盲目的な恋と友情

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103283225

感想・レビュー・書評

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  • 華やかな結婚式。その場にいる誰もが、新郎が“あの男”ではないことを祝福していた。

    前半は、美しい新婦・蘭花の『恋』のパート。
    蘭花は、学生時代、所属していたオケの指導に来た新進指揮者の茂実と恋に落ちた。しかし彼は、師事する指揮者の妻と不倫関係を持ち、そのことを隠そうともしない。やがてそのスキャンダルが明るみに出たことで、二人の関係はさらに歪んでゆく。

    後半は、新婦の親友・留利絵の『友情』のパート。
    外見に強いコンプレックスを持つために、女性としての華やかさを誇る周囲の学生たちに嫌悪感を持つ一方で、蘭花と教養やオケでの演奏技術の高さで釣り合うのは自分だけと自負し、「蘭花の一番の親友」であることに執着するようになった留利絵。蘭花のためにならない茂実を排除しようとするが…


    「かがみの孤城」や「ぼくのメジャースプーン」といった作品群とは全く違う系統というか…

    女の美醜・恋愛カーストの上位者とそうでないものとの歪みまくりの関係について、ねっとりドロドロとまとわりついてくるような、救いのない物語。
    けれど、盲目的な二人の女たちの心理は、ものすごく容赦なく残酷さもあって気色悪いんだけれど、こういう心の動きもあるのかな…と思わせる迫力。
    面白くなかったとはいえない。途中でやめられない力があるのは間違いない。
    けれど、人におすすめはできない。読み返したくない。女は怖い。

    まだまだ未読の多い辻村深月さんの作品群。
    ちょっと用心しながら開拓していこう…

  • 2014.06.26読了。辻村深月最新作。最近の私的辻村深月ラッシュで多分アンソロジーとホラー覗いて全部読んだと思うけど、最近初期の作品ばかり読んでいたせいか、久し振りに合わない作品。期待していた白辻村さんじゃなく、黒辻村さん。ハッピーエンド好きとしては、残念。
    まさにタイトル通り、恋に、友情に、盲目的になる2人の女性。恋に執着する美女の蘭子と、その蘭子に絶対な友情を求め、恋を否定する留利絵。それぞれの目線から描いた、『恋』章と、『友情』章。2人とも、恋人を、友人を、追い求めているように見えて実際は、そんな特別な自分、も、好きなのでしょう。酔い痴れてる?女って時として、優しい顔して、とても残酷だ。
    装丁が、すごく素敵。

  • 蘭花と留利絵、2人の目線からのお話し

  • 星近との恋に夢中になる蘭花と、蘭花というはじめて出来た親友に狂う留利絵の2つの視点から描かれる話。
    『恋』編で蘭花、『友情』編で留利絵の視点から、同じ話が描かれる。
    意図せずこの本を選んだけど、こういう群像劇的な小説は好きなので当たりだった。
    ヒグチユウコさんの装丁も綺麗。

  • 美人と不美人。
    美人がダメ男にはまって、結局殺人。
    それを見ていた不美人がアリバイ捏造。
    新たな男との結婚式で警察乱入。
    救われない話。

  • 【ネタバレあり】

  • 怖い話だった。
    面白いけど怖かった。

  • 蘭花も瑠璃絵にも共感できず。
    女の嫌なところを突きつけられる。
    その辺りを面倒だ、気持ち悪いと思ってしまうところが
    私に友人が少ない理由か。

  • 蘭花、留利絵、茂実

  • 人間のドロッとした汚い部分が上手く書かれてるなあって感じがしました。
    他人に執着し、依存し、自分を満たそうとする弱さも。

    ただ、私は「恋」も「友情」も読んでて不愉快でした。

    特に留利絵は不快。
    親に愛されなかった事によって、何を差し置いてもどんな犠牲を出しても「自分を愛して欲しい」という
    歪んだ自尊心が生まれてしまい、他者を見下し、自分を卑下するようでいて常に自分が
    主役になろうとする。常に優先すべきは「自分が選ばれる事」。

    否定出来ない人間像であり、同じような感情を持ってないとは言えないけれど、
    身近には居てほしくないタイプの人間です。

著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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