ヒップホップの詩人たち

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (599ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103014324

作品紹介・あらすじ

パイオニア、アンダーグラウンド、気鋭の若手まで-孤高の言葉を刻むラッパー=現代詩人15人の肖像。

感想・レビュー・書評

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  • 本書を読み終えるのに3週間くらいかかってしまった。内容が面白くない、もしくは難解であるからではない。本書に収められた詩を実際の楽曲を聞きながら、ゆっくりと噛み締めていたからである。

    2013年に出版された本書は、15人の日本人ラッパーへのインタビューとその楽曲の詩を収録したものである。15人の顔ぶれは、日本語でのヒップホップの黎明期から活動してきたTwigyやANARCHYなどから、音源を数枚しか出していない若手も含めて非常に幅広い。

    都築響一のパーソナリティ故だと思うが、各人は犯罪歴や複雑な家庭事情なども含めて、自身の半生やヒップホップに対する思いを非常に生々しく聞き出すことに成功している。個人的には、その詩の世界観と、昭和的な世界観を見事に現代に映し出すことに成功しており愛聴している鬼のインタビューなどは読み応えがある。

    本書のラストは、THA BLUE HERBのILL-BOSTINOである。彼の言葉を噛み締めながら久しぶりに名曲「未来は俺等の手の中」を聞いていたら胸が熱くなった。

    https://www.shinchosha.co.jp/hiphop/

  • ヒップホップがファッションでもスタイルでもないコトバの表現行為であることに改めて撃たれました。むかしむかしロックに日本語の歌詞が乗るか?という論争があったそうですがR.U.M.DMCやエミネムの圧倒的な存在があったとしてもこの国のヒップホップは、はじめに日本語ありき、なのだと思いました。ラッパーが言う「リリック」(インタビューでは誰もが絶対「歌詞」とは言わない!当たり前?)とは、まだ言霊が信じられていた万葉の時代の「歌」なのではないでしょうか?いまヒップホップは安定という幻想の底が割れた時代の万葉集!万葉集に東歌というジャンルがあるように地方での仲間、生活を中心にリリックを紡ぐという表現活動はこの国の希望なのかもしれません。

  • 読み終わって日本のHip-Hopへの先入観が少し減った。

  • とても面白く読みました!ヒップホッパーの生い立ちがよくわかり、詩の意味などを深く考えられるようになりました。

  • それぞれの生い立ちを照らし、その人生を鳴らすヒップホップ。楽しいだけが音楽じゃない、しかしどうにも気持ちいい。技巧的に歌うでも話すでもない真っ直ぐに放たれた言葉達は正しく強い。

  • 日本のラッパー15人のストーリー。この手の音楽聞いたことなかったけど、この本に載ってる彼らのリリックはすごく素直に入ってきた。こういうのあるんだと。とても良かった。いろいろ聴いてみようと思う。この本に感謝。http://www.shinchosha.co.jp/hiphop/

  • 詩歌
    ノンフィクション
    音楽

  • 日本語ヒップホップを現代詩と捉え、業界で活躍するラッパー15人を取り上げたインタビュー集。なんと600p近くあり、読了までに時間を要した。
    2012年のものなので少し古いが、読みごたえがあった。

    インタビューで語られることがアルバムや音楽性などではなく、「自身の半生」であることから、掲載されるリリックのリアリティが強く感じられる。黎明期からの話や、この当時の流れが語られるのでヒップホップファンでなくても楽しめる。
    合間に掲載されるリリックをインタビューと併せて読むことで、確かに現代詩という切り取り方をしても差し支えないように思える。歌詞ではなく、リリック。言葉に力がある。

    自分はあまりこの界隈に詳しくはなく、あぁ知ってるという人はほんの数人であったが、大御所から当時デビューしたばかり、それも地方で活動しているラッパーを選出するなど偏りはあまり感じられない。
    インタビューにけっこう人間性が出ていて面白い。

    どうしてもギャングスタラップは日本では嘘っぽいというか、作り物っぽいマッチョな価値観だと思うが、本人たちから語られる内容はそれがリアルな世界もあるのだと一部認識を改めた。どうも自分には合わないが。

