- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103043515
作品紹介・あらすじ
漱石、子規、鴎外、ポー、ドイル、ハメットなど多くの名作の中にひっそりと生れ、作者と読者を静かに誘い、やがて炎の如く世界を染め上げる色=「赤」。この魔性の色と「フィクション」との、驚きに満ちた関係性が徹底的に考察され、ギリシャ的な図式や多くの理論家の呪縛から読者を解放する。フィクション論の決定版。
感想・レビュー・書評
-
ふむ
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「『ボヴァリー夫人』論」を読んだ勢いで、その「序説」みたいな位置にあるらしい「『赤』の誘惑」を読んでみる。
なるほど、「『ボヴァリー夫人』論」で実践されているのは、まさにここで提示されている「フィクション論」なんだな〜、と納得。
いくつかの議論は、「『ボヴァリー夫人』論」でもでてくるので、なるほど、原点はここにあるのだな、と理解が深まった。
フィクション論を論じようとするとなぜかでてくる「赤」という言葉に注目しつつ、そこから論をすすめていくアクロバティクな議論はやはり刺激的だな〜。
とは言っても、議論の対象になっている本はほとんど読んでないので、「そ〜くるか」の驚きはそこまではない。森鴎外の「かのように」とか、夏目漱石の「それから」が面白かったかな?
著者が一貫して批判しているのが、「フィクションのテキストをしっかり読まずに一般論とか、自分の理論につごうのいいように解釈するな」みたいなことだとすると、ここで取り上げられている本をあまり読んでないので、なにかここで感想を書くことは難しい。
とはいえ、「テキスト的な現実」をしっかりみよう、という主張は、ある意味、著者がずっと言ってきて、かつ実践してきたことで、その「理論」が、ついに「体系」だてられたな、という印象かな? -
大学図書館二階