複雑系: 科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち (新潮文庫 ワ 5-1)
- 新潮社 (2000年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (683ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102177211
作品紹介・あらすじ
物事は全て秩序から混沌へと進み、やがて宇宙は終局する-。この常識を覆したのが「複雑系」だ。そしてこの発見は、物理学、化学、経済学、情報学…すべての学問体系を揺るがせるに至った。新しいサイエンスのキーワード「複雑系」をあらゆる角度から分析しつつ、創造神に一歩近づいたサンタフェ研究所の俊英たちのドラマを証言で綴る、新世紀サイエンス・ドキュメンタリー。
感想・レビュー・書評
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最近は複雑系ブームも下火になりつつありますが、この本は「代表作」です。
物事は全て秩序から混沌へと進み、やがて宇宙は終局する―。という今までの常識を非常識に覆したのが”複雑系”である。
そしてこの発見は、物理学、化学、経済学、情報学、政治…すべての学問体系を揺るがせるに至りました。
新しいサイエンスのキーワード「複雑系」をあらゆる角度から分析しつつ、創造神に一歩近づいたサンタフェ研究所の俊英たちのドラマを証言で綴る、新世紀サイエンス・ドキュメンタリー!!みたいな。
水素、酸素という単純な原子から、いかなる原因で私達のような多細胞生物が発生したか。
どうしてマイクロソフトが一人勝ちできたか。
人工知能の作り方・・・。
いわば世界の料理フルコースって感じですかね。かなりおいしくいただけます。
色んな学問がごった煮されて、いい具合にマッチングし、完成度の高いに仕上がっています。
これ何がいいって、数式が一切出てこずに、難解な学問を説明してくれるんです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
複雑系に関する人物紹介を中心とした物語形式での入門書。
経済学者のブライアン・アーサーを中心としているので、文系の人間にも分かりやすい話になっていると思う。個人的には、正統派経済学のケネス・アローもでてきて、ものすごく視野の広い人、柔軟な人なのだなと感動した。
この本の主題は、複雑系理論の紹介であるのだが、と同時に、ここで描かれているのは、知識が、人と人のつながり、それも偶発的なつながりのなかから、創発され、共有され、進化していくという複雑系理論そのものの物語である。
サンタフェ研究所がストーリーの中心なので、「複雑系はサンタフェだけでない」という人もいるだろうけど、この本は、複雑系全般の入門書というより、「知識が創造される場」の物語として読むべきなのだ。 -
複雑系領域の学問がことなった分野の研究者同士の出会いで深まっていったことが分かって興味深かった。ただその分、新しい人物が登場するとその人の過去について100ページ近く語りはじめて話が脱線するので、しおりを挟むタイミングを間違えると何をいっているのかわからなくなる可能性大。
経済学、人工知能、人工生物あたりの分野について研究がどう始まって行ったか詳しく書かれている。 -
すごくワクワクする内容で、複雑系に興味がもてた。
特に、ラングトンのところが一番好きかもしれない。
自己複製や人工生命、カオスの話など興味がそそられる話が凝縮されています。
ただ、絶版で市場には残っていないところが残念。
今後手に入れるとして古本になってしまいます。
けど、それでも手に入れる価値はありかな?
新たな発見のためにも再読する必要あり。 -
要素還元的手法を物事の本質として取り入れてきた近代科学の中で、このような流れは必然だったのだろう。本書は経済、生命など至るところで噴出した、要素に還元できない現象の数々の根底にあるものを探すためにサンタフェに集まった人々の雄姿を生き生きと描写している。
大学に入る直前にこの本に出会ったのが実質的に人生の転機となった。むさぼるように読んだのを覚えている。読んだ上で注意したいのが本書はサンタフェ研究所で主に扱っている「複雑適応系」という複雑系の中でも環境に適応して自己を変化させていく系に絞って紹介している点である。サンタフェ研究所の功績は大きいが、現在はもはや「複雑系=この書籍=サンタフェ研究所」ではないことに留意したい。本書はあくまで出発点である。 -
文系のための「複雑系」入門。アカデミックなアヴェンジャーズ!
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#2721-16
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複雑系といえば、自己組織化や非平衡、散逸系、非線形、カオス理論といった専門用語で行き詰まりやすいが、大雑把にエントロピー増大則を理解すればそれでよろしい。「覆水盆に返らず」である。そしてコーヒーに入れたミルクは広がってゆく。更に風呂のお湯は時間が経つと冷める。形あるものは必ず滅びる。
https://sessendo.blogspot.com/2019/03/m.html -
昔っから感じていた普遍的な法則について、自分だけが感じていたんじゃなんだなと認識できた。
学術書ではなく、研究所の伝記のような本。面白かった。