聖灰の暗号 上

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103314141

感想・レビュー・書評

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  • ローマ教会から異端として弾圧をうけたカタリ派を研究する学者が主人公のミステリー。カタリ派弾圧の史実をベースに、長い間ひそかに受け継がれ隠されてきた資料に記された暗号の謎を解いてゆくフィクション部分は、物語の進行上それほどびっくりするような展開はなくミステリーといえるか微妙なライン。ただ、カタリ派信徒たちの信仰生活と悲惨な弾圧のようすが情緒的で美しく、涙を誘う。
    島原の隠れキリシタンの話なども出てきて、カタリ派についてとてもわかりやすく読める内容になっているのであっという間に読了。人間にとって信仰とは。深く考えさせられます。

  • カトリック教会に絶滅せられたカタリ派の秘められた謎に迫る。11.1.5

  • 話の展開が判りやすく、またキリスト教についての薀蓄も多々盛り込まれ非常に読んでいて話の展開が気になる小説であった。
    しかし、何ヶ所か話の切り替え部が不明瞭で、理解するのに時間を要した部分があり、気になった。

  • カタリ派研究の歴史学者である須貝彰は、フランスの図書館でカタリ派弾圧に関する14世紀の手稿を発見する。そこから分かるカタリ派虐殺を研究会で発表したことから、彼の周りで事件が起こる。
     須貝は残りの手稿を求めて、手稿に書かれていた印を頼りに南フランスへ旅に出る。
     一人、二人と殺されていく中、700年前の手稿の行方を探します。宗教の話が多いので難しいけれど、手稿を探す旅は自分も共に旅をしているようにドキドキします。

  • 700年前にキリスト教の異端として弾圧を受けたカタリ派について、新たな歴史的史料を日本人の学者が発見し、物語が始まってゆく。
    フィクションとはいえ、様々な史実を参考に書かれていると思われ、非常にリアルで、ぐいぐいと読み進めさせれれた。
    昔の異端審問について書かれているため、拷問のシーンや道具、そして火あぶりの様子についてく書かれているあたりは、非常につらかった。。

    700年の時間と、宗教と、いろいろな人の成長とが上手く織り交ぜて書かれている非常に読み応えのある小説だと思う。

    ただ、ふだんミステリーはあまり読まないので、ミステリー小説としての“謎解き”の出来栄えは、客観的にはどうなのかな?と思わないではない。
    それと、帚木さんの小説はいつもラブシーンがパッとしないので、その2点を減点して、☆4つ。

著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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