- Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103395317
作品紹介・あらすじ
猛き男たちよ、中国の暴虐から罪なき民を守り抜け! 人民解放軍による悪魔の所業から逃れ、日本潜伏中のウイグル人亡命団と、事件を追う女性ジャーナリストが襲われた。 証拠隠滅をはかるべく送り込まれた中国の刺客。 それを黙認する弱腰の日本政府と警察。 絶体絶命の亡命団に、謎の男が救いの手をさしのべた。 頭脳明晰、身体屈強。ロシア武術を極め、情報機関にも裏社会にも怖れられる存在――。 こいつは一体何者なのか? その手がかりは、謎の言葉「カーガー」 最注目作家の最強ヒーロー誕生!
感想・レビュー・書評
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2020/06/23読了
#このミス作品29冊目
元警視で婚約者を殺された主人公が
正義のヤクザとタッグを組み、
中国組織とそれに加担する悪徳警備局長と
戦う構図が面白い。
戦闘シーンも迫力満点のハードボイルド小説。
しかし中国共産党の新疆ウイグルに対する
陰謀パートについてはすごく生々しい。 -
ウィグル人亡命者を中国の暗殺集団から守るために壮絶な闘いを繰り広げるアクションサスペンス。とにかくスリリングで息もつかせぬ展開です。
謎の男「カーガー」が主役なので、彼が強くてかっこいいのは当たり前なのですが。むしろかっこよくて凄いと思えてしまうのは、菊原組の面々ですね。見せ場とか凄すぎ。超絶殺人鬼までがかっこよく思えてしまうのはかなり凄いと思いました。あんな人本当にいたら大変すぎるのに!(笑)
曜子のジャーナリストとしての葛藤も読みどころです。真実を追究することとジャーナリズムの存在意義には、考えさせられることが多そうです。 -
面白い。タイトル通りの作品だと思った。
主人公が形成されていく過程や迫りくる罠と暗殺部隊との戦闘シーン、ヤクザとウイグル人との友情などを現実の国際問題に上手く絡めていて濃密な内容だった。
あの国ならやりかねないな。 -
月村小説を読むと、ぞわぞわする。これは、大昔、私たちのずっとずっと祖先が狩りをしていたころのDNAなのかな。闘う本能、とでもいおうか。
何のために誰と闘うのか、はヒトそれぞれだし、そこに正義とか大義とかがあるかどうははわからないけど、それでも闘わざるを得ない人間たちの強さと弱さが混じり合いうねりとなって突き抜けていく。
民族の問題、国同士の外交問題、その大きく根の深い闇の部分、うかつに触れると火の粉をかぶる、けれど知らない顔して通り過ぎることはもうできないところまで来ている。
多分、私たちはこの小説から、その一歩先へ進む時を迎えているのかもしれない。
それにしても、カッコいいオトコたちよ。このカッコよさを別の世界で発揮できたら…と思ってしまった。 -
国際的な問題をテーマに、ひたすらのエンタメに徹する筆致は相変わらず見事。今回はウイグルを巡る中国の陰謀。ただ、いくつもの不満もあった。
まず、とびきりの謎であるはずの「カーガー」の秘密と素性があっけなく明らかになってしまうこと。新藤をはじめとする任侠の味方の人数が多すぎ、その各々のエピソードが冗長に過ぎるということ。(新藤の単細胞キャラは邪魔だったし、殺人鬼の味方はいらなかった。)中国の蝙蝠軍団たるものがあまりに弱すぎるということ。国際社会、警察組織の闇のいちいちにジャーナリストたる曜子が過剰に驚きすぎるということ。曾埜田の悪役ぶりがステレオタイプ過ぎるということ。なにより、同じような戦闘シーンが長すぎて冗長過ぎた。
ストーリーの骨子は面白く、ラストシーンの余韻も好きだが、途中の戦闘シーンの中弛み感が半端なく、期待はずれだった感は否めない。 -
月村了衛さん、「ガンルージュ」「槐(エンジュ)」面白かったです。この2冊は武闘派女性の息をつかせぬアクションでした。「影の中の影」(2015.9)も一息に読了しました。とにかくテンポがいいです。仁科曜子というジャーナリスト31歳とウィグル族を中国の特殊部隊から守ろうとするヤクザと「カーガー(沖縄の方言で影法師)」たる元警察庁キャリア。タイトルにあるように「影」たるカーガーが主役ですが、私としては随分「ヤクザ」に魅せられました!