月光のスティグマ

著者 :
  • 新潮社
2.99
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103370116

作品紹介・あらすじ

再会したのは愛しき初恋の女か、兄を殺めた冷酷な悪女か。この傷痕にかけて俺が一生護る――。月夜に誓った幼なじみは、時を経て謎多き美女へと羽化していた。東京地検特捜部検事と、疑惑の政治家の私設秘書。追い追われる立場に置かれつつも愛欲と疑念に揺れるふたりに、やがて試練の時がやってくる。阪神淡路大震災と東日本大震災。ふたつの悲劇に翻弄された孤児の命運を描く、著者初の恋愛サスペンス!

感想・レビュー・書評

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  • 神川淳平は、一卵性双生児、八重樫優衣・麻衣と兄妹のように過ごしたが、阪神淡路大震災に被災し、淳平と、優衣だけが残り、二人は、離れ離れになる。

    16年後、淳平は、東京地検特捜部検事となり、ある有名な政治家の政治資金をめぐる疑惑の、内偵捜査で、私設秘書となっている、優衣と再会する。

    捜査する側と、される者を庇う側。
    互いに、警戒しながらも、二人の距離が近づいてくる。

    最終章で「総理にされた男」で起きた、テロ事件とリンクされていて、面白かった。

  • 主人公の台詞が男前!

    「苦手なんですよ。
     二つ以上のものを
     求めるのって」

    「弱い人間たちばかり
     見てきた・・・」

    そんな主人公が運命に
    翻弄された挙句、

    幼き日の誓いのもとに
    幼なじみを護ります。

    しかし、なんてこと・・・
    な結末。

    愛憎関係なく人の想い
    の儚さを感じます。

  • 神戸市須磨区蓮台寺町。古くから工場と商店が軒を連ね、
    その隙間を埋めるように一般住宅がひしめき合ってる。
    隣同士の家に住む幼馴染で仲の良い神川淳平と麻衣と優衣の双子の姉妹。
    姉妹の父親ですら二人の見分けがつかない、そっくりな双生児。
    不審者が出没するから行ってはいけないという森に行き、
    3人は変質者に襲われ、麻衣と優衣の右眉の上に傷をつけられる。
    芋虫の様に転がり、なすすべもなかった淳平…。
    姉妹の父が経営するメッキ工場の火災で死亡。
    二人を護ると誓う淳平。それが、三人の間の誓約となる。
    中学三年生の冬、淳平は廃工場の中で兄の省吾が、
    麻衣に刺されてしまうのを目撃してしまう。
    動揺して家に逃げ帰った淳平…。
    翌日未明、阪神淡路大震災が発生する…。
    隣家から、優衣を救出するが離れ離れになってしまう二人…。

    東京地検特捜部の検事となった淳平は、潜入捜査先で、
    疑惑の政治家の私設秘書を務める優衣と再会。
    追う立場と追われる立場になったふたり
    再会したのは愛しき初恋の女か、兄を殺めた冷酷な悪女か…。

    阪神淡路大震災・東日本大震災…それを取り巻く政治家。
    NPO法人での義援金を集め海外へ送金しマネーロンダリング。
    政治家の義援金詐欺・海外で沢山起こってる内戦やテロ
    一生護ると誓った初恋の人への純愛・ミステリー要素
    色んな事を盛り込み過ぎかなぁ…。
    冒頭から引き込まれ、思いも寄らない方向へ話が展開し、
    サクサク読めるんだけど、あれこれ盛り込み過ぎて、
    どれも中途半端という印象でした。
    読んでて、どうしてそんな行動するの…って感じた事も多々あった。

    震災のシーンと終盤のアルジェリアでの内紛で二人が逃げ込んだ
    大使館がテロリストに占拠された所。
    その場面は、かなりエグい・グロい…もう、やめてーーーーって感じでした。
    人間の殺戮シーンのこんなに酷い描写は初めて読んだかも…。

    面白かったけど、少し微妙かな。
    著者の震災に対する悼みも感じる事が出来なかった。
    明るさが抱ける、希望が抱けるラストにして欲しかったなぁ。

  • 阪神淡路大震災の被災者として離れ離れになった幼なじみの2人が大人になって再会。
    それぞれの社会的立場の壁を感じつつ、それでも惹かれ繋がり合う。
    加え様々な事件に翻弄されていく運命を描いた物語。
    序盤は甘酸っぱい青春ストーリーかなとおもったけど、やはりそうはいかず。
    検事と秘書の立場。約束を誓った幼なじみの関係。。
    「総理にされた男」とも、こういう繋がりがあるんですね。
    読了後切ない気持ちになった。今回の作品でした。

  • 中山七里としては
    恋愛絡み初めてでは?

