閻魔の世直し: 善人長屋

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103003151

作品紹介・あらすじ

正義を騙った殺しを許すな! 裏の手管で悪を討つ「善人長屋」ふたたび。表は堅気のお人好し、裏は差配も店子も悪党が揃う「善人長屋」。天誅を気取り、裏街道の頭衆を血祭りに上げる「閻魔組」の暗躍は、他人事として見過ごせない。長屋を探る同心の目を潜り、裏稼業の技を尽くした探索は、奴らの正体を暴けるか。中山義秀賞受賞で注目の気鋭がおくる、待望のシリーズ第二弾。書下ろし長編!

感想・レビュー・書評

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  • 前作をしのげず。

  • 前作とかわって長編もの。
    どんどん不穏な空気が流れていく江戸の街に、長屋の者と同じように心苦しい気持ちになりました。
    そして白坂へのお縫の心の機微が結末に向かってどっちへ転ぶのかと見守りながら、最後はまさかの展開に。

    悪事を一言で悪と言えないのは江戸の街でも現代でも同じことで、世の中は複雑で難しい。
    正義と悪のせめぎ合いな回でした。

  • 長屋総出の大仕掛け。知恵と人情の探索劇。
    表は堅気のお人好し、裏は差配も店子も凄腕の悪党が揃う「善人長屋」。天誅を気取り、裏街道の頭衆を血祭りに上げる「閻魔組」の暗躍は、他人事として見過ごせない。長屋を探る同心の目を潜り、裏稼業の技を尽くした探索は、奴らの正体を暴けるか。
    (2013年)
    —- 目次 —-
    閻魔の世直し

  • 前作の短編集も良かったけど、久々に読みごたえのある長編でよかった。誉められたことではない行動でも、人にはそれぞれの正義があって、その信念を貫くために生きる姿は皆格好いいなぁと思ってしまった。だからこそ尚更私はこの主人公的な位置にいる女の子が甘ったれのお子さまに思えてどうも好きになれない。

  • 時代小説は、現実から離れて純粋にストーリーを楽しめる気がする。西條さんのも宮部さんのも時代物が好きなのはそのタメなような気がします。こちらのようにクスッと笑えれば言うことないです。

  • まもなく(2022年7月)からNHK BSプレミアムで連ドラ化が始まるもののシリーズ2作目。今度は長編で読み応えがやはり連作の1作目と全然違う。その分、善人の加助はあまり登場せずお縫がひっかきまわしてくれる。こういう役回りが必ず出て来るよなあ。好きじゃないんだけど、まあ話が面白いからいいか・・・

  • あー面白かった。閻魔組の顛末そのものも読み応えあったが、なによりお縫と文吉と白坂の気持ちの動きが、読み終えた後清々しく反芻されて意外な後味。大人になるって楽しいばかりじゃ無い。だけど悪いことばかりでも無い。だね、加助さん。

  • 表は堅気のお人好し、裏は凄腕の悪党が揃う
    「善人長屋」。天誅を気取り、裏街道の
    頭衆を血祭りにあげる閻魔組の暗躍を
    見過ごせず、長屋を探る同心の目を潜り、
    裏家業の技をつくして探索するが…。

  • 善人長屋シリーズ2作目は長編。

    裏社会には裏社会なりの(表社会より厳しいかもしれない)秩序があり、それを護っていた力関係のピラミッドが「閻魔組」を名乗る何者かによって崩され、混乱を極めていた。
    前巻のあの人がたぶん裏にいるんだろうなとわりとすぐに感づけたものの、閻魔組の
    正体が判らなくて、ドキドキしつつ読み進めた。

    しかし、お縫の暴走に眉をひそめてしまうこと度々。
    長屋のみんな(の正体がバレるの)を心配しているはずなのに、軽率な行動でそのみんなを窮地に追い込んでいる気がして。
    そのぶん、☆マイナス1しました。

  •  このシリーズは、てっきり加助さんが主人公だと思ってたのに、そうではないのね。
     今回は殆ど登場せんかった…。
     それにしても、お縫いちゃんが意味不明すぎて、わけ分かんない。
     このキャラの存在感自体が、私には意味が分からない。
     一応、彼女がいてこの話の展開が成立する、みたいになってはいるけれど、いなくてもいいというか。

  • 表は堅気のお人好し、裏は差配も店子も凄腕の悪党が揃う「善人長屋」。天誅を気取り、裏街道の頭衆を血祭りに上げる「閻魔組」の暗躍は、他人事として見過ごせない。長屋を探る同心の目を潜り、裏稼業の技を尽くした探索は、奴らの正体を暴けるか。