    かなり内省的な、文学的なニュアンスの独自世界を持つラッパー(志人などはもはやヒップホップの枠をこえている)のインタビューは特に面白い。言葉選びからそういう人特有の傾向が見られるというか、意外といい家庭で育っているラッパーが多いのだ。ヒップホップにおいても前衛よりだとやはりこうなのか。

    基本的に凡その人に共通するのは、意地を貫こうという意思である。全然現代のロックよりロックなのだ。
    そして文学や詩をリリックの材料として吸収するラッパーが多く、けっこう生みの作業は苦しみを伴うようである。それを語る人が意外と言えば意外であった。

    目まぐるしく変化するシーンであり、この本が出て6年が経ち新世代が登場し自分が知ってる限りでも状況はかなり変わったように思える。
    しかしラッパーのパーソナルな部分を深く掘り下げることに成功している本書は、今でも充分読み応えある普遍性を持った一冊である。

  • この本が置いてある本屋は信用できる。自分にとってはそんな本。

  • 志人のエピソードが印象的。たまに読み返してる。

  • HIPHOPは、内輪での殴り合いが他ジャンルより良くも悪くも表に出やすかったり、後発のジャンルだから叩かれやすかったりする。それゆえに研ぎ澄まされる言葉というのは確かにあるなあと思う。

  • リリックは読み飛ばすが、ドキュメンtリーとしては面白い。路地、団地、薬、女、犯罪、堕落と更生、はぐれものにしかなれない人々の話。
    ラップはファンタジーではないと思える。
    特にNORIKIYOは壮絶。
    志人とかは受け付けない。

    ここで知ったTwigyの夜行列車は最高の曲だった。
    BOSSの路上は確かに一つの叙情詩だ。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784103014324

  • 持たざる者の音楽、ストリートから生まれた言葉をリズムに乗せて刻む。15人の日本語ラッパーの物語。
    紹介順に田我流、NORIKIYO、鬼、ZONE THE DARKNESS、小林勝行、B.I.G. JOE、レイト、チプルソ、ERA、志人、RUMI、ANARCHY、Twigy、TOKONA-X、ILL-BOSSTINO/THA BLUE HERB。全然知りません(笑)

    日本語のラップで言えば知っているのは古くは咲坂と桃内のスネークマンショーの「噂のカム・トゥ・ハワイ」が82年、吉幾三の「おら東京さ行ぐだ」が85年、しかしこれはヒップホップの文化とは違う流れの様だ。ヒップホップの要素の一つブレイクダンスが日本で知られたのが83年の映画「フラッシュダンス」そしてRUN-DMCのWALK THIS WAYがヒットしたのが86年で日本にヒップホップが伝わりだしたのがこのころからのようだ。TwigyやILL-BOSSTINOは1971年生まれでちょうどこのころヒップホップに出会った日本のヒップホップ第一世代だ。90年代のラップブームは94年のEAST END & YURIの「DA.YO.NE.」(ちなみにB面の「素直に」の方が好きだ)やスチャダラパー&小沢健二の「今夜はブギーバック」などコミカルな要素が強い。スネークマンショーも吉幾三もそうか。

    この風潮に対しこの本で度々とりあげられているさんぴんCAMPというイベントが96年日比谷野外音楽堂で行われ伝説のライブとなった。アンダーグラウンドのアーティストが世に出るきっかけになり、この本に出ている1978年以降に生まれた第二世代のアーティストはこのころヒップホップに出会ったものが多い。

    ニューヨークのダウンタウンのストリートで生まれたヒップホップの4大要素はラップ、DJ、ブレイクダンスとグラフィティ(落書きね)でラップは通常メロディを重視せずリリック(歌詞)で韻を踏み(ライム)、フロウという節回しをつけて喋るように歌う。日本語でやるのは本質的に難しいもんが有りそうだが出てくる詩はこの形式は守っている。歌詞を読んでて訴えるものがあるかというと微妙でした。そのまま本当に現代詩としてそうなものもあればベタに日常の出来事を綴ったものもある。やはり読むものではなく聴くものなのだろう。ITUNESで一通りサンプルを聴いたが興味を持ったのは一人二人かな。個人的にラップと言ってもメロディラインがきれいなものが好きで、そもそも英語の場合なんか何言ってるかわからんし。日本語ラップの場合はメロディが単調だとリリックやフロウそのものが好きになれるかどうかなんだろう。それでも「ランドセル俳人の5・7・5」の小林凛君の俳句の方が好きだが。

