- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102402313
作品紹介・あらすじ
タクシー運転手チェットは大のギャンブル好き。客から入手した競馬の裏情報が的中し、配当金を受け取りにノミ屋のトミーを訪ねるが、彼は撃ち殺されていた。容疑者にされたうえ二つのギャング組織から追われることになったチェットは、トミーの妹と組んで真犯人を探すことになる。手に汗握る脱出劇、ロマンス、全員集合の大騒動に犯人当て。1960年代のNYムード満載、巨匠による幻の逸品。
感想・レビュー・書評
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1969年 原題”Somebody Owes Me Money”
マンハッタンのタクシー運転手チェット。
競馬やカードゲームの賭け事は好きだが、極めて一般的な一庶民。それが殺人現場の第一発見者になったために本物のギャング組織から追われるはめに。
テンポが良く展開もかなり面白かった。
結末がちょっと物足りないかなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
競馬の配当金を受け取りに行ったらノミ屋が殺されていて、ギャングの抗争のど真ん中に突っ立ってしまう男の話。
タイトルは著者の別作品から取ったのかも?そんなに多くなく…
コンゲームのようなのを期待してましたがドタバタしてました。
主人公にもギャンブラーなので「切り札」的な何か展開を期待してたけどなんかズルズルドタバタよ。
つまらないわけではないのですが、少し物足りず。
「ガォー!!」って訳されてる箇所が気になる。 -
タクシー運転手のチェットは大のギャンブル好き。客から入手した競馬の裏情報が的中し、配当金を受け取りにノミ屋のトミーを訪ねるが、彼は撃ち殺されていた!チェットは容疑者にされた上に、二つのギャング組織から追われるハメに。そんな中で出会ったトミーの妹・アビーと真犯人を捜すことになるが──。
1969年に刊行された作品がここに復刊!1960年代のニューヨークを味わえるコミカル・ミステリ。ぼくの大好きな笹沢左保先生と同じく、1960年デビュー(ウェストレイク名義)というのも親近感がわいた。トミーは誰に殺されたのか?という謎を柱に、ギャングたちからの逃亡劇あり!ロマンスあり!まさかの関係者全員集合?!犯人当てはもちろんあの場所で!ワクワクだらけの冒険活劇が味わえる。これは映画で見てみたい!このドタバタ劇は映像化にハマると思う!
二組のギャングに挟まれて、この先生きのこることができるのか?!主人公・チェットの軽やかな身のこなしも好き。脅されるとまずはおとなしくするのがツボに入る。
「おとなしくしろ」
おれはおとなしくした。
「黙れ」彼が言った。
おれは黙った。
「じゃあ、そこにじっとしてろ」男が言った。「そのベッドから動くなよ」
「任せてくれ」
「任せてくれ(キリッ)」じゃないって!と笑いながら読んでた。でも、状況はハチャメチャに混沌としてるんだよね。返答をひとつ間違えれば消されてしまう圧迫面接!チェット自身は別に悪いことしてないのに、あらゆる人から疑われ、事件の中心人物に仕立て上げられてしまうという。配当金が欲しいだけなのにね。スマホを落としただけでもないのに…。まあ、ノミ屋から馬券を買ってる時点で罪ではあるんだけども(笑)
アビーとのコンビも鮮やかだったし、ギャングの一味を「しゃべり上手」で煙に巻きつつ説得していくのも面白い。全員集合はシュールすぎて爆笑しちゃった。でも、あの状況での判断は見事すぎる。ミステリとしてはわかりやすい仕上がりながら、とにかく息つく暇もなく二転三転していく作劇が楽しかった。ポーカーのメンツのキャラがもう少し立ってたらさらに面白かったかも。ビターながら爽やかなラストもよかった。
p.265
「おまえは最高のドジ野郎だ」と言った。「おまえは馬鹿なことをするが、それにはいつも賢い理由がある」フランク・ターボック
p.269,270
ターボックをこの事態に巻き込んだのは悪いと思っているが、混乱が雑草のように広がるのを防ぐ唯一の方法は、機会があるたびに真実を述べることだと、先週学んだ。ときどき真実は最初に混乱を増幅させることもあるが、遅かれ早かれ、いつも混乱を鎮める効果がある。 -
最後にウェストレイクを読んだのは2007年。別名義のリチャード・スタークにしたって2005年が最後である。記憶の底から浮上してきた腐乱死体のような古い作品が、現代の水面にいきなり浮上してきたといった有様なのだが、実際に読んでみると、ネットやディジタルでいっぱいのこんな時代であるからこそ、むしろあの時代のアナログ的なものが詰まった本書は、新鮮さいっぱいであるように痛烈に感じさせられる。
この明るさ。このスリル。この謎多さ。それでいて場面展開とストーリーテリングの見事さ。ああ、ウェストレイクよ! この感覚は間違いなくあの作家! と、手に持つ文庫本の感触までが、なぜかとても懐かしく感じられるのである。翻訳としては何十年ぶりの新作となるこの本。その価値に有難く手を合わせながら大事に読もうと挑んでみた本作だが、ぐいぐい読まされる展開の妙が、ページを繰る手にブレーキをかけたがらない。
