金春屋ゴメス

著者 :
  • 新潮社
3.65
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本棚登録 : 396
感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103003113

感想・レビュー・書評

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  • ファンタジー大賞なら間違いない、と取っておいた一冊。

    ただの時代小説かと思えばそうではなく、今から約30年後の日本。日本の関東から東北一帯に、江戸国という独立国が生まれていた。元江戸国生まれの辰次郎は、江戸へ入国し、長崎奉行こと金春屋ゴメスのもとで雑役として働くことになる。その仕事とは、死率100%の流行病、鬼赤痢とは何かを調べることだった。

    今よりさらに未来なのに江戸という、時代に逆らう生活をした国が舞台という設定がなんとも珍妙で心を惹かれる。ただでさえそれほどの未来だったら便利な生活に慣れている分、辰次郎たちほど自然に溶け込めない気がするものの、その逆に江戸の良さと厳しさを教えてくれる。ただの憧れなんかでは、江戸では生きられない。本気で好きでないと、松吉のように馴染めないだろう。

    江戸に入国したものは、外に出るのはかまわないが再度入国することは叶わない。外に出れば最先端の技術が外にあるというのに、救える命を救わないそれが江戸。救える命を捨ててまで時代に逆らって江戸国を存続させる意味はなんなのか。

    がちがちの時代小説より、ちょっと気楽に読みたい、という方にお勧め。まさしくエンターテイメントである。

  • ゴメスって豪快でいかしてる。

  • H25/10/16

  • 近未来では日本の一部に江戸という独立国家がある、という心惹かれる設定のファンタジー。鎖国状態の江戸への入国を許された辰次郎は、死率100%の流行病「鬼赤病」の正体を探るよう命じられ…。実写化するなら、ゴメスは南海キャンディーズしずちゃん?

  • 時代物と思いきや、近未来の日本の中に「江戸」という独立国がある設定。
    江戸国は鎖国をしているが、日本国から出入りが全くできないわけではなく、主人公のように日本から「江戸」行きを希望するものがたくさんいて抽選で選ばれた少人数が入国ができる。現代の便利な生活に慣れきった日本人がこの設定の江戸で生活をし、秩序やルールが守られるのかが疑問です。また、主人公のような若者が生活に慣れるのが早すぎやしないかと突っ込みたくなります。
    その辺りもひっくるめた自由なフィクションとしては面白かったです。
    ゴメスの印象が強いため、部下たちの個々のキャラが霞み気味なのと、事件のあたりの人物のごちゃごちゃ感が残念です。

  • とにかくオモシロくてイッキ読み!!
    ゴメスにも惚れたが、金春屋のおにぎりが無性に食べてみたくなった

  • 近未来の日本の中にある、独立国家「江戸」。
    昔の江戸と同じような暮らしをあえて選んだ人々が暮らしている。
    日本から入国できるのは高倍率の抽選をくぐりぬけた人だけ。
    幼い頃江戸に住んでいたけど、わけあって日本に出国した主人公が、大人になって江戸に帰ってくる。
    金春屋ゴメスという強烈な極悪(?)奉行のもとで働きながら、幼い頃の江戸での記憶を取り戻していく。
    その記憶のなかに、江戸で発生した疫病に関する重大な秘密が・・・。

    ゴメスと周りのキャラクターが痛快。
    江戸での生活も、いきいきしててなかなか楽しいです。
    ちょっとキャラクター多すぎて手下の人とか混乱してしまったのですが、そのへんはこちらの集中力不足かも。
    文庫版の表紙を見て笑ってしまった。すごいインパクト。

  • 最後までずっと良い緊張感を保ったストーリーだと思います。最初、ゴメスの印象がすごく悪かったけど最後には愛着がわいてきました。時代は現代だけど舞台は江戸時代という設定も面白かったです(時代小説好きなので)。2作目もあるようなので、そちらも読んでみたいです。

  • 江戸時代はいい時代だったんだろうなぁ、という気にしてくれた本でした。ちょうどTVでJIN~仁~の最終回見終わったときだったので場面がオーバーラップしてしまいました。

  • ファンタジー大賞を受けた、どんな話か興味があった。
    現在の東京から、江戸ヘノタイムスリップ、そこでは鬼赤痢の流行を止める使命が!!
    現代と江戸を繋ぎながらも、独立した国として認められている設定も面白かった。

  • おもしろい。

    どうしよう。
    かなり好きなお話しになりました。

  • <内容>
    竹芝埠頭から舟に揺られて江戸国に着いた!? 
    大盗賊も疫病神も思わず黙る、容貌魁偉、冷酷無比、極悪非道、厚顔無恥な「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守に雇われた大学生、辰次郎の運命やいかに!?