    それにしても悪い奴が多い。暴走族ていどではなく日本で3例目の決闘罪の適用やカード詐欺、麻薬の密輸や高校時代のオレオレ詐欺などこの辺りは全く共感できない。しかし例えばZONE THE DARKNESSは少年院で考え続けた時の話をこう語る。「少年院に入ってくるやつって、抱えてる問題がみんな一緒で、なんていうんだろうな、結局、辛いこととか現実と向き合えないっていうことがひとつと、あとは見栄っ張りっていうか、自分を強く見せようとするっていうか、そのふたつだけなんですよ。」そして今では「けっきょく、普通に働くのが一番大変だし、普通に暮らすことが一番大変だし、でもそれが一番幸せな気がします。前は、普通のサラリーマンのひととか、だっせーなって思ってたけど、いまはいやいやちがうって。何十年も満員電車で通勤して、マイホーム買えるって、立派ですよね。ストリートよりよっぽどサバイブしてるっていうか(笑)。ー中略ーただ普通なだけじゃそれはそれでつまらないし、悪いことを経験した上でっていうのはもちろんあるんですけど。普通の生活をして、普通の人の目線で、普通の人の気持ちじゃないと、普通の人に届かないって思うんですよね。」・・・普通だ。

    ついでにYOU TUBEでフリースタイルバトルは見てみたがこれはなかなか面白い。基本的には俺のほうが上手い、お前はダサい。だから俺が勝つっていうこともの口喧嘩のようなもんだが、あれを即興でやるのはなかなかすごい。エミネムの8マイルなんか何言ってるかわからないのでこれは日本語の方がいいかな。

  • 本の厚さ同様、内容というか中身の厚さも素晴らしいし、感謝しています。

  • ボス、ビックジョーあたりには哲学を感じた。

  • 地方の美術館 田舎の不良 でんがりゅう田我流 ほんとのワルはけっこう、音楽が好き 石和 甲府 ブロックパーティ なえふきし苗吹市
    コンサバ (思想) : 保守 (Conservative) 、「保守主義」(Conservativism) の略。対義語はドラスティック(革新)。
    ロー‐ファイ【lo-fi】《ハイファイをもじった語。low fidelityの略》録音環境や再生音質が悪いこと。また、意図的に質の悪い音響機器を使ったり、雑音や不明瞭なリズムなどを取り入れたりしたポピュラー音楽。→ハイファイ
    ノリキヨ 相模原市 座間市 米軍基地 団地 墓石屋 茅ヶ崎市 スケボー ひとのアラをつくのがうまい子供
    ルンペン【(ドイツ)Lumpen】《ぼろ切れの意》浮浪者。
    ゲイン【gain】1 利益。収益。利得。「キャピタル―」2 制御系の電圧・電流・電力の入力に対する出力の比。単位はデシベル。3 アメリカンフットボールの攻撃側が距離を獲得すること。
    スペルマ【(ドイツ)Sperma】精液。ザーメン。
    アドレナリン 車椅子 鬼 福島県いわき市小名浜おなはま 本田理沙 いちごがポロリ 4代目のお父さん MSC 妄想族 漢 甲府刑務所 優等生 化粧したアワビ ホスト 会話のキャッチボール フリースタイルの練習 ビバップ セロニアスモンク 村上春樹 複雑なものをシンプルにする チャールズミンガス ZONEザダークネス 新小岩バーミヤン 自殺の名所 ロンリー論理 奮エテ眠レ ふつうのパーティラップとかと桁外れに違ってた 芸術の域に達していた 神秘性 可能性 ひとり覚醒した言葉への意識 言葉を肉体化し、命を持たせること 星新一 ふくせん伏線の張り方 アルティメットMCバトル 朝方 健全に過ごしたい サバイブ 悪いことを経験した上での普通 小林勝行 神戸薔薇尻 伊川谷 パチンコ屋 マークII 吉本 躁鬱病 宗教 ギリギリのライン ゴミ屋 千歳市 自衛隊 ヤクザ 小指 美容師 暴威 看板屋 菊水 北海高校 札幌商業高校 レゲエ ラップの発展の歴史 喋り口調 シャウト バイブス ホッチャレ 体現 大麻 自生 北海道 6kgのヘロイン オーストラリア パスポート 元締め DDD アコースティックギター 電話 ジェイル 遠隔コラボレーション 『イル』「ぶっ飛んだ」「キレている」という意味合いの誉め言葉。
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  • 現代の路上詩人とも呼ぶべきラッパー15人についてまとめたものです。それぞれの「生き様」から放たれる言葉たちは「ストリート」の中から産み落とされたもので、個人的にはその全てには共感できませんでしたが…。

