哲学入門 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102036013

感想・レビュー・書評

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  • ヤスパースが哲学についてラジオ番組で語ったものを書籍化したという本。内容的には重厚でとても面白かったが、なんといっても訳が古くて固くて読みにくい。この時代、日本で哲学するのは大変だったのだなあと嘆息。

  • 哲学書?宗教書?やたらと「神」という用語を連発させる。もっとも宗教上の神と哲学上の神をほぼほぼ切り分けて論は進められているけど、結局は同じまな板に乗せていますよね?て感じ。それと、「哲学」するには信仰が必須として、そのための態度は一神教における求道者のようであれ、みたいに説教臭く主張する。読んでて疲れました。

  • いわゆる哲学の入門ではなく、ヤスパース自身によるヤスパース哲学の入門書。
    「限界状況」「交わり」「包括者」「枢軸時代」など、ヤスパース哲学の魅力的な概念が有機的に紹介されている。ラジオ講演の書籍化なので、紙幅の都合もあるのだろうが、説得的な推論というより断定的で「教義」のようにも感じた。
    「世界」そのものを「包摂者」=絶対者=神と捉え、それを実存として意識することを説く。「神」を非人格的存在としつつも神の「意志」に従うという議論や、神秘主義のように包括者を直接感得するのではなく、具体的に存在する「他者」との交わりを通して間接的に知るといった主張は、たしかに魅力的であるが、矛盾を孕んでいるようにも思う。つまり、神秘主義や神の観念を正当化しつつ、理性的な個人としての現実的生活も絶対視するという、徹底すると相反する立場を無理やり統合して落とし所を見つけているようにも思える。
     
     すなわち、「神=包括者」と「交わり」という二重の真理を認める二元論のようにも感じられる。
    交わりとは、人間関係こそ価値あるものであるという、通常における真理である。包括者とは、絶対者や真理に到達することこそ望ましいとする、例外における真理である。だとすると、包括者と交わりを統一的に関連付けることは、通常における真理と例外における真理を無理に統合することとならないか。そのような統合に実益があるだろうか。通常者は、人間関係における悦びで十分満足することができ、包括者の認識には関心がない。例外者にとって、絶対者こそが関心事であり、かれが救われるのは絶対者との和解ないし合一のみである。交わることのない平行線を無理に理論上交差させたところで、その実践が人を救うものとなるのだろうか。交わりを結ぶ他者の存否は、偶然による。幸運な人間は交わりが可能で、そうでない人間に交わりは不可能ということになる。諸々の具象を超えた包括者を絶対視しながら、それへのアクセスが偶然に依存するという考えは、包括者の絶対性=普遍性を矮小化しないか。

  • 訳が曖昧で読みにくかったかな

  • 平易な文章で分かりやすく書かれている。哲学というととっつきにくいイメージがあるが、このような本、あるいはもっと簡単なガイドブックのようなものから読んでいくと良いと思う。

    付録に「哲学に関する読書について」という節があるが、ここで書かれていることは哲学に限らず全ての学問における読書に共通する。その意味で、哲学はあらゆる学問のベースとなっていると言っても言い過ぎではないかもしれない。

  • ヤスパースは、科学と技術の相違を強く主張した哲学者であるという。
    「不本意ながら」技術の世界で口を糊している私は、相違と不本意さを語る暇など得られずただただ作業をこなす現存在であり、科学ってなんだっけ、という忘却から脱出する意思から進んでいない者である。
    ところどころ琴線に触れる記述があるのだが、消化しきれていない。特に、超越論、信仰を考えたことがなかったので、なかなか入ってこなかった。日常的に神や信仰を捉える機会のある生活にないと哲学するに至ることはなさそうだ。
    通り過ぎるのは簡単なのだろうけれど、「哲学者はあらゆる答えを回避するために、自分の無知を利用してはなりません」と釘を刺されたのでは、何度も読んで考え続けなければならないのだろう。

  • ドイツの哲学者ヤスパースがラジオにて行った講演をもとに作成された。

    「入門」と名前がついているが、哲学的言い回し(と古臭い訳)のため、素人にはかなり難解。

  • 哲学入門
    (和書)2012年04月27日 00:37
    1954 新潮社 ヤスパース, 草薙 正夫


    ヤスパースさんなど実存主義といわれている方々の本を図書館で渉猟しているものです。

    この哲学入門はヤスパースさんの作品の理解の助けになります。まず初めに読んでみるのも良かったかもしれません。

    次はハイデッガーその次はサルトルなど読み解けるように勉強していきたいと思います。

  • ラジオでの講義を本にしたもので、12講からなる。最初の3講くらいはふむふむ、なるほどー。で、だんだんわかりにくくなる…悟性って何だ、無制限的って何だ、とか哲学をかじっている人でないとわからない単語も普通に出てくる。

    個人的に興味深かったのは神の存在を証明しようとした第4講。やはり最近(この当時にとって)の哲学者は神の存在の証明を避けたがるらしい。最近に限ったことではないと思うが。そして結論はというとやっぱりちょっと有耶無耶だと感じる。
    補足で初学者向けにどの哲学者から学ぶのが良いかのヒントもあるが、わりとザックリバッサリ説明しててこれも意外と面白かった(こういう方面から論じないことから失敗してる、とか普通に言う)。

    概論的なことを講じているという意味では確かに入門なのかもしれないが、読みやすさで言えばソクラテスの弁明~パイドンのほうが圧倒的に読みやすいと思う。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784102036013

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