田嶋春にはなりたくない

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103399117

作品紹介・あらすじ

正しいことを正しいと言って、何が悪いんですか! 史上最高に鬱陶しい主人公、誕生! 一流私大の法学部に在籍する女子大生「田嶋春」、通称タージ。曲がったことが大嫌いで、ルールを守らない人間のことは許せない。そのうえ空気は、まったく読まない。もちろん、友達もいない。そんなタージが突撃した「青春の謎」には、清冽で切ない真実が隠されていて――。読めば読むほど、不思議とタージが好きになるかも! ?

感想・レビュー・書評

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  • 白河三兎作品、初読み。作品の予備知識もなかったんだけど、長崎訓子さんのかわいらしい表紙にそそられ手に取ってみた。
    一流大学の法学部生、タージこと田嶋春。空気が読めないこと山の如し、と言いたくなるほどのKY っぷり。あまりにも行動が突飛でウザくて、こりゃ煙たがられるのもやむを得ない…のだが、何故か憎めない不思議キャラ。大学を舞台に、オムニバス形式で進むストーリーは、謎解きも楽しくて一気に読んでしまった。何より、タージが人間関係を引っかき回しながらも洞察力のよさで、真実を明らかにしていく気持ちよさ。大学生の心理描写がリアルで、読んでいて、久々に自分の大学時代を思い出した。登場人物らはうまく世渡りしてるつもりが、結構器が小さく、見栄っ張り。そんな己の小物っぷりに、タージのおかげで嫌が応にも向き合わされるのだが…つまんないプライド故に見ない振りをしていることのなんと多いことよ。読んでいてスカッとしました。ただ、登場人物の中にはチャラさを通り越して不快な行動をする者もいて、そこはドン引きでしたが。
    他愛ない会話やさりげないエピソードに伏線が張られていて、読み返して「そういうことか」と気付くことも多かった。ムムム…からのスッキリ!な爽快感はクセになりそうだな。

  • 予備知識なく、タイトルだけで購入。
    積読状態で早3年、、、結果、数時間で読了しました。大変、読みやすい。
    単に相性の問題なのかもしれませんが。
    流れるように読めるもんだから、ハマるハマる。
    特に1話目は何度も繰り返し、振り返り。
    読み終わる頃には、ロスになってました。
    多分、忘れかけていた大学生活を思い起こさせ、追体験していたのかと思うくらい。
    大昔、私は途中から大学から消えてしまって、現在それを大変後悔している。
    歌子さんのところを読んで、もう一度チャレンジしたくなった。

  • 空気の読めない、でも観察力の鋭いタージが、段々と身近で少し愛しいような気持ちになる。母親から目を逸らさせる為に皆でタージを無視しようと根回しする唯一女性目線の奏の章は、タージが気付かずにびくともしないから大学生のリアル感だけを受け取れた。後々遠くから理解者になるのが調子が良いような微笑ましいような。

  • 大学生の田嶋春、通称タージには気をつけろ!

    人一倍正義感に溢れていて、
    鈍感そうでありながらも観察力に優れていて
    人の気持ちなんてお構いなしに人間関係に踏み込んでくる。

    イベントサークルの菅野は地味系の河本さんに好意を抱きつつ、まんまと彼女にはめられけれど、タージの観察力で少しだけ救われた瞬間。

    学生と不倫していたことを妻に釜をかけられバレてしまった生協職員だったが、好意を持っていたゲーム対戦相手の本当の正体を、タージに教えられたこと。

    タージを疎ましく思っていた高橋奏だったが、キャンパスカースト最下位の自分の母親である高橋歌子との関係を見抜かれていたこと。

    サークルと自分の名誉にためにタージに頼んで助っ人を頼んだサークル会長の打算。

    バイト先のややこしいほどのタージとセンパイの恋の行方。

    タージは本当にやっかいな人だったのか、それは謎。
    そして思ったのは意外とみんないい人。

  • いないとは思うけど、実際近くにいたらどうかな

  • 曲がったことが大嫌いで思ったことをそのまま口にする田嶋春。相手の気持ちなんてお構いなしの言動で、大学やサークルでも浮きまくっている。
    彼女の周りの人たちのモノローグの連作短篇集。ほぼ皆始めは彼女とは関わりたくないと思っているが…。
    単に青春、友情、恋愛ものかと思ったら小さな謎解きもあって不思議な感じ。楽しかったです。気楽に読めそうだけど意外と注意力が必要かも。
    田嶋春、たじまはる、タージマハル?

  • タージ天然なのか最後まで悩んでいましたが頑なな生き方しかできない自分流のまっすぐさなんですね。
    どんな人を好きなんだろうと思ってたんで「手の中の空白」はなんか嬉しかった。
    観覧車からのメールだけでタージ見る目ある!と思いました。
    わかる人だけにわかる良さを振りまきながらずっとこのままいくんだろうな。

  • やはり関わりにはなりたくない。心がブスブスと刺されそう。遠くで活動して世界を少しずつ良くしてほしい。教祖にはなれないけれども、破壊と創造はできるかも。イライラするのは的を射ているからなのかも。「タージ・マハール」なんだね。読後に気づいた。

  •  発達障害ヒロイン・タージこと田嶋春を描いた青春ミステリー。
     5章からなるが、春を取り巻く登場人物が各章ごとの主人公となり、その人物の視点での春が描かれる。

         * * * * *

     アスペルガーの傾向を持つ田嶋春。 
     あまり融通が利かず場の空気で他人に忖度したりもしないけれど、筋の通った倫理観を持っていて人の尊厳を大切にする女性です。
     また頭がよくて、突拍子もない発言に思えることでも実は論理的で物事の本質を突いていたりもします。
     その設定はよく考えられていておもしろかった。

     プチミステリー仕立てで、4章まではなるほどと感心するような観察眼や洞察力を見せ問題を解決していたけれど、5章は不自然さが目立つ強引な展開だったと思います。

     春の行動が全てラスボス・八代の動きを一歩先で封じる計算しつくされたものなのなら、最初のキャラ設定と合いません。したたかすぎるからです。

     天然で無垢なアスペルガーヒロイン。それだからこそ、菅野・千晶・奏・宮崎と、N・A・O内での理解者を増やしていけたのではないでしょうか。もう少し、別の展開を考えて欲しかった。

  • 中々に珍しい主人公?だなぁと読み進めたら、なんとも芯の通った強い女の子でした。最後の方はなんだか可愛く思えてきました。

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著者プロフィール

2009年『プールの底に眠る』で第42回メフィスト賞を受賞しデビュー。『私を知らないで』が「本の雑誌」増刊『おすすめ文庫王国2013』にてオリジナル文庫大賞BEST1に選ばれ、ベストセラーに。他の著書に『ふたえ』(祥伝社文庫)『ケシゴムは嘘を消せない』『もしもし、還る。』『小人の巣』『田嶋春にはなりたくない』『十五歳の課外授業』『計画結婚』『無事に返してほしければ』などがある。

「2020年 『他に好きな人がいるから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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