    正直なところを言うと、僕はヒップホップをほとんど聴きません。大学時代にエミネムを少し聴いたことがあるくらいでしょうか?本書は、「現代の路上詩人」とも呼ぶべきラッパー15人のインタビュー記事をまとめたものです。

    なぜこれを僕が手に取ってみようかと思ったのはまったくの「第6感」からだったのですが、特集されているラッパー15人はその殆どが「ワル」と呼ばれる人たちで、「ヤンチャ」して、お決まりの「獄中」体験からリリック(歌詞)を書いてフリースタイルのMCバトルを繰り広げて成り上がっていったというのが大半のストーリーなのですが、中には早稲田大学出身のラッパーなどがいて、本当に驚いてしまいました。

    彼らの書くリリックのうち、「リアル」と彼らが言うものが僕の中ではなんとなくしっくり来なくて、それは、彼らの見ている、もしくは感じている「リアル」と僕が感じているそれがまったく違うからなのでしょう。中には、職を転々としながらステージに立ち続ける女性ラッパーや、地方から自分の生活を基にして発信していく、というラッパーもいて、単に「あぶく銭と暴力と酒と麻薬とオンナ」みたいな単純な割り切りでは到底説明できない「豊かな世界」があるんだな、と読み終えた後にそんな感想を抱いてしまいました。

    以前、クラブカルチャーに詳しい人間と付き合いがあったのですが、ある日、僕が彼と酒を飲んでいるときに
    「『8mile』で出てくるようなフリースタイルのMCバトルって、東京でも見れるの?」
    という僕の問いに
    「あぁ、それはどこでもやってるよ」との答えが返ってきて、
    これを書く前に一度それをナマで見ておくべきだったなあと、若干の後悔をしながらこの文章を書いていることをここで告白いたします。

    でも、それはさておき、生々しいまでの彼らの「息吹」と彼らのつむぎだす「言葉」によって癒されるという少年少女が少なからず存在するという現実を、本書を読むことで知ることができました。

  • 最初の田我流のとこだけ読みたくて立ち読み。
    判型がCDサイズより一回り大きいぐらい、そして分厚いので手が疲れた(笑)。

    インタビューとしてはかなり長い文章なので、
    これが一番面白かった。
    前作は読んでないのだけど、『新潮』でこういう連載をやってくれるのは非常に嬉しい。

    谷川俊太郎の本を読んだ時も思ったけど、
    詩も
    ポピュラーミュージックの歌詞も
    HipHopのリリックも
    メルヘンポエム(笑)も
    全て地続きであって欲しいし、そうあるべきだと思う。

    もし文庫化されたら絶対買いたい。

  • 『新潮』での連載「夜露死苦現代詩2.0」をまとめた、歌詞などの引用もされているインタビュー集。
    HIP HOPでしかありえない「音楽」は地方都市あるいはヤンキー文化が生んだ、という視点で紹介している。

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著者プロフィール

1956年東京生まれ。1976年から1986年まで「POPEYE」「BRUTUS」誌で現代美術・デザイン・都市生活などの記事を担当する。1989年から1992年にかけて、1980年代の世界現代美術の動向を包括的に網羅した全102巻の現代美術全集『アートランダム』を刊行。以来、現代美術・建築・写真・デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集を続けている。
1993年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』を刊行。1997年、『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』で第23回木村伊兵衛写真賞を受賞。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続けている。2012年より有料週刊メールマガジン『ROADSIDERS’weekly』(http://www.roadsiders.com/)を配信中。近著に『捨てられないTシャツ』(筑摩書房、2017年)、『Neverland Diner 二度と行けないあの店で』(ケンエレブックス、2021年)、『IDOL STYLE』(双葉社、2021年)など。

「2022年 『Museum of Mom’s Art』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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