- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103326427
感想・レビュー・書評
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凄い本ですね、奥様(河野裕子さん)の遺品整理過程で見つかった、奥様の青春時代の日記(そして自分の日記)、そして手紙の数々(奥様の、そして、自分の)。奥様の没後10年を経て、ようやく遺品の数々を読み始め、思わぬ形で悩める(奥さんも、そして永田さんも)青春の日々が蘇る、という展開。そして折々に詠まれた、お二人の短歌(詠唱というのでしょうか)の数々。半世紀ほど前の昭和の時代の青春の物語、として読み進めてますが、なんとも凄い本です。★四つです。
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文学者の家族と言うのは大変だなと思った。
時代的にもなかなか興味深い学生生活の記録 -
最近いわゆるエッセイ?的なものを読んでないなぁと思い、以前NHKで見た永田さんドキュメンタリーをきっかけに積読してた本作をやっと読了。
一瞬を言葉で切り取る短歌の魅力に触れつつも、永田さんがこの文筆のプロセスで振り返り再度なぞり直した河野さんとの日々。
河野さんの「女は生と死を孕む」に落涙。
誰かと出会って好きになる。
誰かや何かの比較なんて何の意味もないと思えるくらい、自分の中から湧き出す衝動と感情。
その快楽と悦楽と幸福感と同じくらい、だからこそ自分でよかったのか、と惑う苦悩。
苦しい、でも幸せ。
幸せ、でも苦しい。
それを注げる対象のいる奇跡。
ああ、ほんと、生きるってコレだと思う。
昨日も今日も明日も、これからも彼を愛して共に歩んでいけることに感謝。 -
何がきっかけだったか、、同じ作者の「歌に私は泣くだらう」を何年か前に手にとった。筆者と妻、河野裕子との日々を綴ったものだった。歌人の夫婦、歌人というのは、こんなにも率直に歌を詠むのか。歌に全てさらけ出せるのか。と驚いて、感銘を受けた。その記憶があったので、この本の内容にも、興味を惹かれ、読ませていただきました。ご本人の生い立ちに始まり、お二人の馴れ初めから、結婚に至るまでを、やはり、極めて個人的なことも隠さず綴られてます。そして、至る所に散りばめられた、短歌が、心を打ちます。書かずにはいられない、詠わずにはいられない、内なる情熱にも、感銘せずにはいられなかった本でした。
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読了 20220914
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河野裕子の情熱的で一途な熱い生き方に感動する。
そしてひいては二人の恋愛を通じて人間の愛の深さに心が震えた。 -
強烈な印象を残す本。
男女二人の出会いの過程が
それぞれの目線で、
繊細な織物のように鮮やかな
「ことば」で紡がれていく
モヤモヤした想いも、
燃え上がる想いもそれ自体は
多くの人が経験するが
共有されることは稀。
妻を亡くして、一人この本をまとめた
著者の心情にもドラマを感じた。 -
このようにしか私たちには生きられなかった・・
大学時代の出会いから結婚までの5年間を、赤裸々に綴った青春の記。二人が詠んだ短歌に秘められた衝撃の事実が明かされていく。
ドラマよりも小説よりもこの一冊に心が揺さぶられた。
手をのべてあなたとあなたに触れたきに
息が足りないこの世の息が (絶筆)
歌人の河野裕子は2010年、乳がんのため64歳で亡くなった。
妻が遺した日記と300通を超える往復書簡。
著者の永田和宏はこれを開くべきかどうか、長い間迷い続けたと言う。
愛の記憶を手繰り寄せながら「自分は河野にふさわしかったのか、ほんとうに俺でよかったのか?」と、答えを探す男の姿が見えてくる。
陽にすかし葉脈くらきをみつめをり
二人のひとを愛してしまへり
たとへば君ガサッと落葉すくふやうに
私をさらつて行つてはくれぬか
詠まれた日の日記には、「永田さん、あなたもNさんも 同じ位同じだけ好きな 阿呆な私を、どうぞ つき放さないでおいて。」と書かれていた。
河野裕子が、"たとへば君"と呼びかけた相手はどちらだったのか?
(どうにもならないこの気持ちごと
どこか遠くへさらって行ってほしい)
二人の間で揺れる思いが悲痛な叫びとなってうたを詠ませたのだろうと思う。
母を知らぬわれに母無き五十年
湖(うみ)に降る雪ふりながら消ゆ
継母との確執、大学院の入学試験に失敗し初めての挫折を味わう永田和宏。
河野との婚約、結婚の約束が重くのしかかり、ついには・・
著者が歌人という表現者でなければ、この本はたぶん書かれていなかっただろう。 読み終えて数日経つが、気持ちの揺らぎはおさまりそうにない。
大切に置いておきたい本との出会いに感謝したい。
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2022.03.26 朝活読書サロンで紹介を受ける。
NHK BSドキュメンタリー「本当に俺でよかったのか」
奥さんが亡くなり、奥さんの日記を見つける。本人も奥さんも詩人。