    スティグマの意味がわかる。
    阪神大震災、東日本大地震と二つもの災害の中物語は展開される。
    どんなどんでんで終わるのかこの愛は成就するのか
    果たして双子の姉なのか妹なのか
    息もつかせず引っ張られた。

  • 面白かった、とは言いづらい内容だけど…ふぃくしとはいえ、自分ではどうしようもない災厄に巻き込まれた人たちがどう生きていくのか、罪とはなんなのかとかを考えさせられる作品だった。

  • 冒頭───
     ヒグラシの鳴き声が雨のように降り注いでいた。
     緊張している時は周囲の音が必要以上に耳に入るんだな───淳平はそんな風に考えた。
    「やっぱり、恥ずかしいよお」
     そう言って優衣が渋ると、隣ではや下着を下ろしていた姉の麻衣が軽く睨んだ。
    「あかん。あたしもう脱いだんやから。ねえ、先生」
     先生と呼ばれた淳平は少しどぎまぎしながらも「そうだよ」と言い添えた。
    「二人とも患者さんなんやから、お医者さんの言うことを聞きなさい」
     二対一ではしょうがない。優衣は口をへの字に曲げながら自分も下着を下ろした。臍から足首までがすっかり露わになるが、二人ともどこにも痣もシミもない滑らかな肌で、子供心に綺麗だと思った。
    「え、えっと。じゃあしんさつを始めます」
     淳平は聴診器の代わりのイヤフォンを耳に当てると、二人の下半身を観察し始めた。
    ──────

    男の子淳平には、幼馴染の可愛い双子姉妹の友達がいた。
    一卵性双生児ゆえに、家族以外は二人の区別がつかない人が殆どの中で、淳平だけは、何故か彼女たちを見分けることが出来た。
    小学校低学年から高学年、中学生になっても、麻衣と優衣という双子姉妹との仲の良さは変わらない。
    二人の美少女はどちらも淳平が好きだった。
    思春期になった淳平にも恋心が芽生え、どちらかを選ぶ時期が迫ってきた。
    中学三年、淳平が選んだのは、どちらかといえば控えめな優衣だった。
    二人の淡い恋愛が始まろうとしていたある日、淳平は事件を偶然目撃する。
    その直後、大地震が発生。阪神淡路大震災だ。
    淳平の両親や家族、麻衣や優衣は無事なのか、事件の被害者は───。
    それから十五年───。

    ・見分けのつかない二人の美人姉妹
    ・阪神淡路大震災
    ・東日本大震災
    これらがキーワードとなって物語が展開するのだから、面白くないわけがない。
    安直な題材を使いすぎかもしれないが、構成としては良く練られており、引っ張られるように一気に読んでしまった。
    こんなに周りが目を見張るほどの美少女二人に同時に好かれるなんて、うらやましいぞ淳平、と思いながら読んでいた。
    てっきり、双子のその後にミステリー要素が絡むのかと思ったが、そうでもなく、恋愛小説のような終わり方だった。

    それにしても中山七里のここ最近の作品発表のペースには驚く。
    三カ月に一度程度の割合で新刊を出版している。
    さすがに新人賞に二作応募し、どちらも最終選考に残っただけのことはある。
    懐が広いのだろう。プロットやキャラ設定、謎解きなどがどんどん頭の中に沸いてくるのかな? 羨ましい。
    東野圭吾か、はたまた平成の森村誠一か? といった具合である。
    一月にもまた新刊が発刊されるようだし、その精力的活動には脱帽せざるを得ない。
    どんどん、読ませていただきましょう。

  • 図書館で借りた本。
    一卵性の双子と幼馴染の主人公淳平。森で変質者に襲われて額に傷をつけられた双子を守ると近い、成長していく。ある日、大震災が起こり、双子のうち1人だけ救出したが、そのまま震災孤児になり離れ離れになってしまう。

  • 恋愛ものだったり巨悪を打ち砕く話だったりテロリズムの話だったり、テーマがバラバラしててその分深みがない。
    主人公には「幼なじみに自分の兄を殺されてその直後の震災で天涯孤独」という強すぎるエピソードがあるのに普通の大人に育っていて、もっと屈折した思考とか…あるだろ!と思ってしまった。

    表現の一面的なところも合わなかったな〜。
    熟語はいっぱい知ってるけど、言い回しは貧弱というか。
    「紙幣に色がついているわけではない」って言葉は3回くらい出てきた、多すぎるよ。

    あと工場勤めの兄の職業を「人に誇れる仕事ではなかった」と表現しててコラ!ってなった。
    特に必要のない部分で何かを貶すのは、作者個人の感想だと思われても仕方ないよ。
    巨悪に対しての憎しみはつらつらと長いわりに職業差別的な記述が多くて、正義感はあるのに思考力が伴ってないとこんな感じになるんだ…と思った。

  • 震災やテロを絡めたミステリー。
    ちょっと設定にこりすぎた感じもする。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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