談春 古往今来

著者 : 立川談春

• 新潮社 (2014年9月30日発売)

作品紹介・あらすじ

入門から三十年、談春（オレ）は談志（イエモト）と同い年になった。談志になりたいと憧れた少年は、いまや「最もチケットが取れない落語家」になった。だが、それは談春の一面にすぎない。強気と繊細。熱情と冷静。自分の正味を容易にはつかませない「揺らぐ人」が、十年間の折々に、羽織を脱いで語った落語と人生の流儀。一千席をゆうに超える「単独公演全演目」も網羅した永久保存版。

感想・レビュー・書評

[sagami246さんの感想 · 2021年2月2日]

この本には3種類の文章が収載されている。
一つ目は、立川談春を紹介する、他者が書いた文章。二つ目は、談春の対談。三つ目が、談春自身が書いた文章。
一つ目の他者による談春の文章は、多くが雑誌に掲載されたものであり、ライターが書いている。談春を持ち上げる記事ばかりで、面白くも何ともない。
二つ目の対談は、福田和也との対談、さだまさしとの対談。これは、相手も相手で、それなりには面白い。
ただ、私は、立川談春の「赤めだか」を読んで、談春の書くものがもっと読みたくて本書を求めた。談春の書いた文章が少ないことは、もちろん買う前に調べられるはずなので、買った方が悪いのであるが、かなりがっかりはした。
ただ、師匠の立川談志が亡くなった後に本人が、文藝春秋に書いた追悼文「さようなら、立川談志」は名文。これを読めただけでも、この本を買った価値はあった。

[kaze229さんの感想 · 2022年10月4日]

「赤めだか」が
あまりに　良かったので
おっ　次の本が出た!
と　思って読み始めたのですが

いやはや
本人が書いたものはごく一部で
その他は　いろんなところに掲載されたものを
ここに詰め込んで　無理やり一冊にした感は
否めません

それでも
談春さんの筆による
「水紋」
「さようなら、立川談志」
は　秀逸です

[カッポリさんの感想 · 2023年3月14日]

談春すごい。どうしてこの人はここまで本質をえぐり出せるのか。むしろ、えぐり出さなきゃ気が済まないのか。しかも短い言葉で端的に。

いろいろな弟子達による談志論を見たり聞いたりしてきたけど、そこで描かれた談志像がまさにこの本から垣間見える談春のことを言っているように思えてならない。

談志の落語を生で聞くことができなかった自分は、やはりこの人の落語を聞いておく必要がある。

[仏具詩さんの感想 · 2021年4月9日]

さすがの金言ばかり！凄い。

[ゆうゆさんの感想 · 2020年9月17日]

立川談春さん好きにはたまらないんだろうなぁ。巻末の独演会リストの詳細までみっちりと載せる辺りがすごい。
下町ロケットで談春さんを知った私には赤めだかを読んで驚きの連続だった。今回の著書でも彼の魅力がこれでもかといわんばかりに凝縮されて、飽きることなく読了。それにしても談志さんってすごい人だったんだね。しみじみ

[localpockyさんの感想 · 2015年12月19日]

2014年9月刊。雑誌掲載記事やインタビューをまとめた本。『赤めだか』のそれから。◆【引用メモ】聞き上手にも共通するかもしれないけど、会話って結局、相手のことをどれだけ大切に思っているかだと思うんです。あ、この人つまらなそうだと感じたら、こういうこと言ったら笑わせられるんじゃないかと、必死に考える。それで自分の考えたことがぴったりとはまって、相手が笑ってくれるなら、人を口説くことだって同じだと思いませんか？ 要はいかに、相手の情報を集めて、相手を気持ちよくさせるかを考えることなんだと思います。(p.37)

[sapphire-blueさんの感想 · 2015年12月8日]

【最終レビュー】

図書館貸出。

『下町ロケット・経理部の要・殿さん』扮する、談春さんの最新著書―インタビュー・対談・エッセイ集―

今月末・ＴＢＳ系ドラマスペシャル『赤めだか（下町ロケット＝伊輿田プロデューサー、脚本・八津弘幸さん）』鑑賞予定。

＊赤めだか・公式サイト

http://www.tbs.co.jp/AKAMEDAKA/

＊著書『赤めだか』最終レビュー・アーカイブ』

http://booklog.jp/users/sapphire913/archives/1/4594056156

あらかじめ、赤めだかを既読していたことが大いに影響していた土台があったからこそ、こうして、談春さんが発している内容にも自然に溶け込むことができました。

〈客観的・主観的〉

それぞれの目線での『鋭く斬新な「適応力」＝自分の「目で耳で」物事を「見ること」』の『当たり前な姿』

『大人世代として生きる、私自身を含めた人達に向けて、今、どう生きていけばいいか、どうあるべき行動をとるのか』といった

［談春さん流での警鐘・心構え・言葉の奥底にある『情景・想い』を『どう捉えるか』ということ］

特に、自分の目線から感じたのは

日々、今、過ごしていく中、自分だけに感じ取れる「様々な空気」を「くみ取りつつ、吸収し」

『「内側」に「どう溶け込ませ、反映していくか」』を踏まえつつ

〈＋αの部分〉を〈一つ二つ〉といったように

また新しく、味わい深く、談春さんの発する『様々なメッセージ』を『しんみり頂いた』

《感覚を『十二分に感じ得られた』》著書でした。

《『熟す』ということは、どういう意味なのか》も同時に問いかけられながら…

Ｍｙリンク・１が土台にあったので、こうして、レビューをまとめることができました。

『一歩、一歩』改めて、そう思いながら…

[kaz72さんの感想 · 2015年1月18日]

当人の随筆集と思って手にしたところ、当人の筆によるものと他の筆者の手による雑誌の記事やインタビューを集めた構成でした。扉にそのことは明記されています。結果的に当人の書いたものが飛びぬけて面白く、特に師匠の死に際しての一文が一番良かったです。その他のインタビュー記事はもっと厳選したほうがよかったのでは。これから落語家としての全盛期を迎えるであろう談春なので、代表的な評論がなされるのもおそらくまだ先のことになるのでしょう。ますます落語に傾注して欲しいものの、合間の著作活動にも期待しています。

[しんきたさんの感想 · 2015年1月15日]

談春のファンだったら楽しく読めるかも。

[hakubotanさんの感想 · 2014年11月24日]

2010年に初めて落語を生で見るようになって、最初に出会ったのが志の輔、次が談春だった。これが私の落語への期待値を決めてしまった。ばくち打ちの強気と綿密な計算、わかりにくい愛情表現、しかし一貫している思いや生き方。スナップショットの中に春さんはいろいろな姿や思いを見せてくれます。独演会の演目リストがついているので永久保存版。