ハンサラン 愛する人びと

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103335412

感想・レビュー・書評

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  • 若い頃、沖縄から大阪に出て少し暮らした時、初めて在日という言葉とそれに対しての幾つかの差別用語を知った。石を投げられたりするから、という理由で二重になったベランダがあるアパートとか、衝撃だった。
    沖縄にはいなかったのかな。ちょっと前までは沖縄も被差別だったみたいだからかな。

  • 最近韓流ドラマにハマったので
    興味深く読んだ。。
    なんというか、色々考えさせられる作品。。
    翔太くんには幸せが多くあってほしいな。

  • けっこう興味深かった。

  • 馴染みのない、在日コミュニティーの結婚やその家族の話で読むのに時間がかかった気がする
    ふと思ったのは、例えば、在米や在豪だとしても、同胞同士でって考え方なのかな。日本だからなのかな

  • この本のことを知ったのは「のりこえねっと」のサイトだったと思う(著者の深沢潮さんが4月にのりこえねっとTVに出演していた)。

    巻頭の「金江(かなえ)のおばさん」は女による女のためのR-18文学賞で、第11回大賞をとった。R-18文学賞の受賞作はこれまでもちょこちょこと読んできて、その賞タイトルや過去の受賞作の内容からエロ方面だと思っていたが、11回からやや方向転換したそうだ。

    6つの収録作はどれも「在日社会」をめぐるこもごもの話で、連作になっている。在日どうしのお見合いをあっせんし、その謝礼や成功報酬、結婚式まわりの業者からのバックマージンで暮らしをたて、そして北へ渡り消息不明の長男への仕送りも続けている「金江のおばさん」の姿がどの作にも見え隠れする。

    まず条件から入るという「お見合い」の場面をつうじて、ご縁があればと願う本人あるいは家族の希望や思惑がみえる。「気になる」ところは、人それぞれで、顔や見た目という人もあれば、職業や学歴が釣り合うとか合わないという人もあり、家族構成や長男か次男かが重要な人もいれば、東京に住む人でないといやだという娘もいるし、朝鮮のどこ出身かということをまず訊く親もいる。

    占いの結果が悪かったから断ってくるのは方便なのかもしれないが、そういう断りの電話に、金江のおばさんはときに説得して、つぎつぎと見合いをセッティングし、相談に応じていく。「縁を繋ぐのは、タイミングとスピードが勝負だ」(p.15)と、おばさんは考えている。

    おばさんの夫・鉄男は、なぜ私だけまわりの友達と違うんだろうと思ってしまうという在日の娘に、「在日の人間はみんな多かれ少なかれ、理不尽な思いといつも向き合って生きているんだよ。自分の生まれ落ちた環境と折り合いをつけて、うまく付き合っていくしかないんだよ」(p.30)と諭す。

    『本格小説』の東太郎のモデルとなった大根田勝美さんの著書に寄せて、水村美苗が、「神は細部に宿る」は小説にもあてはまり、具体的な「細部」があればこそ、どこにでもありうるような話になるのだと書いている。そうした具体的な「細部」が、この『ハンサラン 愛する人びと』でも積み重ねられていると思った。

    「在日」というくくりに入る家族にも、あたりまえだが、いろんな家がある。それは「日本人」というくくりで何でも説明できるわけではないのと同じだ。

    友達や親戚のところの親と比べて(どうしてウチの親はこんなんなのか…)と悩んだり、きょうだいの上か下かで親の態度が違って腹が立ったり、言えないあれこれを抱えて友達と行き違ったり、どうせ分からないと思ってしまったり、合わない人の感覚のギャップについていけないと思ったり… そういうのは、在日でも日本人でもたぶんあるだろう(私にはある)。 

    もちろん、日本の社会のなかで「在日」として暮らす苦労や葛藤はそれとしてある。それでも、みんな各々「自分の生まれ落ちた環境と折り合いをつけていく」のだと思ったし、だからこそ、この連作小説は時に身につまされ、登場人物の誰かれに共感できるところもずいぶんあって、おもしろいなーと思った。

    (5/31了)

  • 連作短編6編
    在日韓国人のネットワークの中でお見合いおばさんとして知られる金さんを軸に、いろいろな家族の形、日本社会への係わりかたがあって考えさせられた。日本で生まれても日本国籍が取れないのは辛いだろうと思った。

  • んー、、R18文学賞、審査員変わったんでしたね。賞の中身も。
    わたしはこれあまり好きじゃなかったです。残念ながら面白いと思えませんでした。巧みではあったけれど

  • 在日コリアンたち
    お見合いおばさんの福、在日家に嫁いだ帰国子女の日本人妻、トルチャンチのお祝いを競う在日家族、友達に在日だと言えない学生…

  • 在日のお見合いおばさんに絡む人達の人生模様を描いた6つの連作短編。R-18文学賞大賞作。在日のいろんな人達の切ない思いが伝わるし、物語としても興味深く面白かった。日常の生活の中で自然に描かれているのが良かった。国籍とか考えさせられた。

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著者プロフィール

東京都生まれ。2012年「金江のおばさん」で第十一回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。著書に受賞作を含む『ハンサラン 愛する人びと』(文庫版『縁を結うひと』)『ひとかどの父へ』『緑と赤』『伴侶の偏差値』『ランチに行きましょう』『あいまい生活』『海を抱いて月に眠る』などがある。

「2022年 『わたしのアグアをさがして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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