黒い雨

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103026105

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  • 【黒い雨】 井伏鱒二さん

    広島県小畠村の閑間重松は姪の矢須子のことで
    心に負担を感じていた。

    彼が彼女を疎開先として招いた広島で被爆をし、
    そのコトが姪の縁談を困難なモノにしていたからだ。

    矢須子は直接被爆はしていない。
    しかし、黒い雨にも打たれ、重松について爆心地を
    動き回りもしたのだ。

    ある縁談で、仲人は矢須子の原爆落下当時の彼女の
    足取りを知りたいと言った。

    当時、矢須子は日記をつけていたので、それを清書し
    仲人に見せることにし、重松も、自らが小学校の
    図書館へ資料として寄稿する為に書いていた
    「被爆日記」を、その矢須子の日記へ添付するコトに
    決めた。

    重松は急いで「被爆日記」の清書に取り掛かった。

    しかし、清書の途中で、矢須子は原爆症を発症し
    入院してしまった。

    重松は矢須子の全快を願いつつ、「被爆日記」の
    清書を完成させる。



    8月6日、原爆が落とされた時点から終戦に到るまでの
    広島市民の辛苦の9日間が重松の日記として書かれています。

    「はだしのゲン」など、子どもの頃に読みましたが
    当時の広島の現状が想像できない。

    写真で知るコトは出来ても、臭いまでは分からない。
    死臭の臭い、人を焼く臭い・・

    生きている人間に蛆がわくというのも想像できないし
    川原で次々に人を焼いているのも想像できない。

    原爆は高温の射熱で一瞬にして体の中まで焼いてしまう。
    内臓の粘膜が焼かれ、下血や便秘、吐血などで苦しみながら
    死んでしまう。

    以前の職場に広島で原爆に遭った人がいました。
    首筋から腕に引きつりのような火傷の跡があったことを
    覚えています。

    非戦闘員が被害を受ける。。

    ひどい話です。

     

著者プロフィール

井伏鱒二 (1898‐1993)
広島県深安郡加茂村(現、福山市加茂町)出身。小説家。本名は井伏満寿二(いぶしますじ)。中学時代より画家を志すが、大学入学時より文学に転向する。『山椒魚』『ジョン万次郎漂流記』(直木賞受賞)『本日休診』『黒い雨』(野間文芸賞)『荻窪風土記』などの小説・随筆で有名。

「2023年 『対訳 厄除け詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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