を書いたとあって、すごく腑に落ちました。あるべき能力が無い者たちが受ける仕打ちが盲信と相まって、この巻のクライマックスで凄く生きてました。ああ、こんなことこの世の中に一杯あるよなぁ、根拠のない、でも深く根ざした偏見・差別。
    まあ、そんな世相を代弁したり何かを表現したりとか高尚なこといわなくても、とにかく話の筋が面白いです。日織という「持っていない」この国のルールでは排除されるべき人間が、唯一皇子であることだけを武器に根拠無きルールを排しようと立ち向かって行きます。ファンタジーといっても逆らえない神のような龍という存在がいて、それを暴れさせないようにできるのはある程度の血の濃さで決まる皇尊(皇帝)だ、というもので、実際の人々の動きは生臭いです。そこが、面白い。皇尊に選ばれるための試験と選ばれたあとの披露式みたいなのがあって、その二つがこの二冊の肝です。この巻も日織の精神性の貴さにやられました。

  • 無事皇尊の位に日織が着いたはいいけど、そこからまた遊子の法を排するための道がとにかく前途多難すぎる…
    これ大丈夫?
    そうそうに失脚してしまうのでは…
    と言う焦りに加えてまさかの龍を呼ぶ儀式の失敗に他の国が無茶難題を押し付けてきたり悠花が龍に攫われたりと…色々大変な事態に陥るけど、最後がとても綺麗に全ての事態がうまく治まって終わった。
    終わったけど、これってもう終わりなのかな!?
    もっと読んでいたいし、いいキャラも出てきたのにこれで終わりなんてなんだか勿体ない気もする…
    けど、綺麗に事が治まって終わったからこれはこれでいいのかな…完結とは何も書いてなかったから続編が出るならそれを期待はしたい。

  • 表紙の美女は……

    人は皆、見たいものを見、信じたいものを信じる。
    そんな言葉が読後に浮かびました。
    目の前にある事実すら、己の信じているものと乖離していれば信じることは難しい。

    力技でなく信頼をもって龍と縁を結び、名実ともに皇尊となり令を廃した日織。大願成就である。
    悠花の問題はまだ解決していないものの、悠花自身が未来の話として、日織に策を授ける。
    明るい未来を予感させて、この物語はひとまずの大団円。
    終わり方としては、すごくいい。
    反面、わたしたちはここで日織や悠花とお別れなのか、と切なくもあり。
    周辺国とのあれやこれやといった、続きがあるのかしら。
    いや、でもそうするとまた日織が痛い目に遭っちゃうのかなぁとか、悠花の器の大きいところをもっと見たい、とか、ぐるぐるしています。

  • 空露が日織に敬語使いながら呼び捨てにするとこが、ぐっとくる。主を呼び捨てにする従者は斬新。
    前巻が、えーっ!?ここで!!?ってとこで終わってたので、すごく先が気になっていた第2巻。
    ハラハラするばかりの怒涛の展開で、でも、日織のぶれないところ、悠花と気持ちが通じ合うところ、伴有間の台詞から滲み出てくるキャラクター等々、要所要所がしっかり描かれてて、読後は爽快でした。
    ここで終わらないよね!?次巻も期待しています。

  • ★4.5
    話が一気に進んだ。このスピード感がいい。人間は偏見に囚われる愚かないきものだよなあ。

  • 怒涛の第2幕!天翔る縁の意味。
    面白かった!後半は感動。日織の人間性、優しさが、龍の角で力を削がれた龍にも伝わり、宣儀のシーンは感動!
    神話や伝承が誰かの都合のいいように創られていること。
    既存のルールを壊し、今まで虐げられたもの達を救い、新たな国を築いてほしい。
    次巻も楽しみ!

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著者プロフィール

広島県出身。第7回角川ビーンズ小説大賞審査員特別賞受賞。『シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精』にてデビュー。温かく優しい読後感が持ち味で、登場人物の繊細な心理描写も高く評価されている。他著に「封鬼花伝」シリーズ、「箱入り王女の災難」シリーズ、「一華後宮料理帖」シリーズ、『ここは神楽坂西洋館』『仙文閣の稀書目録』などがある。

「2021年 『転生佳人伝 寵姫は二度皇帝と出会う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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