  • 善人長屋の第2弾。1を読んでないのでもうひとつ読み込めなかった。

  • お縫ちゃんの切ない恋話あり、仇討ち話あり、・・・いろいろ。前作は短編だったけど、今回は長編。

  • 短編集かと思ったら長編だった。
    夜叉坊主がの割にあまり大悪に見えない…
    てか、お縫おぼこすぎじゃ…

  • 長屋の住人が正義ヅラして世直しを行う殺人集団に対応する。特殊な技能を持っていることを表すために、彼らを小悪党にしている。盗人、詐欺師、美人局。。。設定に無理があるな。長々と事件発生と調査を繰り返して、後半数ページで解決。あっさりしていた。前半のテンポが悪いので読むのが辛くなった。長屋の住人の名前と技能、役割が分かりにくい。裏社会との繋がりを無理に絡めたかんじ。必要悪と言いたいのだろうが、説得力はなかった。

  • ちょっとまえに偶然出会った善人長屋シリーズ。3作目まで出てるようだけど、3つめが図書館に入るのはもうすこし先かな。。。これは、シリーズ2作め。
    私すきだなあこの設定も、ほどよいサスペンス感も、ちょっと残酷なかんじも。メインキャラからして実は悪党、といううしろ暗いところを背負ってるから、いままでも江戸×事件簿みたいなのはたくさん読んだけど、たんなる勧善懲悪じゃないところがすごくいい。 1作目は短編のあつまりのように読んでしまって、さいごのふたつが夜叉坊主絡みのつながった、2話、というかんじに受け取ってたんだけど、これは、1冊まるごと、あのときこらしめたはずの夜叉坊主の逆襲。お縫の恋も、そんなつもりじゃないのに惹かれるかんじも、でもラストの引いていくかんじも、身近な大事に気づくかんじも、なんかリアルでよかった。女性作家ならではかなあ、こういうとこ。母親のお俊の冷静で粋な対応も惚れ惚れするしね。いちばん好きなキャラはお俊かな私。妻としても母としてもデキル女だよね。
    しかし夜叉坊主のやりくちはほんと下衆だよね。たくさん人が死んで、大きな悪は滅ぼすことはできたようで、たくさん失ったものも多かった。それに、閻魔組の正体のあと一人が、読者がうまくミスリードするように、意外性のあるどんでん返しが受け止められるように、伏線なんかもしっかりみっしり張ってあるし。この人が犯人であってほしくない、でも、もうほかには考えられないじゃない。。。と、私もさいごのさいごは彼が犯人だと思って読み進めちゃったよ。そこらへんの筋運びも読みごたえあった!
    3作めもたのしみだなあ、お縫と文さんは、ちょっと関係変わるかな。タイトルは「大川契り」というらしいけど。。。
    西條奈加さんいまのとこハズレなし、ほかにもシリーズものもあるみたいだし、しばらく図書館でまっさきに足が向くことになりそうだっ♪

  • 「善人長屋」の続編。
    前回は連作短編でしたが、今回は長編。
    悪党の頭目を惨殺する、“閻魔組”なる集団を廻る展開で、お縫の切ない恋も描かれており、最後まで一気に読ませます。
    個人的に、同心・白坂長門のツンデレ(?)キャラが結構好きでした。

  • お縫ちゃんと文さんの続きがある?

  • 『善人長屋』の続編ということで、「よ、待ってましたっ」と行きたいところなんですが…前作読んでからだいぶん経ってしまったので、長屋の住人とそれぞれの表&裏稼業や夜叉坊主との因縁をほとんど覚えておらず(^^;ちょっとした説明書きがあると良かったのになぁ。
    長門が閻魔組の一員なのかどうかがけっこうぎりぎりまで分からずにどきどきして読めました。そしてよもやの祐史郎…! お縫ちゃんと文さんはこれから発展するのかしら??

  • 善人長屋の連中は裏稼業を持ちながら、普通の町人の生活を営んでいる.江戸の悪人を血祭りに上げる閻魔組がのさばってきてため、儀右衛門を中心に対向する活動が始まる.娘のお縫、半造・おかる夫妻、菊松・お竹夫妻、唐吉・文吉兄弟など多彩なメンバーが閻魔組の構成員を探る.目明しの白坂長門が重要なキャストとなる.多くの人物が登場するがそれぞれキャラクターが読んでいて楽しい.裏社会の絆が随所に登場する読み応えのある好著だ.

