- Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102409381
作品紹介・あらすじ
「やっちまった……」応援し、投資までしていた異種混合格闘技の選手が、まさかの判定に逆上してレフェリーを殴り殺してしまう。ラッドは有罪答弁取引で彼の量刑を軽くするべく画策するが、当の本人は「無罪釈放」の高望み。一方、市警幹部の妊娠した娘が行方不明に。最重要容疑者の弁護人となり、彼から人身売買組織についての貴重な情報を入手したラッドは彼女を無事に救うことができるのか。
感想・レビュー・書評
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フィクションだもの誇張はあるだろうけど、アメリカの司法制度は何と腐ったモノになり下がった事か。願わくは、日本が真似をしない事を。……でも、大体、アチラの悪弊は何年かすると渡ってくるような気がする。
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アウトロー弁護士セバスチャン・ラッドの活躍っぷりを描く痛快連作集と思いきや、下巻のページが残り少なくなっても『痛快』が訪れず、良い意味で裏切られたよグリシャム!
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原題は「悪徳(ゴロツキ)弁護士」だが、ハードボイルドな探偵を彷彿とさせる物語。
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作者の名を何度も確かめずにいられないくらい、グリシャムとしては異端の作品である。逆に言えば、この小説を読んでグリシャムの印象を決めないことを望む。グリシャムはリーガル・サスペンスの王道をゆくような正統派作家である。しかし、そうこの作品は、異端と言ってもよいだろう。
そもそもグリシャムとしては珍しく、本書は連作中編小説のような構成である。長編作家として知られるグリシャムが、一話完結的な中編物語を紡いでゆく上巻。まずは異端の弁護士の一人称と、その悪ぶった語り口に違和感を覚える読者は多いだろう。これ、グリシャム? ブラックでは? ノワールでは? そう思わせるような、一匹狼のタフなプロフェッショナル弁護士セバスチャン・ラッド。
どんな奴でも弁護する。信じられるものは法律だけ。趣味として真夜中のケージ・ファイトに出かけ、犯罪者たちとの賭博行為を行うばかりか、ファイターに出資すらしている。これが本当にグリシャム?
しかし徐々に、このネガティブ・キャラクターが、手段を択ばない執念や怒りの強さにより、入り組んだ個々の事件が絡み合う迷路のさなか、狭い狭い抜け道を見つけ出しては、個性的キャラクター(暗黒街の大物も警察上層部も何でもあり)を次々と手玉に取って、あり得ない結末を導き出してゆく様子に、いつの間にか拍手を送っている自分に気づく。
こんなごみ溜めのような世界に生息する弁護士であれ、その生きる糧は勝利なのであり、自分の持てる力を発揮して世界を正しく変えてゆく目的への強烈な飢餓感なのである。あきれるほど駆け引きに長けたダーティ・ヒーローによる、あくまで法律を準主役としたリーガルミステリー。グリシャムが読者の期待を良い意味で裏切る熟練の騙し技を、いくつも垣間見せてくれる本書の娯楽性は、鋭い切っ先を持つ刃の切れ味であった。 -
上巻での事件は全てが終わっておらず、下巻では、新たな事件に巻き込まれる。その諸々から、息子や、事務所を兼ねた車があんな事になったり、自らも襲われ、果ては殺人教唆の疑いまでかけられる。何度も窮地に立たされるセバスチャン。息子を巡って、元妻とも諍いが絶えず頭を悩ませる事ばかり。上巻からの事件が色々絡まりながら、辛うじてラストを迎える。一見ドライに思えていたセバスチャンだが、読むごとに弁護士としての正義感に溢れ、その一方で少しダーティーな部分も見せてくれる。「パートナー」や元妻など、脇役陣も魅力的。面白かった!
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東2法経図・6F開架:933.7A/G86k/2/K