鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

著者 :
  • 新潮社
4.03
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感想 : 318
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103509110

作品紹介・あらすじ

出張先は火山、ジャングル、無人島……センセイ、ご無事のお戻り、祈念しております。必要なのは一に体力、二に体力、三、四がなくて、五に体力?! 噴火する火山の溶岩、耳に飛び込む巨大蛾、襲い来るウツボと闘いながら、吸血カラスを発見したのになぜか意気消沈し、空飛ぶカタツムリに想いをはせ、増え続けるネズミ退治に悪戦苦闘する――アウトドア系「鳥類学者」の知られざる毎日は今日も命がけ! 爆笑必至。

感想・レビュー・書評

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  • 鳥類学の本と聞くと難しそうに思えると思うのだけど、本書は誇張じゃなく3行に1回くらいボケが挟み込まれ、めちゃくちゃ読みやすい。
    わたしも鳥好きで、鳥類研究に憧れがあったんだが、この本読むと、フィールドワークは虫との戦いだったり、島まで泳いでいかないといけなかったり、やむを得ず鳥や動物たちの命を奪う必要がある場面もあり、過酷なんですね…やっぱ私には無理だ…。
    鳥だけでなく、環境や、動物全般に興味ある方にも楽しめる1冊だと思う。

  • >鳥と人間には共通点が多い。二足歩行で、昼行性で、視覚と音声によるコミュニケーションをとり、主に一夫一妻制、そんな動物は鳥と人間しかいない。
    >親密になれそうなのに、未知の顔が隠されている。まるで一目惚れの相手である。興味がわかないはずがない。

    こども科学電話相談でお馴染み川上センセーの、エッセー集、かな?
    小気味いい語り口で10ページ弱の小噺が24編収録されています。
    タレント・モデルの10分の1くらいしかいない希少な鳥類学者のお話を聞ける貴重な機会。
    タイトルは、積極的に選んだ研究対象ではなくて消極的にたどり着いたのが鳥類学者だ、というくらいの意味みたいです、が、どう読んでも鳥大好きでしょう先生…。

    第1章
    先生の主フィールド小笠原諸島のお話。絶海の孤島には固有種がいっぱいいる。研究対象としてはいかにも面白そう。

    第2章
    孤島中の孤島、南硫黄島でのフィールドワークの話。
    ハエを吸い込まずには呼吸ができないという恐ろしい場所でも鳥類学者は調査をするのだ。

    第3章
    著者は骨を集めている。変態だからではない。鳥類学者だからだ。

    第4章
    海鳥を絶滅させるチカラを持つ外来ネズミを駆除しようとする話など。孤島といえども泳いできて再定着したりするので一筋縄ではいかない。

    第5章
    鳥類学は毒にも薬にもならず、社会にも経済にもとんと影響がない。つまり税金が投入される割合が高いので国民への還元としてのプレスリリースは重要(でも直接の利益はほとんどない)。

    第6章
    恐竜は絶滅したのではなく鳥類に進化したので「鳥類は恐竜の一系統」ということになり、従来型の恐竜は「非鳥類型恐竜」というまどろっこしい名で呼ばれるようになってきた。


    すごーく読みやすくて楽しい本です。
    縦横無尽な小ネタの乱打が、やや過剰かな、と思わなくもない…きっと先生の普段のしゃべりもこんな感じなのかなと思いました。

  • フィールドワークの大変さに
    思わずタイトルのように
    鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ!!
    と叫びたくなる気持ちも分かります

    しかし 感じられるのは
    鳥への深いリスペクト
    飛ぶということに特化した姿・構造には
    ロマンを感じずにはいられませんね
    道であった土鳩と雀が
    歩いている理由がわかると
    余計に愛しく感じますよ

  • この著者の書名のつけかたが好みだな、と以前から思っていたのですが、実際にちゃんと読むのは今回がはじめて。

    鳥類学者のリアルな日常を、シュールな例え話などを交えつつ、軽快に紹介してくれます。
    こんなに楽しい文章が書けるのだから、「鳥類学者はシャイで友達作りが下手」との説は少なくとも著者にはあてはまらないんじゃないか、と思いながら、けらけら笑って読みました。
    調査中にハエが次々と口に飛びこんでくる状況で「このハエは鳥の死体を食べている=素材は鳥肉100%=ハエの形をした鳥肉だ!」と自己暗示をかけたとのエピソードに、フィールドで調査する研究者の根性を感じました。
    各地の調査で見えてくる、生態系の仕組みや外来種の問題、人間の営みが自然に及ぼしてきた影響など、考えさせられる話題もありました。

    同じ著者のほかの著作も読んでみたいと思います。

  • 昭和のアラフィフ世代特有のギャグで少々読みづらさを感じつつも、鳥類に対する知識はもとより、苦労したエピソードなのに断崖絶壁の高さをピッコロ大魔王に換算して4人分など…参考にならずクスッと笑える。学者だよね?著者のキャラクターにハマります。