  • 長屋の住人が実はみんな悪人…前作のほうが面白く読んだ記憶が。お縫の恋の行方が今回のキモにもなっていたが、ラストは大人になったねえ…続編もあるんですかね。

  • 善人長屋続編。
    悪党を惨殺する閻魔組を名乗る輩が江戸を騒がす。
    加助さんの出番が少ないのがちと残念だが
    お縫のほろ苦い恋模様が清涼な読後感。

    【図書館・初読・4/24読了】

  • 善人長屋続編。キャラクターもしっかり根付いて面白かった。

  • 住人全員が良い人だと評判だが、実は差配も店子も凄腕の裏稼業持ちである「善人長屋」。近頃、天誅を気取った謎の集団「閻魔組」が、裏稼業の頭目たちを次々と襲い話題となっていた。他人ごとではない「善人長屋」の面々も探索に乗り出すが――。
    善人長屋シリーズ第2弾。前作は短編で、「善人」の評判と「悪党」の実態の落差でくすりとさせる、ほのぼの人情ものという印象だった。今作は長編で、全編にわたってシリアスな雰囲気でした。裏の技を駆使した閻魔組との戦いからも、お縫ちゃんの恋の行方からも、目が離せません。
    読み終わって、善と悪との割り切れなさを前作より強く感じました。

  • おもしろかった。
    が、前作の内容を殆どといっていいほど覚えてなかった・・・・。

    お縫の長門(名前あってたっけ)への反応がかわいすぎだった。
    でもラストは切なく。
    いやーでも閻魔の正体が死んだはずの人だったとは・・・・。
    それは思いもよらなかった。
    まあ、長門は犯人を追ってるのか、当人なのか、ぎりっぎりまで
    私も分かんなかったんだが、むしろ、これはもう、当人なのか?
    うう、お縫ちゃんどーしよーっとか思ってたんだが、
    とりあえずそうじゃなくてよかった。

    にしても、人の弱みにつけこんで心を殺すとは、全くもって許せんっ。

  • シリーズ2作目。
    前作とはどこか雰囲気を変えて綴られる長編。
    天誅と称して閻魔組という謎の組織に裏の顔役達が次から次へと惨殺されていく。
    世直し故の行いだとしても、ではその善と悪の境界はどこで引かれるのだろうかということを考えさせられる。
    罪状として裁ける悪とそうではない悪。
    何が悪で何が善か。
    長屋の近辺を騒がせる閻魔組の騒動とお縫の恋心。
    お縫の心の揺れ動く様が良く伝わってきます。
    長門とお縫が最後に交わす言葉が心に残ります。
    夜叉坊主との決着もついた事だし、続編が出るならまたほのぼのしたお話も読みたいです。

  • 善人長屋シリーズ第2弾。
    天誅とばかりに次々と裏街道の頭衆を血祭りに上げる「閻魔組」が登場したと思えば、お縫の淡い恋が描かれたりと、盛り沢山の内容。
    その性か、タイトルの「善人長屋」っぷりが余り描かれておらず残念。文吉とお縫の今後も合わせ、次作はもう少しホッコリした内容だと嬉しい。

  • 続き物の二巻目と知らずに読んでしまった!
    どうりで、登場人物の説明が少ないと思った…。

    しかし、この巻から読んでも十分おもしろかった。
    善は善、悪は悪と割り切れぬ世の中と、若さゆえの潔癖さを持て余す侍の悲壮感、主人公お縫いの純真さ。それが相まって、ピカレスク小説と人情話を江戸時代を舞台にみごとに融合させている。

  • 善人長屋シリーズ第二弾書下ろし長編。天誅を気取り、江戸の裏街道の頭衆を皆殺しにし血祭りに上げる「閻魔組」の正義を騙った殺しの暗躍の魔手が、表は堅気のお人好し、裏は差配も店子も悪党が揃う「善人長屋」にも迫ってきた。長屋を探る同心の目を潜りながら、「閻魔組」の正体は、長屋の仲間の裏稼業の技を尽くした探索で暴けるのか…。西條奈加さんの著書は地元の図書館に、揃わず、この作品は相互貸借となり前巻を読んでからかなり期間が空いてしまったが、読み始めると情景がつかみやすく、一気に読み進められました。続編を待ちます。

  • 「善人長屋」の続編。

    今回は、お縫ちゃんのほろ苦い恋愛も加わり、全体的にしんみりした感じ。面白いけど、前作のような短編集の方が、痛快だったり、愉快だったりで、いろいろ楽しめて良かったかも。でも、安定的な面白さはあるので、またこのシリーズがあれば、是非読みたい。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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