にがにが日記

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 274
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103507246

作品紹介・あらすじ

人生は、にがいのだ。大阪で36年、猫と暮らして22年。7年間の人生の記録。生活史研究で知られ、大阪と沖縄、そして音楽に魅せられた社会学者が綴る、発見と内省、諧謔と哀切に満ちた日記。ウェブマガジン「考える人」の人気連載に、最愛の猫とのかけがえのない日々を書き下ろした「おはぎ日記」を併録。

感想・レビュー・書評

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  • 【書評】『にがにが日記』岸政彦著 - 産経ニュース(2023/12/3)
    https://www.sankei.com/article/20231203-MKDHHMRAKNO53L4H6A4JM4S2XA/

    「にがにが日記」岸政彦さん 売れっ子学者が緩く語る「素顔」 : 読売新聞(2024/01/26)
    https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/interviews/20240122-OYT1T50111/

    第1回 2018年1月15日〜2月7日 | にがにが日記―人生はにがいのだ。 | 岸政彦 | 連載 | 考える人 | 新潮社
    https://kangaeruhito.jp/article/757830

    5min 岸政彦とおはぎ - ネコメンタリー 猫も、杓子(しゃくし)も。 - NHK
    https://www.nhk.jp/p/ts/Z52R515WW1/episode/te/JRW38J27ZX/

    「ごちゃごちゃ」こそが大阪 社会学者・作家 岸政彦さん - 日本経済新聞(2021年3月17日)
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOHC266Z90W1A220C2000000/

    Vol.8 齋藤 直子先生 | 大阪市立大学女性研究者支援室
    https://www.wlb.osaka-cu.ac.jp/2015/07/12/interview-researcher008/

    岸政彦、齋藤直子/イラスト 『にがにが日記』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/350724/?tkb20231101

  • 遠くの街のことをネットで見て、たぶん行くことは一生ないと思いながらも、そこで暮らす人生もあったかもしれないと考える。
    かつて暮らした街を歩き、あの街やあの自分はどこに行ったんだと自問自答する。
    いまの人生は他の街で人生を送っていた別の自分が空想しているものなのかもしれないと思う。

    日記の形をとってはいるが、これは岸さんの日々の感情の切り抜きだ。楽しんでいる瞬間もあるけど、苦しんでいる日がとても多い。
    気になった人のツイッターやインスタグラムの過去の投稿を掘っていくような気分で読んだ。本だって広い意味で捉えればSNSみたいなものなのかもしれない。

    著書が評価され、大学での仕事も楽しそうだけど、岸さんはデパスを飲む。
    ああ、きっとこの人は色んなことが不安なんだろうな、と読みながら何度も思った。不安のベクトルは現在と未来にしか向かない。だからいつだって過去は綺麗に思える。過去は過去で辛いことがたくさんあったはずなのに。

    80ページほどの『おはぎ日記』は読むのがつらかった。認知症とみられる症状で衰えていく愛猫おはぎをパートナーのおさい先生と見守る日々。

    岸さんもおさい先生も多忙な日々を送りながら、極力おはぎがひとりにならないようにする。大変なことや我慢しなければならないことがたくさんあったはずだけど、「うれしい」とか「かわいい」と岸さんは書き記す。
    結末はとても悲しくて、予想通りだった。

    合間に載っているおはぎの写真や、おさい先生の挿絵がかわいかった。
    日記は2023年の4月の日付でおわる。2023年の春、つまりそれは今年の春。当たり前のことだけど、2023年も年を越せば去年だ。
    すべての瞬間は過去になる。すべての時間はやがて懐かしい思い出になる。日々の生活が人生なのかもしれない。

    読んでよかった。読み終えたあと、そう強く感じた。

  • 1か月くらいかけて、やっと読み終えました。
    『にがにが』はα波が出るのか、読むと眠くなって進めなかった。
    全体的に飲んでる記述が多くて、楽しそうでした。おさい先生のイラストがよい。
    『おはぎ』は死んじゃうんだなとわかってて読むの、辛かったです。

  • 社会学者の日記がこんなに面白いとは思えないだろう。日々の仕事のことはもちろん学生や教授とのやり取り、妻と愛猫との関係性、気取りなく飾りなく赤裸々にいい加減にありのままを曝け出す姿。どこか親近感があり、大いにシンパシーを感じる。

  • 愛してるって書かなくても言わなくても、愛してるって伝えられるんだなって。最後のページのおはちゃんの写真見て、岸さんに似ていてびっくりした。

  • 岸政彦の本は結構読んでて、特に「断片的なものの社会学」に感銘を受けたのだ
    社会は街の人ひとりひとりによって成り立っているんだなぁという実感というか。

    で、この本は岸政彦の日記なのだが、面白い。日記本でこんなに面白かったのは初めてだ。植本一子でもここまではなかった。

    それは、岸政彦の本が好きだったからだろう。
    この人こんな風に考えて生きてんのか、と笑
    尊敬する人の頭の中を覗いてる感覚

    おはぎ日記は泣いた。

  • 岸政彦「にがにが日記」https://www.shinchosha.co.jp/book/350724/ 感情表現なんて何もない短文を淡々と積み重ねているのに読んでいると胸に迫ってくる。出版記念のトークイベントでご本人も言っていたが、無常というか無力感というか残したい残せないことの寂しさに傷ついているのかなと思う。ただ死んでいくだけという言葉が何度か出てきて、それを目にするたび、どんな偉業を成し遂げた人でも死ねばみんな一緒みんなただ死んでいくんだよ岸さん、と思う。老猫の介護と看取り記録『おはぎ日記』はこれからペットを飼おうと思ってる人の課題図書に指定してほしい。大きな病気もなく老衰で死んだ猫はしあわせだったろうな

  • にがにが日記とおはぎ日記。
    泣きました。
    「生活」がそこにありました。

  • 著者のことを知ったのは2015年、『断片的なものの社会学』の頃。以来Twitterでもフォローしていたから本書の内容はほとんどリアルタイムで読んで、いろいろ知っているのに何度も大笑いしつつ、最後は嗚咽するほど泣きながら読んでしまった。『大阪の生活史』できましたね!まだまだ先になりそうだけど読むのを楽しみにしています。

  • 【選書No】061

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著者プロフィール

岸政彦(きし・まさひこ)
1967年生まれ。社会学者・作家。京都大学大学院文学研究科教授。主な著作に『同化と他者化』(ナカニシヤ出版、2013年)、『街の人生』(勁草書房、2014年)、『断片的なものの社会学』(朝日出版社、2015年、紀伊國屋じんぶん大賞2016)、『質的社会調査の方法』(石岡丈昇・丸山里美と共著、有斐閣、2016年)、『ビニール傘』(新潮社、2017年)、『マンゴーと手榴弾』(勁草書房、2018年)、『図書室』(新潮社、2019年)、『地元を生きる』(打越正行・上原健太郎・上間陽子と共著、ナカニシヤ出版、2020年)、『大阪』(柴崎友香と共著、河出書房新社、2021年)、『リリアン』(新潮社、2021年、第38回織田作之助賞)、『東京の生活史』(編著、筑摩書房、2021年、紀伊國屋じんぶん大賞2022、第76回毎日出版文化賞)、『生活史論集』(編著、ナカニシヤ出版、2022年)、『沖縄の生活史』(石原昌家と監修、沖縄タイムス社編、みすず書房、2023年)、『にがにが日記』(新潮社、2023)など。

「2023年 『大阪の生活史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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