消人屋敷の殺人

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 207
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103512318

作品紹介・あらすじ

覆面作家の館で失踪した女性編集者。再び起こる不可能な人間消失。犯人は「人を消す屋敷」? その昔、包囲された館から一族が忽然と姿を消した――。奇怪な伝承に彩られた岬の突端の武家屋敷、人呼んで「消人屋敷」。ここに隠遁する覆面作家を訪ねた女性編集者が失踪し、三ヵ月後、謎の招待状によって五人の関係者が集められた。嵐が巨大な密室を生み出し、新たに不可能な人間消失が! 読者を挑発する本格ミステリ長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに読む作家さんだが、これはイマイチだった。

    かつて二十人近い人達が衆人環視の下で消え失せたという逸話をもつ『消人屋敷』。
    そこに謎の招待状で招かれた人々、軟禁された覆面作家たち、軟禁した編集者たち。
    様々な思惑と屋敷の謎、そして崖崩れによる正に『嵐の山荘』状態。そこで何も起きない訳がない!

    何と言っても屋敷の消失からくりに興味を持って読んだのだが、そちらは肩透かし。
    そして読み進めるうちに何となく感じる違和感と予感させる結末。
    なんかもう、捏ね繰り回し過ぎて肝心の「何故そこまでしなければならなかったのか」がどうでも良くなっているような。
    結局このトリックを描きたいための作品だったのだろう。
    だが綾辻さんの作品を読み耽った者としてはあまりに…。

    そもそも作家が缶詰めにされる話はよく聞くが、こんな形で幽閉されてそんなに沢山アイデアが湧くのだろうか。まあ作家さん本人がそうした設定にしているのだから大丈夫なのだろうか。
    それと最後の場面は余計。せっかくシリアスでここまで来たのに、最後の最後にぶち壊し。

  • 「欺瞞の殺意」が気に入ったのでこちらも読んでみました。
    消人屋敷と呼ばれる切り立った崖に立つ古風な屋敷。大雨で外界との接触が立たれた屋敷で次々と人が消えていく---王道のクローズドサークルですが、最初から読者を(いい意味で)騙すために作り込まれた構成で、最後の解明部分では初め「??」とよくわからない衝撃を受けました。
    自力ではどういうことなのかサッパリ分からなかったものの、ちゃんと解説が入るのでご安心を。
    「欺瞞の殺意」でも思いましたが、読者を欺くための構成力がすごく高い。
    それでいて登場人物の心情を鮮やかに書き出していて、グイグイ引き込まれるストーリー展開も魅力的。
    こちらはミステリー初心者にはちょっと難しかったので☆3ですが、一気読みしたくなる一冊でした。

  • 視点がコロコロ変わって、誰の視点かの説明がないので何となくで「今、この人の視点かな~」で読み進める。それがトリックだとは思っていたけど、分かりづらかった。最後の種明かしもなるほどねと思う反面、読み返しても誰の視点か分かりにくいから、じっくり読み返さないと呑み込めない。でも、トリックというか騙され感は大満足。最後まで一通り読んで、真実を知ってもう一度読んで初めて完結する本です。

  • 深木さんの作品はどれも面白いのですが、この作品は個人的にいまいちでした。
    視点が切り替わるときの人称が大体同じで、今誰が喋ってるんだっけ?と混乱して物語に入り込めませんでした。(トリックの仕掛けとしてはそれが正解なのですが)
    あと、わたしがハウダニット物にそれほど食指が動かないのもあると思うので、評価はなしで。

  • 複数の人間が一度に姿を消した曰く付きの屋敷が舞台ということで否が応でもそのからくりに期待が高まってしまったせいか、そこに関してはさほど驚きなく終わってしまった。
    仕掛けそのものより、作者の巧みな複数の人間の視点の切り替えに「え?え?」と翻弄された感じ。騙された感は大きくミステリーとしては優秀。でも何だろう…この釈然としない気持ち…。二度読みしても誰が誰やら頭の中がごちゃごちゃ。
    トンデモミステリーの片鱗を感じた空飛ぶ男の真相にはニヤニヤ。

  • 曰くつきの屋敷で人が消えていくというオーソドックスなクローズド・サークルもの。トリックは著者らしさを感じますが大体の冊子がついてしまい残念。
    また複数の視点と時系列をいじって展開されていくので状況が分かり難くいのと、ラストの件は果たして必要だったのかと不満が残ります。

  • 嵐の山荘、消人屋敷、謎の覆面作家と失踪した編集者。素晴らしいガジェットてんこ盛り。
    これだけあったらどこもかしこも疑って読んで、疑いすぎて最終的に騙された。
    文体はどこまでもフェアなので、持った違和感をそのままに最後まで一気に読むといい。
    殺人自体はちょっとあれだけど、読み終えてみればなかなか気持ちの良いミステリでした。

  • 人が消えるという屋敷に集まった人々。だが嵐によって閉じ込められてしまい……。
    王道のクローズド・サークルものだが、視点がゴチャゴチャとしている。悪くいうと語り口がどれも平坦だから「今、誰の視点なのか?」が分かりづらい。このせいで事件の真相もカタルシスが削られ、イヤミスでもないのにスッキリとは程遠い作品になってしまった。

  • うぁ…やられたwww

    終盤、え、え、え?何?どゆこと??ってなって…
    完全に油断してました。もう、思う壺そのものwww

    深木さん、良いなぁ。
    これからもボチボチ読んでみよっと♪

  • 明治時代、多くの人を失踪させた崖際の屋敷はいつからか「消人屋敷」と呼ばれた。 現在そこに逗留するのは素性不明の覆面作家2人、彼らの正体を求め消人屋敷に人は集う。 嵐の夜、外界への道は閉ざされ、何者かにより通信は遮断された。 そして人が消えていく。

     王道を詰め込んだ感じのミステリですね。 タイトルや粗筋に惹かれたなら読んで損は無いと思います。 あと多くは語れないタイプのミステリになります。

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著者プロフィール

みき・あきこ1947年東京生まれ。東京大学法学部卒。元弁護士。60歳を機に執筆活動を開始、2010年に『鬼畜の家』で島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。『衣更月家の一族』『螺旋の底』が第13回・第14回本格ミステリ大賞にノミネート、『ミネルヴァの報復』が日本推理作家協会賞にノミネートされるなど、注目の作家。他の著書に、『敗者の告白』『殺意の構図』『交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー』『猫には推理がよく似合う』『消人屋敷の殺人』『ミネルヴァの報復』『消えた断章』『罠』など多数。

「2023年 『欺瞞の殺意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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