湯川博士、原爆投下を知っていたのですか:〝最後の弟子〟森一久の被爆と原子力人生
- 新潮社 (2015年7月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103394310
作品紹介・あらすじ
「なぜ言ってくれなかったのか」それは恩師に抱いた初めての疑問だった。〝原子力村のドン〞と呼ばれた森は、晩年になって、ひとつの謎に苛まれていた。父母係累を一瞬にして喪い、自身も爆心地で被爆した昭和二十年夏の広島。あの日、あの場所に〝特殊爆弾〞が落とされることを、恩師の湯川秀樹は知っていたと聞かされたのだ。自分の原子力人生を決定づけた恩師の真意は、いったい何だったのか。
感想・レビュー・書評
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原子力村のドン。広島での被爆体験から原子力を誤った利用をさせないために、原子力村に入る。
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No.800
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丁寧に取材されたのはよくわかるけど。
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森一久は、湯川博士の京大での教え子。彼は、広島出身で原爆投下の際、被爆してしまう。が、後に湯川博士は原爆投下を知っていたのではないか?という疑問が生じてくる。本書では、その答えは明示されていないが、そのことを枕に、原子力フィクサー森一久の生涯を綴る。
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毎日新聞の連載「原子の森、深く」を大幅加筆して書籍化。ちょっとそそられるタイトルである。あのノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士は、本当に広島への原爆投下計画を事前に知っていたのだろうか。しかしこのミステリーはあくまでも伏線であり、本線は、被爆という形で「原子力」との運命的な出会いをした、元日本原子力産業協会副会長、森一久の半生を浮き彫りにしたドキュメンタリーである。被爆後の人生において、原子力の在り方をジャーナリストとして、また原子力業界の中枢に入ってからはインサイダーとして、終生警鐘を鳴らし、研究し、自ら信ずる方向に向けて行動した続けた軌跡を、数多くのコメントを織り込みながらたどっていく。戦後の日本にとっての原子力の位置付けを知るうえで、興味深い1冊といえる。副題に「“最後の弟子”森一久の被爆と原子力人生」とある。