湯川博士、原爆投下を知っていたのですか:〝最後の弟子〟森一久の被爆と原子力人生

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103394310

作品紹介・あらすじ

「なぜ言ってくれなかったのか」それは恩師に抱いた初めての疑問だった。〝原子力村のドン〞と呼ばれた森は、晩年になって、ひとつの謎に苛まれていた。父母係累を一瞬にして喪い、自身も爆心地で被爆した昭和二十年夏の広島。あの日、あの場所に〝特殊爆弾〞が落とされることを、恩師の湯川秀樹は知っていたと聞かされたのだ。自分の原子力人生を決定づけた恩師の真意は、いったい何だったのか。

感想・レビュー・書評

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  • 原子力村のドン。広島での被爆体験から原子力を誤った利用をさせないために、原子力村に入る。

  • No.800

  • 丁寧に取材されたのはよくわかるけど。

  • 森一久は、湯川博士の京大での教え子。彼は、広島出身で原爆投下の際、被爆してしまう。が、後に湯川博士は原爆投下を知っていたのではないか?という疑問が生じてくる。本書では、その答えは明示されていないが、そのことを枕に、原子力フィクサー森一久の生涯を綴る。

  • 毎日新聞の連載「原子の森、深く」を大幅加筆して書籍化。ちょっとそそられるタイトルである。あのノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士は、本当に広島への原爆投下計画を事前に知っていたのだろうか。しかしこのミステリーはあくまでも伏線であり、本線は、被爆という形で「原子力」との運命的な出会いをした、元日本原子力産業協会副会長、森一久の半生を浮き彫りにしたドキュメンタリーである。被爆後の人生において、原子力の在り方をジャーナリストとして、また原子力業界の中枢に入ってからはインサイダーとして、終生警鐘を鳴らし、研究し、自ら信ずる方向に向けて行動した続けた軌跡を、数多くのコメントを織り込みながらたどっていく。戦後の日本にとっての原子力の位置付けを知るうえで、興味深い1冊といえる。副題に「“最後の弟子”森一久の被爆と原子力人生」とある。

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著者プロフィール

藤原章生(ふじわら・あきお)1961年、福島県いわき市生まれ、東京育ち。北海道大工学部卒後、エンジニアを経て89年より毎日新聞記者として長野、南アフリカ、メキシコ、イタリア、福島、東京に駐在。地誌、戦場、人物ルポルタージュ、世相、時代論を得意とする。本書で2005年、開高健ノンフィクション賞受賞。主著に「ガルシア=マルケスに葬られた女」「ギリシャ危機の真実」「資本主義の『終わりの始まり』」「湯川博士、原爆投下を知っていたのですか」。

「2020年 『新版 絵はがきにされた少年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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