    <作者>
    1964年北海道生まれ。東京英語専門学校卒業。
    「金春屋ゴメス」で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞。

  • 近未来の日本で江戸が鎖国!?
    辰次郎が江戸に「入国」して住み着いた裏金春、呼ばれた理由は江戸に流行する病の謎をとくためであった。

    度肝を抜く設定からまず素晴らしく、最後まで楽しかったです。
    松吉の本名に吹いた。あれは可哀相(笑)
    ひとつ印象に残ったのは、ひきこもりがあまり問題ならなくなっている、という時代設定。そうなるかもなあ。

  • 日本から、かつての江戸を忠実に再現した“江戸国”へ
    入国を果たした、大学生の辰次郎。
    江戸国は、ビジネスや観光目的の短期入国を許可しておらず、
    入国も一度きり。
    洋服はもちろん、電化製品、日本の通貨、薬なども
    すべて持ち込み禁止。
    現代に存在する、かつての江戸がそこにあるのだ。

    辰次郎の身元引受人は
    「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守。
    致死率100%という疫病「鬼赤痢」の謎を
    長崎奉行所の仲間たちと追っていく。


    なかなかおもしろいじゃん!
    設定がともかく変わってる。
    だって、本当の江戸なんだもん。
    タイムスリップとかじゃなくって、入国よ。
    江戸に住んでる人たちも、かつては現代人だった人たち。
    不便ながらも、ぬくもりがあった江戸があるのよね。
    辰次郎が明かりのない江戸の町を歩くところがちょっとリアル。

  • ●タイムスリップ物ではなく、現代の独立国家江戸という設定が面白い。

    ●江戸を守ることと病人の命を救うこと、どちらを優先すべきだろうか。『人の命には何物も変えられない』という言葉がある。確かに人命は尊重されるもので、失ったら取り返しがきかない。しかし、江戸を失うことは、命を失うよりも堪え難い人もいるだろう。人の命を救うために他の人が不利益を被ってもいいのかという問題もある。
     江戸の優れているところは、住人に選択肢を与えていることだ。江戸で死ぬか、日本で治療するか、自由に選ぶことができる。非常に近代的なシステムだと思った。

    ☆きっかけは**が読んでいたから。


    読了日:2010/09/07

  • 設定が面白い
    月の移住さえ簡単に出来るようになった
    近未来の日本に
    鎖国を続け独立国家として存在する江戸がある

    江戸入国は300倍の狭き門
    裏口入国により
    いとも簡単に江戸に向かうことになった辰次郎

    辰次郎が江戸に来ることになった
    本当の理由があきらかになるにつれ
    自ら封印していた過去の記憶に
    向き合うことになる

    金春屋ゴメスはじめ
    江戸に暮らす人々との出会い
    江戸の厳しくも温かい人情に触れる中で
    疫病「鬼赤痢」の恐怖と戦う

    タイムトラベルではなく
    江戸と日本だ同時に存在する世界
    時代小説とは一味ちがった

  • さすがファンタジーノベル大賞。笑
    なんか好き。けど普通止まりかも。

  • 2005年に読んだ本

  • 基本的には好きな人情時代ものなのに、突飛で奇抜な
    設定にイマイチ最後まで馴染めなくて感情が入って
    いけなかったのが...残念。
    作中で、松吉が叫ぶまっとうなセリフが、この設定の
    (自分にとって)脆弱な面を浮き彫りにしてしまった。
    国家と江戸との取り決めの重みがイマイチ伝わらないんですよねー。

    とは言え、ストーリー全体的には好きですし、この作品で
    西條さんの作品がツマラないという事は決してない。
    むしろ、この作品を経て「烏金」や「はむ・ほたる」という
    作品があるんだなーと。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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