巴里の憂鬱 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102174012

感想・レビュー・書評

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  • 嗚呼、何という君の感性。何という君の自由。何という君のユーモア。何という君の哀しみ。

    世上には観察の対象は事欠かない。

    それを掴みとり凝縮し自己の湧き出る豊かな感性と融合させ一遍の散文に仕上げる君の魔力!

    時には寄り添い、時には突き放し、あるいは悪戯し、時には酔い、そして時には愛す。

    一遍の詩をものにできるなら悪魔に魅入られても構わない、悪魔すらも騙せるという君の尊大さ。

    しかし、君は孤高の人。

    君の豊かな感性を理解できた者は世界にどれだけいたのか。

    巴里の群集の中で一人で輝き続けるのは何と苦しかったことか。

    それでも君の豊かな感性の結晶は後世に残り読み継がれることだろう。

    嗚呼、良き文章哉。良き文章哉。

    君はあの世でわれわれの文学を支配できて、きっと満足なのだろうな。

  • ボードレールの「巴里の憂鬱」。ダンディズム、万物照応、フラヌールなどで知られる作品。三好達治の名調子なのでするすると読めるけれど、内容は難しい。シメールがボードリヤールの「消費社会の神話と構造」で引用されていて以来好きなのだが、その他、最後の善良なる犬とかも面白い。ただまだまだ読み込みは足りないという感じ。

  • いわゆる形式的な美醜ではなく、日常の中に潜む、一歩間違えると陥るような社会の暗部にこそ、美しさを求める価値がある、もしくは共感するものがあるとする視点は、自由を追い求める、自由という観念すら押し広げようとするその時代のフランスの空気だったのかもしれない。

  • イザベル・アジャーニがインタビューで、いまの気分はボードレールのよう、と言っていたのでボードレール。異人さんを読んだ時に、これぞ私の求めていた憂鬱、と閃きすぐ注文しました。
    これが散文詩。エッセイみたい。
    とは言え時計が可愛くて好き。猫の眼から時間がわかる試してみたい。

  • 個人的な感想ですが、
    ある程度生きた人が読んだ方が
    良いと思いました。

    私は21,2歳の時に読みましたが、
    不機嫌なフランスのおじさんとしか
    思わず、楽しめませんでした。

    あれから25年以上生きたので
    今度は少し分かるはずだと
    再び読むつもりです。

  • ボードレールが道を開いた面があるんだろう(耽美系幻想文学の文体とか)、だから後から読むとあまり特別さは感じない。あとはもう年なので、繊細な感性を持った詩人が鈍感な他者を断罪する流れにうんざりしてしまったところがある。

    反対に、いろいろ見てしまう前のすり減らない若い感性を持った読者は入り込めるかもしれない。わたしも猫の詩と、髪の毛いい匂い~の詩と、勝手にひとを医者扱いするぶっこわれた女のひとの詩はほうほうと読みました。

    わたしの語彙力と根気が足らなくて、いろいろ読み方が分からないままになった箇所多し。次に読むときは新しめの翻訳で読もう。

  •  ひたすらに狂気。巴里が花の都とか言ったのは誰だ、滅茶苦茶どす黒いぞ。

     「むつかしい」を「六ヶ敷い」と書く作家は見たことがあったが、「六カ敷い」という充てかたは、先生が初めてだったと思う。

  • 「孤独」など素晴らしいと感じる作品もあったが、女性に対する描写に嫌悪感を抱くところが多々あったのでこの評価。時代のせい、では割り切れないんだよなあ。

  • 再読。新潮文庫だけどこれ堀口訳じゃなくて三好達治だった。でも三好訳もいい。

    散文詩だけど、ちょっと長めのものなどはショートショート風でもあり、ボードレールの人間観察眼、詩だけでなく意外と戯曲なども書いてみれば面白かったのではないかと思ってしまった。

    3人の悪魔がやってくる「誘惑」とかお気に入り。

  • ボードレールの孤独な遊歩者としての鋭い視点が、見事にパリの群衆の姿や、彼の独特の芸術観を描き出している詩集だった。難解で理解しがたい作品もあったが、その中で非常に感銘を受ける作品もあった。

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