烈風のレクイエム

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 96
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103001539

作品紹介・あらすじ

函館-わずか二十年で三度も悲劇に見舞われた町。昭和9年春・函館大火災、昭和20年夏・函館大空襲、昭和29年秋・青函連絡船「洞爺丸」沈没。そのすべてに遭遇してしまった男-泊敬介。運命はこの男を何度突き落とせば気が済むのか-。海の男の生還と鎮魂のドラマ。再生と矜持の感動巨編。

感想・レビュー・書評

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  • 大火災、空襲、海難事故。実際に体験したんじゃないかという位の描写で、敬介を通して命を感じる事が出来た。人の繋がり、大切さ、様々勉強になった。やはり熊谷達也の本は良い。命の教科書だ。

  • 96困難に遭っても希望を失いかけても、もう一回立ち上がる、という執念と生き様に溢れた作品である。たくさん人が亡くなるがそういう時代だったかのかもしれない。生き残った人間が生き抜くしか人生は開けない。

  • そんなに昔の話だとは思わず
    それにしても・・・
    最後の寄せって

  • 「ウェンカムイの爪」でデビューした熊谷達也さん、マタギ3部作や「はぐれ鷹」「銀狼王」などの動物もの、「リアスの子」「微睡みの海」などの3.11を題材にした仙河海(せんがうみ)シリーズ、最近読んだ岩手・宮城内陸地震を題材にした「光降る丘」、そして今回読んだ「烈風のレクイエム」(函館の大火、青函連絡船宗谷丸座礁を題材)どれも素晴らしいですね。読み応えがあって、魂を揺さぶられます!「烈風のレクイエム」、夫婦の絆、親子の絆、人と人との運命の巡り合わせ・・・、感動の大作です!2013.2発行。

  • 海の男の再生と鎮魂の感動巨編5☆。昭和初 期の暗く厳しい時代の函館が舞台。函館大火 災、空襲そして青函連絡船沈没など運命に弄 ばれる主人公泊啓介。家族との永遠の別れそ して出会いを経て厳しい現実に決して屈せず 強く静かに生きる。メッセージは”人の 絆”か。人生の苦難や嵐を乗り越えていくほ ど、より一層太くて強固な絆が紡がれる。最 後は希望の光で照らされる運命的で奇跡的な 再会に心が深く揺さぶられます。

  • 2013/6/26
    読みやすい。ただ、話がうまくいきすぎてるところや先がよめるところがいくつかあった。

  • 図書館の新書コーナーから。『光降る丘』を以前借りたが期限が来て返してしまった。偶然のいたずらか、手にとった本が同じ作者だった。
    函館で起こった3つの悲劇のすべてに遭遇した泊敬介の話。函館大火災では妻子を亡くし、函館大空襲では大怪我を負い、洞爺丸沈没では奇跡の生還を果たす。
    この本で災害小説というジャンルも好きになりそう。

  • 良かった。話の作りがイイ。

  •  函館には並々ならぬ思い入れがある。宮城生まれ・宮城在住の作家・熊谷達也が、函館の小説を敢えて書く動機とは何だろう。ぼくはそんなことばかり考える。この小説は函館の街と函館の海を描いた大作である。函館を見舞った三つの大惨事、昭和9年の大火、昭和20年の大空襲、昭和29年の洞爺丸沈没のすべてに遭遇してしまった男・泊啓介の人生の物語でありながら、海と惨事を通して家族の絆を確かめ合うヒューマンなビルディングス・ロマンでもある。

     何よりもこれら惨事を繋ぐ永い時代、これら惨事の臨場感、そして家族の悲劇や葛藤などを、骨惜しみすることなく辿ったこの作家のペン先の耐久力に拍手したい気持ちでいっぱいである。これらが史実であるからには、それなりの考証が必要であったろう。史実を臨場感というかたちで惨事の内側から描くには、空間的実感を検証せねばならなかっただろう。朝夕に、地図と睨み合っただろう。迫る焔、銃弾に貫かれる痛み、水底の水圧などなど、本書では体感に近い描写が多い。それらの想像力を丹念に羽ばたかせたことだろう。

     函館が主人公であるとともに、三つの惨事こそが本書の主役である。泊啓介の人生は、三つのエポックによって成り立っている。惨事そのものの、微に入り細に至る描写こそ、この本の密度を生み出す活性燃料である。読者は泊啓介と一緒に、その時代、その場所に立ちどまり、全力疾走し、苦しさに喘ぐことになる。愛する者の呼ぶ声を、煙や、嵐の吠え声の向こうに聴くことになる。失われた人命の多さに比例するだけの、それぞれの悲劇に立ち会うことになる。

     そして、味わうことになる。その中で、残された命と命との絆の強さを。ぐいぐいと引き合う感触までも。握り合う掌の互いの温もりの大切さを。包容の強さを。叫び声の熱さを。

     熊谷達也という作家は甘い作家ではない。甘ったるい作風は全く似合わない作家だと言ってよい。函館、というより渡島半島の山中を舞台にした現代の羆狩り小説『ウエンカムイの爪』でデビューしたこの作家は、徹底して大自然と向き合ってきた作家である。大自然の一部のように人間を、その強靭さを描いてきた作家である。都会育ちでは考え得ないような、大地、森、海からの声に耳を傾けてきたその作家の心は、やはりこの書でも海の風をよくよく聴いたのだ。

     ちなみに、ラストシーンに登場する三陸沿岸の種市の海は、ぼくの父の生まれ育ったところだ。父はその後、函館に移り住み、そこで兵役に取られる直前までの青春時代を送った。その子であるぼくは、ある時期の数年間、その函館に通い、広大な渡島・桧山地域を走り回る仕事に従事した。いやでも父との縁を感じた。だからこそ、たまたま偶然とは言い切れない縁(えにし)のようなものを、ぼくはこの作品にも感じてやまないのだ。

  • ☆5つ!

    久しぶりに熊谷さんのクマ物語以外で感動の作品に出会った。

    クマこそ出ては来ないけど、海と船と潜水と人のきづなを描いた感動の物語だと思うです。

    みなさま、この作品はちょっとおすすめですよぉ。

    • ほんやだワンさん
      「烈風」って、飛行機のほうではないの?
      「烈風」って、飛行機のほうではないの?
      2013/03/22
    • ryoukentさん
      >タワンさん
      烈風は確かに疾風や紫電改とならぶ「間に合わなかった名戦闘機」ですな。でもこの本は青函連絡船の本なのです。面白いよ!
      >タワンさん
      烈風は確かに疾風や紫電改とならぶ「間に合わなかった名戦闘機」ですな。でもこの本は青函連絡船の本なのです。面白いよ!
      2013/03/22
    • ryoukentさん
      >けーこさん
      ストーリ展開は似ています。
      この本でクマの代わりを演じているのは・・・うむ、言わんでおこう。むはは。
      >けーこさん
      ストーリ展開は似ています。
      この本でクマの代わりを演じているのは・・・うむ、言わんでおこう。むはは。
      2013/03/22
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著者プロフィール

1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。97年「ウエンカムイの爪」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年に『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞、04年に『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞。宮城県気仙沼市がモデルの架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」シリーズのほか、青春小説から歴史小説まで、幅広い作品に挑戦し続けている。近著に『我は景祐』『無刑人 芦東山』、エッセイ集『いつもの明日』などがある。

「2022年 『孤立宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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