昭和の爆笑王三遊亭歌笑

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103245315

作品紹介・あらすじ

「珍顔」で戦中〜戦後の落語界を席巻。33歳で進駐軍の車に轢かれて即死。初めて描かれるその全生涯。

感想・レビュー・書評

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  • 歌笑について書かれたものが少ないので、これは貴重なもの。

    音源残って無いようなので、とても残念。

    渥美清さんが、歌笑を演じて居る映画も、一度観たきり。

    小説調で、読みやすい。

  • 三代目三遊亭歌笑(1917年9月22日~1950年5月30日)なんて、まったく未知の人で聞いたこともない落語家です。

    今回、この本を読むにあたって、まったく知らないのでは話にならないと思い、あらかじめCD『昭和戦前面白落語全集』を見つけて、三遊亭歌笑の「我が生い立ちの記」「音楽花電車」「妻を語る」「音楽風呂」「スポーツショウの巻」の5話を聞いて備えました。

    いわゆる新作落語の噺家で、私たちが知っていて耳慣れている現代の落語家としては1993年に72歳で亡くなった『痴楽綴方狂室』の柳亭痴楽のように歌うように演じる人で、なんだ真似かと思ったら、逆でした。

    敗戦後、後の人間国宝になった5代目柳家小さんと、この痴楽と、そして本書の歌笑の3人は若手三羽烏として売り出され、特に痴楽と歌笑は親友でライバルだった。
    1950年に、歌笑が進駐軍のジープに轢かれて不慮の事故死を遂げたあとのスケジュールをこなす後任の演者として、そっくりの物真似をしたのが痴楽で、歌笑の十八番と人気をそのまま引き継いだということを今回はじめて知りました。

    確かに、ほとんどよく似ていますが、痴楽の方は節をつけてネットリした言い方なのに比べて、本家本元の歌笑の方は、まさに歌っているようなスイスイ流れるような気持ちのいい話し方です。

    実は、白状しますが、痴楽を意識する前にCDを聞いたときには、何これ? 古くさい・ダサイ・きもい・イケテナイ・面白くもなんともない、というのが第一印象でした。

    とても、話に聞くような三平が憧れて談志がその死に涙したということが信じられない気がしました。

    彼のその演じ方が、他の誰も演じたことのない、まったく新しいユニークなものだったことの理解が足らなかったのだと思います。生まれて初めて見て聞いた人たちは、びっくり仰天して、そして大爆笑したのに違いありません。

    たとえ「爆笑王」とか「笑いの水爆」と大絶賛されたきっかけが、時代の寵児・羅針盤だった坂口安吾によって雑誌「中央公論」で<歌笑文化>の称号を与えられたことにあったとしても、その栄誉はけっして過小評価されるものではないと思います。

    エラの張った顔や奇声、できれば映像が残っていないものか、なんとか探して見てみたいものだと思います。

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著者プロフィール

1953年、東京都生まれ。演芸研究家。趣味が嵩じて落語、江戸小咄等に関わるようになる。父は超常現象研究家中岡俊哉。曾祖父は明治期の大浪曲師 桃中軒雲右衛門。主な著書に、『昭和の爆笑王 三遊亭歌笑』、『俺の喉は一声千両 天才浪曲師・桃中軒雲右衛門』などがある。

「2016年 『小せんとおとき 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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