ゴーグル男の怪

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 257
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103252337

作品紹介・あらすじ

「そいつ、両目の皮膚が溶けたように真っ赤なんですよ…」煙草屋の老婆が殺された濃霧の夜、ゴーグルで顔を隠した男が、闇に消えた…。死体の下から見つかった黄色く塗られたピン札、現場に散乱する真新しい五十本の煙草。曖昧な目撃情報、続出する怪しい容疑者、奇怪な噂が絶えない核燃料製造会社…。そしてついに白昼堂々、"ゴーグル男"が出現した。

感想・レビュー・書評

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  • NHKの探偵Xからの挑戦状の原作を長編化した作品。
    老婆が殺害され、ゴーグルの内側の皮膚が赤くただれた男が街中をさまようといった内容。
    先に映像をみているため、トリックや話の流れをわかった上で読んでいたはずが、
    突然始まる、ある少年「ぼく」の章でふっとんだ。
    性暴行の具体的な描写はきつい。読むのがつらい。
    そして大人になった「ぼく」と臨界事故、放射能被曝の恐怖。
    この「ぼく」は2011年発刊だからより意味があり考えさせられる部分で、謎解きにはほとんど関係がない。
    (ドラマでは臨界事故の噂がでてきただけ)

    もちろん謎解きには集中できません。

  • 高速増殖炉の燃料を作る会社で臨界事故が起き、下請けの作業員2名は急性放射線症状で死亡するが、防護服を着ていた新入社員1名は生き残る。少年時代に性的虐待を受けた主人公とこの臨界事故、そして煙草屋で起きた強盗殺人の三つが絡みながら物語が進むが、焦点を臨界事故に絞った構成にした方が良かったのではという感想をもった。

  • タバコ屋の老婆が殺された現場で目撃されたゴーグル男。そのゴーグルの中の皮膚は溶けたように真っ赤だったという。警察は目撃情報を募るが、怪しいゴーグル男はその後も都市伝説のようにいたるところで目撃され…
    タイトルと表紙から怪人二十面相のようなノリの話だと思ってはいけない。
    警察の捜査と交互に描かれている不幸なトラウマを背負った青年の幻想的な一人称パートは、限りなく重く心にのしかかる。
    後半は意外な方向に事件が展開してゆき、ゴーグル男という奇想の解答にはなるほどと思った。
    一つの作品としては前半と後半が分離しているような気もするのだが、東海村をモデルにしたと思われるずさんな管理による臨界事故と、その作業員たちの目を背けたくなる悲惨な症状こそ、作者の描きたかったことかもしれない。
    ラストで、彼は救われたのだろうか。

  • タバコ屋の老婆殺人事件を発端とした謎解きミステリー。

    捜査部分とモノローグ部分の温度差があると思ったら、捜査部分はTV番組の焼き直しで、モノローグ部分は加筆だそうです。
    加筆することにより、読者をミスリードさせたり、物語に社会的な深さや重さをつけようと思われたのでしょうか、成功しているとは思いませんでした。
    確かに、モノローグからミステリーというよりクライム小説かと思わないでもなかったですが、先の温度差でモノローグは重視しませんでした。
    ただし、ミステリー部分は謎解きが面白いので、そちらを中心に見たほうがよいでしょう。

  • ほんとに久しぶりに島田荘司の本を読みました。2年ぶりくらいかな。

    『ゴグル男の怪』って、なんだか貧相な題名だわイ、くらいには思ったですけど、まあ島田荘司の最新作品みたいだから読んでみよ、って感じです。

    作風というか、文体は昔のといっしょですね。そりゃおなじ作者なんだからあたりまえか。

    で、内容は、題名からわ全く想像のつかない放射能の怖いお話でした。でも、おいおいそうくるか、これだとあの頃の作品とほとんど同じ流れぢゃないかい!とあらためて思いました。飛んでます。ホントに飛んでます。

    そして、読み終えてから表紙カバーの絵をぢっくり見ると笑えてきます。お話の中身に登場する人や物や主だった景色をおもいきり暗いタッチで、只描いているだけ。これだとこの本読んだ人なら誰でも描けそうなきがした。

    いや、すまんこってす。すごすご。

    • jyunko6822さん
      読みたいな、どうしようかな、他にも積読あるし・・・で悩んでます。
      読みたいな、どうしようかな、他にも積読あるし・・・で悩んでます。
      2012/07/23
    • ryoukentさん
      jyunnko6822さま
      コメントどうもありがとうございます。
      はいはい、積読ごと全部いっぺんに読みましょう♪
      jyunnko6822さま
      コメントどうもありがとうございます。
      はいはい、積読ごと全部いっぺんに読みましょう♪
      2012/07/23
  • 煙草屋の老婆を殺した犯人は、血にまみれたような真っ赤なゴーグルをした男?残されたのは黄色の線が入った五千円札で・・・。
    原子力研究所の臨界事件と、ある男の回顧録も合わさって、謎が謎を呼ぶ島田ミステリの最新作です。
    昭和の香りたっぷりなこの表紙、いいですねぇ。
    小学生時代、おどろおどろしい表紙の江戸川乱歩シリーズを読みふけっていた人にはたまらないんじゃないでしょうか。
    しかし犯人がちょっと意外な人物だったのはいいんですが、逆にあの人が綺麗に自分の中の葛藤に終止符を打ってしまうのがあっけなさすぎたかなぁ(ネタバレになるから詳しく書けないっ)。
    原子力の火=神の火ってのも高村薫さんを思い起こさせるし、この辺いらんかったと思う。
    話の持ってき方は、島田さんらしくて面白かったけどね。

  • 文中、被曝の恐ろしさの詳細は、NHK「東海村臨界事故」取材班「朽ちていった命―被曝治療83日間の記録」からと思われるが、それとストーリーとの関連が少々弱い気がした。

  • 島田荘司さんの近著『ゴーグル男の怪』読了です。

    う~ん… 竜頭蛇尾というかなんというか、おバカミステリー、いわゆるバカミス一歩手前という感じ。
    というか、このさすがの私も気恥ずかしくなる表紙と題名から来る期待通りのオカルト趣味も入った奇想あふれる展開と結末の落差が大きい。
    ここまで怪力でねじふせて落とすのであれば、むしろ御手洗(あ、作者の作品に登場するいわゆる名探偵です)でも登場させて謎解きを語らせた方が許せるのに…と思うが、これはもともとテレビ用に書き下ろされたものに加筆した作品だそうだからやむを得ないか。
    (※私は見ていませんが、今年の8月5日にNHKで放映されたそう)

    冒頭の煙草屋の老婆が殺害されるというのは、ミステリーを多少なりともかじっている者にはすぐにクリスティの『ABC殺人事件』を思い出させますね。実際その辺りは島田荘司さんの確信犯なのだろうな… だって今どき煙草屋なんて…(^^;; (あ、作者自身そう書いていますが)

    ともあれ、
    一般的には全く勧めませんが、
    マニアックな方はそれなりに楽しめるでしょう。かなり典型的な島田荘司ワールドではあります。

  • 臨界事故のあった街で起こった「ゴーグルをしたもの」による殺人事件。多くの目撃情報が寄せられるが、どうもふに落ちない点が多い。最後は意外?な展開で終わりを迎えるが、若干消化不良気味だった。けど臨界事故の箇所はとても考えさせられる内容だった。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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