  • 鳥類学者は、冒険家かと思うほどのハードな場所へ。
    繰り広げられるのは、体力勝負で七転八倒の困難さ。
    それをクールな口調で語る、やっぱり鳥メインなエッセイ。
    始めに、或いはトモダチヒャクニンデキルカナ
    第一章 鳥類学者には、絶海の孤島がよく似合う
    第二章 鳥類学者、絶海の孤島で死にそうになる
    第三章 鳥類学者は、偏愛する
    第四章 鳥類学者、かく考えり
    第五章 鳥類学者、何をか恐れん
    第六章 鳥類学者にだって、語りたくない夜もある
    終わりに、或いはカホウハネテマテ
    特別収録 西之島・淤能碁呂絵巻
    鳥類学者自体が絶滅危惧種に違いない。
    な~んて勘違いしてしまうほどのハードなフィールドワーク。
    研究室で黙々と研究したり、論文書いたりしているだけではない。
    たとえインドア派であろうとも・・・バイク好きだが。
    小笠原諸島や八重山諸島、絶海の孤島の西之島や南硫黄島、
    ボルネオ島で調査に勤しむこともある。
    耳穴に蛾が飛び込み、小バエに襲われ、蚊に刺され、
    100m泳いで上陸し、断崖絶壁を登り・・・難航苦楽の調査の数々。
    語り口はクールっぽく、何だかギャグもちゃらっと覗かせ、
    さり気なくアニメやマンガ、映画等の知識も盛り込んでくる。
    しかも、鳥類研究や絶滅危惧種、環境問題の話も、しっかりと。
    鳥が好きだと思うなよとうそぶきながら、
    鳥の骨格標本について熱く語る、まさに鳥類学者ここにあり!
    うむ、面白かった。でも真っ赤なリンゴジュースって・・・。

  • やはり大阪人は、いちびりでおもしろい。鳥類学者の川上和人さん、終始徹底してしておふざけっぽく、ユーモアたっぷりで楽しませてくれる。読み進むうちに鳥についての知識が少しはたまったようで、これから散歩の途中で出会う鳥たちにも挨拶できそうです。

    それと私と同じで、甘いものが好きなようで、森永チョコボールに明治のカール、アポロチョコ、どこでにでもすぐ買えるこのお菓子がお気に入りよう、これらもコンビニ等で出会ったら挨拶できそう。

    鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。川上和人さん、次は恐竜の本でも読んでみようかと・・・。

  • 「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」
    川上和人(著)

    2017 4/15 初版 (株)新潮社
    2017 6/25 第7刷

    2020 1/25 読了

    全く気づかなかった…

    こんな面白い本に出会えなかった運命を呪わざるを得ないくらいに(占い師なのに)

    この本もFMサンサンきららパーソナリティで
    「BIBLIO RADIO サンきら読書部」
    副部長のペコリーヌさんに教えていただきまた。

    この手の専門書って面白いけど
    この作者の文章がまたクソ面白い!

    学者って変わり者だね(╹◡╹)

    2020 1/26に行われる
    第6回全国高等学校ビブリオバトル山口県代表の山口県立萩高等学校の松岡灯子さんが選んだのが本書らしい。

    ナイスチョイス!
    そしてがんばって!

    そして
    ラジオにゲスト出演して欲しいわー。

  • ご存知、子ども科学電話相談の「はーい川上でーす」でお馴染み?の鳥類学者、川上先生の著書。
    番組中のお話が楽しすぎてついつい本まで買ってしまいましたが、案の定といえばいいのか、怒涛のような語り口。忙しすぎるし面白すぎる。
    そのノリで一呼吸ごとにハエと一体化していくようなフィールドワークの過酷さや鳥の保護の難しさが語られるので、「本当に大変だ」とは承知のうえで、やっぱり笑わずにはいられませんでした。
    『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』
    うん、でも、やっぱり、嫌いじゃないんでしょ?

  • ネットで見かけて。

    笑えた。
    どらえもんやガンダムや迦陵頻伽、昔話などが、
    絶妙なタイミングで飛び出てきて、みぞおちを突かれる感じ。
    だんだん慣れてきて、この角で秋元康が来るな、と思っても、毛利元就だったりとか。

    とはいっても鳥類研究の話も面白かった。
    ズクロミゾコイの調査をしていて、その声に似ている牛舎の前にたどりついたり、ホンダのバイクの後ろにいたことがあるとか。
    環境保護地域の南硫黄島への調査に向かうために、一週間前から種子のある果実は食べず、道具はすべて新品を用意し、クリーンルームで準備をして、地域外の動植物をもちこまないように気をつけたとか。
    ボルネオ島の研究対象地がコーヒー農場や違法な石炭採掘場になってしまったとか。

    こういうタイプの本は、最初飛ばしても、最後に失速してしまうことが多いが、最後まで美味しかった。
    そういう意味では、最後までアイスクリームがつまっている抹茶パフェというべきか。
    チョコパフェほど甘くはない。
    抹茶アイスとか生クリームとか抹茶シフォンとか白玉とかあんことか、それぞれ美味しい鳥ばなしがてんこもり、そこにアクセントが効いてる感じかな。
    でも、そのアクセントは、例えるなら何だろう。
    コーンフレークじゃないとは思うんだけど…。

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著者プロフィール

森林総合研究所・島嶼性鳥類担当チーム長。西之島など離島の鳥類調査に従事。チーム名は自分で提案したのだが,「島」と「鳥」という字が似ていて時々混乱する。

「2023年 『羽毛恐竜完全ガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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