- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103300724
感想・レビュー・書評
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プロレスおたくだった私からすると、
伝説の試合ですね。中井とゴルドーの試合。
価値観をひっくり返されたような試合。
「タイトルと内容が一致しないなぁ」
と思って読んでいたら、
読み進んでいくうちに、
本全体を通して、
このタイトルが迫ってくるものがありました。
増田さんはタイトルをつけるのが上手いですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
<感想>
現代格闘技界のレジェンド中井祐樹へのインタビュー。著者との対談形式である。
特に格闘技に関心は無く、たまたまwebで見かけたレビューに興味をそそられて読んでみた。読む前は、超人的な格闘家の人生を語った内容だと思っていたが、以外にも人材育成や哲学的な観点で格闘技を語っており、学び多き一冊だった。
<アンダーライン>
・(右眼を失明してブラジリアン柔術家になったとき)「これは神様からプレゼントされたんだ」と。ブラジリアン柔術をやる機会をね。
・僕がやっていた頃の昔の日本の野球や柔道は、ステップアップ式にやれば強くなれたかもしれない人たちをふるい落としちゃってた。
★★★木村先生のお弟子さんに聞くと「試合の前はすべて準備されている状態。もう終わっている状態。練習がすべてで、試合本番はその結果が出るだけだという考え方でした」
・ああいった方々は己の完成だけが目標だったわけで、そういうのも称賛しなきゃいけないですよね。五輪に行けなかったことで敗者になっちゃうわけですけど称賛しなきゃいけない。
★★技は力のうちにあり
・勝ち負けなんてどうでのよくなってる。正しいか間違っているか、それさえどうでもいい。
・パーフェクトゲームで人生を終えられる人なんて1人もいない。
・(小説を書くことについて)いかに人を苦しみから救えるか。
★無益な勝ち負けのなかで時間を費やすには人生は短すぎるから。
・(グレイシー)生き残る、負けなければいい
・健康ほど大切なものはない
・作家だからね。なんかおかしなことに巻き込まれても観察者の眼も持っているから相手を観察してると面白いし、小説のモチーフにしたらこの人面白いなと思ってみてる。
・若いときは体も心も強くて堅くてパワフルだった。でも強すぎて脆かったんじゃないかな。
★動物学の視点から言うと、ある動物種が絶命するときって「まだ大丈夫」と思ってたら、ある日突然スパッといなくなっちゃうんだ。
・スポーツの試合が人生のシミュレートになる
★自分の人生は1回しかなくて、前へ一方向へ進むだけの一本道だから他が見えないし、一度過ぎ去った時間をやり直すこともできない。だからこそ小説や映画で他の人の人生をある程度シミュレートするもの必要なんじゃないかな。
・スポーツは疑似戦争、イデオロギー同士がぶるかる舞台ですよ。その日は一喜一憂するけど、それが勝利でないことも絶対的な負けでないことも知っている -
2021/1/27購入
2021/1/31読了 -
体育会系への憧れが止まらない。
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「シャトゥ―ン ヒグマの森」「木村正彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」「七帝柔道記」の増田俊成氏と元総合格闘家、ブラジリアン柔術家、中井祐樹氏(日本よりもむしろ海外の方がネームバリューがあるそう)との対談形式で構成されています。「本当の強さとは何か」、2016.7発行、武道、格闘に関するどちらかというと地味な対談ですが、それだけに味わい深いものがあります。護身術の話は興味深かったです。空手でも柔道でも3~4年やれば、筋肉量、パワーもついて役立つかもと。体重差、サイズに関する備えはとても重要と。
最近の「キレル」状態は、心の弱さの裏返し。自分に自信がないからイライラしてしまう。武道は、鞘を抜かないために刀を磨いている。合気道の「戦わない」という思想もすごい。 -
ビジネス書・啓発・啓蒙書へと進路を切っていますね。「希望の格闘技」読み終えた後、五輪書中井祐樹版がいずれ出るでしょう、と感じましたが。着々と近づいていると思います。
共感はしても傾倒しないことが、啓発・啓蒙書で気を付けていること。
守破離をしてこそですから。守だけで終わらないようにしたいです。 -
本書でも語られる今日の柔道ルールは、オリンピックに偏っている。柔道はほとんど伝える者がいなくなりつつある古流柔術に対して責任を負っていると思う。オリンピック柔道をやる一方、古流の技術や精神を伝えてゆくルールで、せめて二年に一回ずつくらいは試合を開催してくれないものか。試合がないと技術は忘れられてしまう。
ある格闘家が言った言葉。
「試合前の稽古って辛いんですよ。でもすごく充実してるんです。この頃は漸く試合のために稽古をするんじゃなくて、この充実した時間のために試合があるんだって思えるようになりました。」
本書は、人の生き方、志の本であった、というのが読んだ実感である。