ノンストップで雪崩れ込む一人称の語り口。60年代のニューヨーク。平凡なタクシー運転手が巻き込まれるあまりに奇妙な殺人事件。次々と現れる粗暴な不審人物たち。二組の暗黒組織の両側から命を狙われ、刑事からも疑惑をかけられ、それでいて、出会った関係者のレディとのラブ・ロマンスにも陥りながら、ドタバタ劇のスピード感を一瞬たりとも落とさぬまま、サバイバルの出口を探し求める主人公の姿に、読者は驚き呆れること必至であろう。
ウェストレイクという作家は、各種の別名義を使いながら、次々と傑作を書いてしまったホンモノの天才である。巻末に作品リストがずらりと並ぶが、これが圧巻。今の世に、半世紀前の物語を読むのははて? と思われる方、騙されたと思って是非、本書を手に取って頂きたい。現代の東京でだって札幌でだってどこの都市であっても起こり得るかもしれないミステリアスな事件の裏側を、読者諸兄と何ら変わらない平凡な主人公の眼と心とで楽しんでほしい。
ジェットコースター・ストーリーとは本書のような物語のこと。内容は悪夢だがどこまでも明るく楽観的な主人公の、その語り口に舌鼓を打ちつつ、ギャンブルの歓びと恐怖とを秤にかけつつ、本エンタメを楽しく味わって頂きたいと思う。 -
1969年年に刊行された本作はニューヨークが舞台。主人公はギャンブル好きのタクシー運転手。競馬で万馬券当たり、ノミ屋のトミーのところに配当金をもらいに行くとトミーが殺されていた。そこからなぜかギャングに追われたり命を狙われたりする。金髪美人のトミーの妹と共に逃亡するのだが、その会話やハラハラ具合が面白かった。舞台アレンジすると凄く面白そうな場面がたくさんあった。
★評価低めなのは、私が翻訳だと名前や状況把握が苦手なせいです。 -
面白かったー!
殺人事件に巻き込まれ、二つのギャング組織に追われる羽目のなったタクシー運転手。
セリフが小粋で、読むのがとても楽しかった。
キャラクターも皆魅力的。 -
痛快にサクサク読めた。
お決まりな感じというか、ドタバタな感じとかが予想の範囲内できちんとストーリー展開していくのが気持ちよく読めた。どのキャラも憎めないのもいい。 -
面白かった。
NYのギャングたちが出てくるお話で
被害者もまぁ、出るんだけど、主人公のキャラクターがなんだか
緊張感のないやつでそれがなんだか愉快な感じになってる。
主人公はギャンブルが大好きで、ノミ屋を通して買った馬券が当たったもんで
それの払戻しをしてもらおうと思ったらそのノミ屋が殺されていた。
一体誰が?なんのために?そして、俺の払い戻しは誰がしてくれるんだ?
ということで、主人公はずーっとそればっか言ってます。
ギャングにさらわれても、払戻しだけしてくれればいいんだぜって、すごいなこの人。
でも、間抜けさとタフな感じは紙一重でいい味出てます。
物語の途中からはちょっとばかり色っぽいシーンあり、
銃撃戦、アクションシーンありと
ハリウッド的文法にものっとった
清く正しいエンターテイメントに仕上がってます。
あとは、主人公がタクシー運転手ってこともあって
ちょいちょいNYの番地なんかも出てるんで
通りやら知ってるとさらに楽しめるところもあるんかな。
ちょっとした息抜きにはぴったりの小説でしょう。
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賭けてもいいが、おれがこんなにしゃべり上手でなければ、これから話す出来事はまったく起こらなかったはずだ。しゃべり上手だということはいつもおれの問題だが、おれの問題は何か他のことだと言い張る連中もいる。しかし、人生はギャンブルだというのがおれの口癖だし、世の中でしゃべり上手な人間のみんながみんな連邦議会にいるわけじゃない。(p.7)
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軽快な書き出しである。それにしてもギャンブルが好きで舌がよく回るというのは、
たいがいロクでもないわな。ろくでなしの話はみなさん興味があるので、ここで大体読みたくなる。
中身はご期待に添えるかと。
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人間の身長ぐらいの高さの雪の山が車道の両脇に連なっている。その雪は除雪車によって両脇に集められ、あちらこちらで雪に埋もれた車のボンネットやサイド・ウィンドウが輝いていた。(p.82)
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NYって結構緯度が高いんだよね。
そういや、アメリカでは今年の寒波も強烈って言ってたな。
日本はおおむね温帯でその辺は助かるなぁ。それでも寒いけど。 -
読みやすくてとっても愉快。
思わず声を出して笑ってしまうほどユーモアに満ちていて、ドタバタ感もたまらない。
読み終わってしまったのがちょっぴり悲しいくらいもっと読んでいたかった。